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技術総括の竹谷部長に聞く

<CES>日本でも今春発売、マスモニ画質目指したパナソニックの4Kテレビ「DX900」

公開日 2016/01/08 11:26 編集部:風間雄介
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2016 International CESにあわせて発表された、パナソニックの4Kテレビ「DX900」シリーズ。日本では、“VIERA”の最上位機種としてAX900シリーズが販売されているが、DX900はその後継にあたるモデルで、欧州ではこの2月に発売を開始する。画面サイズは65型と58型。

このDX900は日本でも4月頃の発売を予定している。すでに折原一也氏による概要紹介と画質インプレッションをお届けしているが、本項ではパナソニックのテレビ商品技術総括担当部長、竹谷信夫氏に聞いた補足情報をお届けしよう。

パナソニック(株)AP社 テレビ事業部 テレビBU テレビ商品技術総括担当部長 竹谷信夫氏

LEDの数を4倍に。光洩れも抑えて画質向上

まずDX900シリーズで注目したいのはバックライトだ。直下型バックライトで、LEDライトの数を従来の128から約4倍に増やした。竹谷氏は「LEDが128個では、やはり我々のやりたいことができないと考え、一気に約4倍に増やしました」と語る。

ただ数を増やしただけではない。より緻密なエリアコントロールを行うため、ハニカム構造の反射シートを搭載。それぞれのLEDの光が、各ブロックから洩れないように工夫した。このハニカム構造のシートはパナソニック独自開発のものだという。「2年くらい前から開発をはじめ、ようやく今回ものになりました」(竹谷氏)。

パナソニック「TH-65DX900」

言うまでもないことだが、バックライトは必要なところだけ光り、それ以外のところは光らないのが望ましい。HDR映像になれば、明暗の差がこれまでより格段に大きくなるので、緻密なバックライト制御や光り洩れの抑制がさらに重要になる。

またLEDバックライトの数を増やしたことは、最大輝度の向上にも寄与する。本機は1,000nitを超えており、UHD Allianceが規定した基準をクリア。検査場でのテストもクリアしており、世界初の「Ultra HD PREMIUM」ロゴ取得テレビである。

なおLEDバックライトそのものは、CX800で使ったものと同等の、パナソニック社内で「New LED」と呼んでいるもの。もともと照明用のLED技術をテレビ用に転用したもので、パナソニックと日亜化学工業が共同開発したものだ。

このNew LEDを搭載したことで、色域はDCIを98%カバー。BT.2020比では80%弱程度をカバーしている。LEDバックライトのテレビとしては非常に優秀な数値だ。

色域が広く、DCIを98%カバーする(撮影:折原一也)

なお、他社製テレビには色域拡大のため、量子ドット技術を採用しているものもある。これについて竹谷氏は「量子ドットには大きなポテンシャルがありますが、空気中の水分に触れるとダメになったり、カドミウムなど有害物質の問題もあったりと、使いこなすのが非常に難しいのです」と説明する。

「それに量子ドットを使ったテレビでも、New LEDを使った我々のテレビセットより色域が狭いものが多い。我々としては、量子ドットを使うのは、もう少し技術がこなれてきてからで良いと考えています」。

色の純度を高めるプロセッサー「HCX+」

DX900シリーズには、映像処理プロセッサー「HCX+」も搭載される。HCXは「Hollywood Cinema Experience」の略称。なお、テレビの新モデルにはDX800シリーズというものもラインナップされており、DX800はプラスが付かない「HCX」を搭載する。

映像処理プロセッサー「HCX+」

さて、HCX+では色の忠実度を高める処理も行う。竹谷氏は「色の忠実度合いをマスモニ並みに引き上げることをねらった」と語る。

液晶パネルは、品質にバラツキがある。RGBそれぞれのサブピクセルのあいだで光りの洩れが発生し、これが画質低下を招くこともある。これは画面輝度によっても変わってくる。

HCX+では、このようなパネルごと、そして輝度ごとのデータをあらかじめインプット。3Dルックアップテーブルに入れて、逆補正をかけて色純度を高めるイメージだ。

テーブルに入れるポイントの数も桁違いに多い。実は、通常の民生用テレビでも同じような補正は行っているのだが、おおむね100〜300程度。だがDX900シリーズは8,000ポイントと、実に数十倍のポイントを使って補正する(DX800は400ポイント)。

その結果実現したのが、色の忠実度(色差)を表す「ΔE」(デルタイー)という数値。竹谷氏は「小さければ小さいほどいいのですが、他社さんはだいたい5〜10程度です。マスモニはΔEが1程度なので、DX900ではここを目指して開発しました。結果、ほぼ1程度の数値を実現できました」。



紹介してきたように、画質面だけ取り上げてもかなりトピックが多い、今回のパナソニック新テレビ。日本での市場投入が楽しみだ。

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