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評論家・鳥居氏/一条氏が白熱トーク

ASCII.jp×Phile-webのコラボ企画!「ネットワーク」で変わるA&Vライフのこれから

公開日 2009/05/15 10:45 Phile-web編集部
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■ネットワークの利便性か、画質のクオリティか ー 両立はまだ無理なのか?


鳥居:今現在、ソフトショップの店頭にDVDは当たり前に並んでいるけれど、BDはまだそこまでの状態ではないですよね。僕はDVD→BDへの本格的な移行はまず地デジ移行が無事済んでからではないかと考えているのですが、その時には「配信」という形式が当たり前になっていて、インフラも今より整っているでしょう。そうすると、「BD」というフォーマットの恩恵を、AVファンしか享受できないのではないかという思いも抱きます。

一条:僕はそうは思わないですね。ネットワークはもちろん便利です。しかし、メディアの存在も無くならないと思います。


「アクトビラ ビデオ」にしても、ストリーミングの場合ビットレートは約7Mbps前後。僕はBDに比べたらクオリティ的には厳しいと感じます。いまFTTHがどんどん広がっていますが、それでもほとんどの家庭で、BD並みのクオリティを持ったコンテンツをストリーミングで楽しめる時代は当分来ないでしょう。

ですからネットワークを利用する形態でも、「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」のように、大容量データコンテンツはHDDなどにダウンロードして、あるいはそこからBDやiVDRなどに保存して視聴するのが今後の主流になると僕は思いますね。問題になるのは、ユーザーが何を求めるか、ということでしょう。

鳥居:クオリティと利便性、どちらをより重視するのかによって、スタイルは違ってきますよね。例えば音楽配信だと、利便性を求める人はAACなどの圧縮音源、クオリティを求める人はCDやSACD、といった棲み分けがなされています。BDは、SACDのように「ハイエンドなマニアだけのもの」にならないで欲しいものです。

■ネットワーク化を取り巻く問題とは

鳥居:ネットワーク化が進むにあたって大きな問題は、ユーザーの使用環境がまだ完全に整ったとは言えないこと。例えば私の住んでいるアパートは未だにADSL環境なのですが、「アクトビラ・ビデオ フル」は満足な視聴ができなかった。集合住宅だとひとりの要望のために全員の環境を変えるのは難しい場合もありますよね。サービス提供側は、サービス内容だけでなく、もっと視聴環境のことについても告知すべきだと思います。

一条:それと、著作権保護の問題もありますね。DTCP-IPが出てきたとはいえ、ここは大きな足かせとなっています。

鳥居:権利者を責めるわけではありませんが、その不便さは悩ましい。

一条:音楽だとDRMフリーの音源をダウンロードしてCDに焼くことができますが、ビジュアルの世界でもこれと同じことができればいいですよね。

鳥居:著作権保護の問題がクリアになれば、ネットワークはもっと面白くなるはずです。それを変えるには、まずはユーザーからの声が必要だと思います。草の根運動が大事ですよね。

一条:最近はテレビやレコーダー、NASなどでもDTCP-IP対応のものが増えてきており、状況はだんだん良くなってきていると感じています。だからもっともっと盛り上げていきたいですね。

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ネットワークは便利だが、まだ「コンテンツを最高の画質/音質で楽しめる」とは言えないのが現状、と語る二人。テレビがディスプレイ化している昨今、タイムシフトした番組を効率よく視聴するにはネットワーク化による機器連携が必要だ。デバイスのクオリティアップ、インフラの更なる整備に加えて、著作権保護問題などその抱える課題はまだ多い。今後どのような製品や方式が生まれていくかに、まだまだ目が離せない。

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