来春登場の「DLNA v2.0」で何が変わるか − DLNAの基本と進化を総チェック!

2008年10月08日
以前は一部のマニアックな人々の話題でしかなったDLNAも、最近では徐々に普及が進み、レコーダーやテレビなどにも組み込まれるようになってきた。DLNAはすでに登場から数回ガイドラインが改訂され、進化を続けている。

CEATEC JAPAN 2008のカンファレンス「DLNAで広がるデジタルワールド」で、最新ガイドラインであるDLNA2.0の今後について説明を聞くことができたため、今回の記事ではこれらのDLNAの最新情報を含め、DLNAの基本から1.5、2.0への進化でDLNAがどう変わっていくのかを紹介していこう。

■そもそも「DLNA」とは何か

DLNAは「Digital Living Network Alliance」の略であり、メディア機器、PC、モバイル機器などがコンテンツをネットワーク経由で共有できることを目的に、家電メーカー、PCメーカー、携帯電話メーカーなどから構成される団体だ。

DLNAの概念図。根底にあるのは様々な機器を自由につないでコンテンツをシェアするという考え

さまざまな目的を持つ企業が集まる団体であるため、DLNA対応機器は「規格」のような固定化された縛りではなく、「ガイドライン」という、やや緩やかな表現でその決まり事を決めていくのが特徴だ。

また、実際の製品に導入しやすいことを目指しているため、独自の規格を作って推し進めるのではなく、デファクトスタンダードに近いような一般的な規格をそのベースとして採用するのも特徴。例えば、ネットワーク規格であればデファクトスタンダードであるイーサネットやWi-Fi、機器の認識はUPnP(ユニバーサルプラグ&プレイ)という感じだ。

■DLNAの歩み

DLNAの設立は2003年。その後初めてガイドラインを発行したのが2004年6月で、実際に機材のロゴ認証を開始したのが翌2005年の第3四半期になる。つまり、現在v1.0と呼ばれるこの最初のガイドライン策定から、認証ロゴ発行の開始までは1年以上を費やしたわけだ。

そして、ガイドラインv1.5は2006年第1四半期に発行され、その認証を開始したのは2007年の第3四半期。v1.0の時と同様に、ガイドライン策定から実際の製品登場に必要な認証開始まで少し時間がかかったわけだが、このあたりはDLNAが方向性の異なる多くの企業によって構成される団体ゆえのことだろうか。

実際の製品が増え始めたのは、ロゴ認証を開始した2005年第3四半期から約1年後、2006年くらいのこと。この時点で認証機器が100を超え、さらに翌年2007年は1,000機種を突破、さらにその翌年となる今年2008年は3,000機種を超えている。DLNA対応機材は加速度的にその数を増やし、一般的なものになってきている。

なお今年2008年第2四半期には、プリンターのコントローラーやUP&DOWNのデバイスキャパビリティ認証を追加しているが、これに関しては後で詳しく説明することにする。また、来年にはガイドラインv2.0が発行予定となっている。

DLNAの歩みを示した年表

■ガイドラインのバージョンアップで何が変わった?

まず、DLNAでは基本的なデバイスの役割(機能)を「デバイスクラス」というもので表している。さらに「デバイスキャパビリティ」という追加機能を追加することもできる。

ちなみにv1.0では、モバイル対応は将来的なものとしていて、デバイスクラスは単純に「デジタルメディアサーバー(DMS)」と「デジタルメディアプレイヤー(DMP)」の2つしかなかった。V1.0ではクライアントからサーバーのコンテンツを検索し、再生するというごくシンプルな仕組みしかなかったのだ。そして、対応しているメディアもビデオ、音楽、写真などしかなかった。

実を言えば、現在のソニーのBDZ-X100などのブルーレイレコーダーのDLNA機能はこのv1.0に対応しているものであり、サーバーにアクセスしてメディアを再生するものにとどまっている。これはDLNAの最も基本的な機能であり、「2Box Pull」と呼ばれるものだ。

DLNA v1.0ではサーバーに対してプレーヤーがリモート接続する機能を持つ

次に登場したガイドラインv1.5では、まずデバイスの役割の種類が大きく拡張された。対応デバイスの種類として「コントローラー」(フルネームではデジタルメディアコントローラー:DMC)という新しい概念のものが追加されたのだ。

このコントローラーは、DMSとDMPをコントロールする機能を持っている。どういうことかというと、テレビのリモコンのようにDMPの中にあるメディアの再生をDMCが指示すると、DMSでそれが再生されるという感じだ。

さらに「レンダラー(デジタルメディアレンダラー:DMR)」というメディアの再生機能だけを持つデバイスクラスも追加された。つまり、再生の指示自体はDMCから出して、DMRは再生だけを受け持つというわけだ。

そして、「プリンター」(デジタルメディアプリンター:DMPr)という、プリントを実行するデバイスクラスも追加された。

コントローラはサーバーとプレイヤーに指示を出して再生処理を行わせる。これを3BOX Pullとも呼ぶ

DLNAブースに展示されていたNECの参考出品のロボット。音声操作によるDLNAコントローラ機能を搭載している

さらに、v1.5ではモバイル環境でのデバイスクラスが追加された。モバイル向けには、デバイスクラス名称の先頭に「M-」が付くようになり、メディアサーバー、メディアプレイヤー、メディアコントローラに相当するM-DMS、M-DMP、M-DMCに加え、ダウンロード機能、アップロード機能であるM-DMD、M-DMUが追加された。

