スピーカーの音場を再現「EXOFIELD」技術を活用

ビクター、ユーザーに合わせて音場をカスタムするヘッドホン「WiZMUSIC」。90万円と30万円の2プラン

編集部:小野佳希
2017年05月11日
JVCケンウッドは、ヘッドホンでもスピーカーで聴いているような頭外定位音場を、ユーザーの特性に応じた最適な音場効果で楽しめるという、音場特性カスタムサービス「WiZMUSIC」を6月24日より専用サイト限定で発売する。なお、本サービスは先日復活を発表したビクターブランド(関連ニュース)の創立90周年記念商品として展開される。

WiZMUSIC90

パッケージに含まれる専用ヘッドホン「HA-WM90」

300台限定のプレミアムパッケージ「WiZMUSIC90」を90万円で6月24日から、スタンダードパッケージの「WiZMUSIC30」を30万円(いずれも税込)で7月下旬から予約販売開始する。

なお、個人特性の測定自体はプレミアムパッケージで本日5月11日から、スタンダードパッケージで6月下旬から受付を開始。測定や体験を経て気に入った場合、実際に購入予約を行うという流れだ。購入者には10月上旬の配送を予定している。

サービス申し込みの流れ

3月に発表した頭外定位音場処理技術「EXOFIELD(エクソフィールド)」(関連ニュース)を活用したサービス。各ユーザーに最適な頭外定位音場を個別に測定・データ化して提供するとともに、その音場効果を最大限に引き出すよう新開発した専用ヘッドホン「HA-WM90」と、ポータブルヘッドホンアンプなどの各種周辺機器をパッケージ化した。

EXOFIELDの音場処理の概念解説

EXOFIELDでの音場定位イメージ

プレミアムパッケージ「WiZMUSIC90」は、同社グループであるビクタースタジオの個別音場測定などを組み込んだもの。ビクタースタジオの「EX Room」で個人の音響特性を測定し、スタジオエンジニアがチューニングを行うほか、スタジオ内の見学なども行える。また、200曲相当のハイレゾ楽曲も提供される。

個人特性の測定には独自開発の小型マイクを装着

スタンダードパッケージは、測定場所がビクタースタジオではなくJVCケンウッド監修によるリスニングルームになる。また、プレミアムパッケージは同梱アンプが「SU-AX01」であるのに対し、スタンダードパッケージでは「SU-AX7」になるほか、ハイレゾ楽曲200曲相当も付属しないなどの差がある。プレミアムパッケージにはバランス接続ケーブルも付属する。

プレミアムパッケージとスタンダードパッケージの違い

プレミアムパッケージはポタアンがSU-AX01になるほかバランス接続ケーブルも付属

なおプレミアムパッケージでの測定場所であるビクタースタジオでのEx Roomは、楽曲制作過程での音質チェックだけでなく、マスター音源や最終製品版の確認にも使用される部屋で、ウッドコーンやヘッドホンなどJVCケンウッド製品の音作りなどにも利用される。「ビクタースタジオの“音の出口”であり、我々の要となる部屋だ」(ビクタースタジオ 秋元秀之氏)という。

プレミアムパッケージではビクタースタジオのEx Roomで測定を行う

JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント ビクタースタジオ エンジニアグループゼネラルマネージャー 秋元秀之氏

加えて、スタンダードパッケージでは測定が購入者自身のみであるのに対し、プレミアムパッケージでは購入者とその家族3人の計4人まで個人特性を測定でき、そのデータを利用可能。その際にはそれぞれのスマートフォンに個人データをインストールできる。なお手に入るヘッドホンは1台のみ。

両パッケージ共通の専用ヘッドホン「HA-WM90」は、新開発の40mmドライバーを搭載。ハウジングにはヴィンテージウッド「アクアティンバー」を採用したほか、ハウジングにドライバーユニットを直接固定する「ダイレクト・マウント」方式を採用している。

ハウジングのアクアティンバー材は、ジョージア湾や五大湖など北アメリカの水路の底に眠る14世紀の希少木材を引き上げたもの。約160年間空気に触れること無く冷たく澄んだ水の中で眠り続けていたもので、現代の木材に比べて、木目が細かく硬いため、減衰比が小さく、振動伝達性が高く、クリアで自然な音響効果を発揮するという。

