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AVレビュー誌評論家・大橋伸太郎氏が選ぶ「ソフト・オブ・ザ・イヤー2009」

2009/12/29 AVレビュー編集部
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2009年に発売されたブルーレイディスクとDVDの中から、ストーリー(内容)、画質・音質に優れたタイトルを選び抜くAVレビュー誌の企画「ソフト・オブ・ザ・イヤー2009」。1月17日発売の2月号にて詳細なランキング等を発表いたします。本誌発売に先立ち、「ソフト・オブ・ザ・イヤー」選考メンバー5名が個人として推す、2009年ベスト3ディスクを紹介いたします。

AVレビュー誌執筆陣3名(貝山知弘氏、山之内正氏、大橋伸太郎氏)に加え、パイオニア及びエプソンの機器企画担当者にも参加頂きました。高音質AVアンプとしてマニアの注目を集める「SC-LX」シリーズの企画担当者であるパイオニアの山田喜行氏、及び透過型液晶プロジェクターとしての性能を極限まで極めた倉内新次郎氏の両名です。

ファイル・ウェブでは、全5回に分けて、それぞれのメンバーのが推す「優秀ディスク」コメントを紹介いたします。第2回目はAV評論家の大橋伸太郎氏です。

全メンバーが合意の上で選んだ「ベスト・オブ・ベスト」ディスクの発表及び選考議事録は本誌2月号でお読み下さい。

2009年に鑑賞したブルーレイディスク、DVDの印象と鑑賞を語り合う「ソフト・オブ・ザ・イヤー」選考メンバー。「ソフト・オブ・ザ・イヤー」の全貌と議事録はAVレビュー2月号(1月17日発売)にて詳しくお届けいたします。

1位 ベンジャミン・バトン 数奇な人生

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」

ベンジャミン・バトン 数奇な人生
ワーナー・ホーム・ビデオ WBAY22362(BD) ¥4,980
【DETAIL】80歳で生まれ、年を取るごとに若返る数奇な運命の下に生まれた「ベンジャミン・バトン」の物語。出演はブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット他。BDは2枚組仕様。


主要人物2人は老人と幼女として出会い、中年男と若く魅力的な女性として再会、そして少年と初老の婦人として終わります。人間の中にある性や恋愛の欲望や願いを非常に上手く表現した、この非常にエロチックな映画のハイライトは、人生を逆に生きる主人公の人生を眺めてきたデイジー役のケイト・ブランシェットが夜の公園で踊るシーンに凝縮されています。高精細で高密度なフィルムを使って、入念なライティングを施して撮影し、そしてポストプロダクションも丁寧に行った、いかにもハリウッド的な物量を注ぎ込んだこの名シーンは昨年の私のテレビ視聴、プロジェクター視聴に大いに活躍しました。その感謝の意を込めて1位に推します。


2位 崖の上のポニョ

「崖の上のポニョ」

崖の上のポニョ
ディズニー VWBS1076(BD) ¥7,140
【DETAIL】少年と少女、愛と責任、海と生命。宮崎駿が描く母と子の物語。BD音声は6.1chDTS-HDマスターオーディオ。製作過程を追ったドキュメントとセットの「特別保存版」も発売中。


宮崎駿さんという方は東京都文京区の生まれです。つまり「海」との直接的なつながりが幼少期にはない。おそらくそういう人ほど海に対するイメージが過大に膨らんでいるはずです。宮崎さん個人が持っている少年時代から育んできた海に対するイメージが全て表出されたのが『ポニョ』です。海底の描写を見れば彼が図鑑少年だったことがすぐに分かります。感心させられることはいくつかありますが、その一つにサウンドデザインが優れていることを挙げます。海底の音の伝わり方の表現、水を媒介として伝わる音の作り込みなどがサラウンドを活かした上で表現されています。そういったテクニカルな面を駆使しつつ、海のイメージを丁寧に表現しているのが素晴らしい。

3位 スラムドッグ$ミリオネア

「スラムドッグ$ミリオネア」

スラムドッグ$ミリオネア
メディアファクトリー  ZMXY-5042(BD) \4,935
【DETAIL】「作品賞」「監督賞」「脚色賞」「撮影賞」などを含む、アカデミー賞8部門を受賞したダニー・ボイル監督最新作。インド・ムンバイのスラム街に住む少年のサクセスストーリー。


BDで観てこそ本質が理解できる作品です。シーンを追うごとにメインカラーが黄色から青色へと変化していきます。そのことが画面から感じ取れるような再生環境を整えないと監督ダニー・ボイルの狙いは分からないかもしれません。「貧困」「混沌」「大河」などインドの風土を象徴するイエローから、「自由」「解放」等を意図するブルーをポイントに置いたシーンに変わっていく。つまり運命の転換を予告させる基調変化が途中で現れるわけです。このあたりは黄色と赤色を象徴的に配した黒澤明のカラー第一作『どですかでん』からの影響があるのかもしれません。『スラムドッグ〜』はストーリーも素晴らしいですが、色の描き分けを視聴者が感じ取れるかどうかも鍵でしょう。


2009年に鑑賞したブルーレイディスク、DVDの印象と鑑賞を語り合う「ソフト・オブ・ザ・イヤー」選考メンバー。「ソフト・オブ・ザ・イヤー」の全貌と議事録はAVレビュー2月号(1月17日発売)にて詳しくお届けいたします。

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