従来のDLNAではメディアの再生はストリーミングが常識であったわけだが、これらによってファイルのダウンロード、アップロードに対応したのだ。

ちなみに、モバイル向けのデバイスクラスが登場したことにより、こちらをMHD(Mobile Hadheld Devices)というジャンル名で呼ぶことになり、従来のモバイルでないデバイスクラスはHND(Home Network Devices)というジャンル名で呼ばれることになった。

DLNAガイドラインv1.5には12個のデバイスクラスがある

■v1.5では様々な機能が追加に

DMSとDMPという単純なモデルから、このような多様化した形式に進化したことで、v1.5ではネットワークの接続規格や対応メディアの違いなどが表面化し、デバイス間の連携が難しくなった。

そのため、それを埋めるために、MIU(Mobile Interoperabirity Unit)、M-NCF(Mobile Network Connectibity Funcition)という2つのデバイスクラスがHID(Home Infrastructure Devices)という新しいジャンルとして追加された。

前述のようにM-NCFはホームとモバイルの異なるネットワーク間をつなぐブリッジ的な機能を持ち、MIUはメディア形式を変換する機能を持つことを示している。

また、上記のようにデバイスクラスが追加されたのに加え、機能を追加することができる「Device Capability」という機能も追加された。これには以下の5つのものがある。

・+UP+:アップロードコントローラ
・+DN+:ダウンロードコントローラ
・+PU+:プッシュコントローラ
・+PR1+:プリンターコントローラー +イメージ コンテント ソース
・+PR2+:プリンターコントローラー(外部機器にあるイメージを印刷)

つまりは、現在のデバイスキャパビリティではアップロード、ダウンロード、再生、プリントなどのDLNAのジョブ実行を指示するコントローラー機能が追加できるわけだ。

なお、DLNAはネットワークでコンテンツを配信するため、著作権保護が必要なコンテンツを転送する場合を想定した「リンクプロテクションガイドライン」というものが定められている。この著作権保護のためには「DTCP-IP」が使われることになっており、オプションでWMDRM-NDも使うことができる。このリンクプロテクションガイドラインはDLNAガイドライン1.0の発行より後の2006年に発行されており、ガイドラインv1.5では必須となっている。

著作権保護が必要なときのDLNAのメディア配信

■v2.0で何が変わる?

先述したように、DLNAは来年にv2.0が登場予定となっている。デバイスクラスを大幅に追加したv1.5に対して、v2.0ではどう変わるのだろうか。

大きいのは、物理層のオプションインターフェースとしてMoCAを採用している点だ。MoCAは米国で普及している同軸ケーブルを使ったホームネットワークの規格であり、高速で安定したマルチメディア通信を可能にするというものだ。

そして、デバイスクラスの面ではv1.5のままであるが、以下の5つの機能をオプションで追加できる予定になっている。

・リモートユーザーインターフェース機能
・番組表機能
・録画予約機能
・コンテンツの同期機能
・リンクレイヤーの保護機能

DLNAガイドラインv2.0での機能拡張

「リモートユーザーインターフェース機能」は、ハードディスクレコーダーのようなデバイスをDMSとして、テレビのようなクライアント表示デバイスに操作インターフェースを与える機能。操作をコントローラデバイスで行うことも可能だ。

「番組表機能」はその名の通り、番組表に関する機能。ハードディスクレコーダーなどのDMSが、テレビなどの番組表クライアントにEPG番組表データを渡すというものだ。この場合、Device CapabilityとしてEPG Controlerが追加される。

そして「録画予約機能」は、ハードディスクレコーダーのようなチューナーを持つ機器に対して、モバイルデバイスやTVのようなクライアントデバイスから録画予約ができる機能。この場合、Device CapabilityとしてScheduled Recording Controllerが追加される。

当然、先の番組表機能と併用すれば、番組表で番組を選択して録画予約を実行することができる。

DLNAによって録画予約がより一層強化されることに

「コンテンツの同期機能」では、ハードディスクレコーダーのようなDMSとデジカメ、携帯電話、デジタルオーディオプレイヤーなどの機器との間でコンテンツデータの同期をすることができる。Device Capabilityとして、Upload Sync Controller、Download Sync Controllerが追加される。

最後に「リンクレイヤーの保護機能」だが、これはWi-Fiのセキュリティ自動設定機能であるWPSに対応すること、そして無線LAN規格の802.11nに対応するというものだ。

■加速度的な普及の予感がするDLNA

DLNA2.0ではモバイル関連の機能強化が多いが、最近、携帯電話の世界でも定額パケット通信が常識となったこともあり、DLNAガイドライン2.0が発行されれば、これに対応した携帯電話端末が続々と出てくるかも知れない。

そうなれば、レコーダーの録画予約やデータのシンクロが、サーバーとクライアントのメーカーに関係なく、DLNA2.0対応であれば実現できるわけで、パワーバランスにさまざまな影響を与えるのではないだろうか?

しかしそれ以前に、ガイドライン1.5のDLNA対応プリンターなども現時点では国内で登場していない。来年のガイドライン2.0の発行以後、さまざまなDLNA対応機器が登場し、DLNAの普及が加速度的に進む可能性もありそうだ。

DLNAブースに展示されていた参考出品のDLNA対応プリンタ

(一条真人)

執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。

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