アクアティンバー(左)では通常のメイプル材(右)よりも木目が詰まっていることなどが分かる

ダイレクトマウント方式は、モノコックハウジングに直接ドライバーユニットを固定するというもの。ダイレクトに固定させることで不要な振動や共鳴を低減し、振動板が再生する音をストレートに表現できるよう狙っている。上記アクアティンバー材が持つ音響特性との相乗効果により、「自然で美しい響きを醸し出し、今までのヘッドホンでは体験できなかったスピーカー音場の忠実な再現を可能にする」としている。

ダイレクトマウント方式を採用

イヤーパッドは新開発の低反発イヤーパッドを採用。ヘッドバンド部には東レによるスエード調人工皮革素材「ウルトラスエード」と本革シープスキンを採用するほか、ハンガー、スラーダブにマグネシウム合金を採用して軽量化を図るなど、装着感にもこだわっている。

ヘッドバンド部にはウルトラスエードを使用

音楽再生においては、頭外定位音場機能を利用できる専用アプリ「WiZMUISC」をダウンロード提供。同アプリではEXOFIELDでの頭外定位音場効果をオン/オフできるほか、ハイレゾ音源再生にも対応している。なおハイレゾ再生には頭外定位音場効果用に測定した個人データをアプリにインストールする必要がある。個人データをインストールせず音楽再生を行うこともできるが、その際にはハイレゾ音源はダウンコンバートされて再生される。

専用アプリを無償ダウンロード提供。スマホで利用可能なため頭外定位音場をどこでも手軽に楽しめる点も特徴のひとつ

プレミアムパッケージではさらに、ヘッドホンや再生ソフトをビクタースタジオのエンジニアがチューニング。音質・音場を音楽制作のプロのエンジニアがチューニングした「Tuned by VICTOR STUDIO」仕様で提供される。

耳の形など個人ごとに異なる特性や、スピーカーや部屋の音響などの特性を測定。その特性に併せてデータをカスタマイズ

そのほか製品受取方法についても、スタンダードパッケージでは配送のみだが、プレミアムパッケージではビクタースタジオでの手渡しも選択可能。その際にスタジオ内を見学することもできる。

なお、製品/サービス名の「WiZMUISIC」とはWizard(魔法使い)とWith(〜とともに)、MUSIC(音楽)の言葉を組み合わせた造語。ヘッドホンでありながらスピーカーのような前方定位を実現する魔法のような技術であることにちなんだ。

発表会に登壇したJVCケンウッドの秋山啓司氏は、「JVCケンウッドは、たんに機器を提供する会社ではない。音楽をいつでも手軽に、とびっきりのいい音で楽しめるように届けることが我々の使命だと思っている」と、今回のサービスが登場した意義をアピール。WiZMUSICは「自分専用の持ち運べるリスニングルーム」だとアピールした。

JVCケンウッド メディア事業部 プロダクツビジネスユニット長 秋山啓司氏

サービスの具体についてはWiZMUSICプロジェクトリーダーの斉藤靖之氏が説明を担当

なお、本サービスは今週末5月13日(土)・14日(日)に東京国際フォーラムで開催されるOTOTENにも出展。予約制で実際に個人特性の測定や頭外定位音場効果を体験できるようにする。

発表会にはAV評論家の麻倉怜士氏もゲストで登壇しWiZMUSICを先行体験して大きな魅力を感じているとコメント


以下、質疑応答の模様をお届けする。

Q.海外展開は考えているのか?

A.ビクタースタジオや我々のオーディオルームを体験してもらいたいという意味もあるため、まずは国内での展開と考えている。国内でしっかりお客様と向き合って見極めた上で海外展開は検討したい。

Q.販売計画や目標はどれくらいか。

A.プレミアムパッケージは限定300台。スタンダードパッケージは3年間で3,000台くらいをまず狙っていきたい。

Q.スタジオや指定場所での測定だけでなく、個人の自宅の音場再現など、将来的なカスタマイズの可能性はあるのか。

A.測定で得られるのは個人の聴感特性と、部屋の音場という2つのデータがある。個人のデータと部屋のデータを切り分けられることが将来的にできるようになれば、部屋のデータだけを売るということも有り得るかもしれない。いろいろと検討していきたい。

Q.スタンダードパッケージでの測定場所はJVCケンウッドが指定する場所とのことだが、全国で何箇所くらいになるのか。

A.今は首都圏で考えている。要望があれば地方でも考えていきたいが、まずは首都圏のとある場所を考えている。

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