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<開発者に聞くBDカム“Wooo”の秘密>初心者もヘビーユーザーも満足できる製品が目標だった

公開日 2007/09/07 17:03
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フルハイビジョン映像を次世代光ディスクのBDメディアに直接記録できるBD(ブルーレイ)カム“Wooo”が日立製作所から発売された。ラインアップは30GBのHDDを搭載するハイブリッドタイプの「DZ-BD7H」とBDへの直接記録のみの「DZ-BD70」という2種類だ。

テレビのデジタル放送と同じ1,920×1,080ドットでのフルHD画像をBDレコーダー/プレーヤーでそのまま再生できるBDビデオ形式で記録できるのが新しい。

この製品の詳細については特設サイトに詳しくまとめてあるので、そちらを参照いただきたい。DZ-BD7シリーズの魅力を要約するなら、世界初の集大成ということ。その苦労は並々ならぬものだろう。今回はいかにして次世代ムービーが完成したのか、開発者インタビューを通して明らかにしていこう。

まず製品のコンセプトについて、商品企画の立場から日立製作所 コンシューマ事業グループ デジタルコンシューマ事業部 商品企画本部 戦略部 大野敦寛主任技師に伺った。

日立製作所 コンシューマ事業グループ デジタルコンシューマ事業部 商品企画本部 戦略部 大野敦寛主任技師

━━ハイビジョンムービーとしては後発になってしまいましたが、すでに発売されている他の方式ではなくBDにこだわった理由は?

大野氏:たしかに市場にはAVCHDやHDVなどの方式を採用したハイビジョンムービーが発売されています。しかし、これから家庭でのハイビジョン録画の主流になるBDメディアに直接記録できる方式こそ、使い勝手がよく受け入れられると考えました。なぜなら日立は2000年に世界初のDVDカメラを発売しており、それ以降、ディスク記録型のムービーカメラ市場を開拓し続けていました。ですから、「そのまま録画できて、そのまま再生」というこのとの大切さ肌で感じています。BDへハイビジョン記録ができるようになってもそれは同じです。DZ-BD7シリーズでは8cmのBDメディアに約1時間のフルHD記録が可能です。これはそのままBDレコーダーやBDプレーヤーで再生できるのは大きなアドバンテージだと思います。


BDカム“Wooo”を片手に、グリップ感などを確かめる鈴木氏
もう一つは容量です。BDなら8cmのディスクでも7.5GBもの容量があります。これによりMPEG4 AVC/H.264の15MbpsのフルHD画質で、直接1ティスクに1時間記録できます。AVCHD方式でDVDに記録するタイプですと同じMPEG4 AVC/H.264方式でも12〜13Mbps程度での記録になります。8cmDVDメディアの容量は片面1層で1.4GBしかないので 15分しか録画できません。

━━1枚の8cm BDメディアに1時間録画できますが、さらにHDD搭載タイプもラインアップに加えたのはなぜですか?

大野氏:日立ではHDDとDVDに対応するハイブリッドカムを世界で初めて発売しました。ユーザーの皆さんには直接ディスクに記録できれば十分というライトユーザーから、一度HDDに長時間録画をして、それから本体で編集などをしてDVDに保存したい、というヘビーユーザーもいらっしゃいます。このどちらのニーズも満足させたいと、今回ハイブリッドタイプのBDカメラDZ-BD7Hを開発しました。

日立製作所はDVDカメラ、HDD&DVDカメラと、常にディスク方式でホームムービー市場をリードしてきた。その集大成が今回発売された2種類のBDカムということだ。

つぎに個性的なデザインについて探ってみよう。世界初の技術を包んだのは、斬新なデザインだった。日立製作所 デザイン本部 ホームソリューションデザイン部専門デザイナー石橋厚氏にお話を伺った。

日立製作所 デザイン本部 ホームソリューションデザイン部専門デザイナー石橋厚氏

━━デザインコンセプトは?

石橋氏:世界初が詰まった製品ですから、デザインで“それ”がわかるように表現しています。直線的なデザインのムービーが多い中、いままでの製品と一線を画すことをビジュアルから伝えたかったですね。

━━本体が丸みを帯びていますね?

石橋氏:この丸い部分はBDのディスクをイメージさせています。実際は丸い部分にディスクが入るわけではなくグリップ側にドライブを内蔵しているのですが、BDという最高のディスクメディアに記録することをアピールするデザインにしました。フォルムを美しくするためにアクセサリーシューを隠すシューカバーやバッテリーを本体に隠すようなデザインにしました。

後方から前方にかけて絞り込むような美しいフォルムのデザインを採用。機能を犠牲にせず先進的なデザインを完成させたのは、製品を知り尽くすインハウスデザイン(社内デザイン)だからなしえた結果だ

アクセサリーシューなどは本体に隠れるようにカバーされており、滑らかなデザインをいっそう引き立てている

DZ-BD7HとDZ-BD70を比べると、HDDを内蔵するのでDZ-BD7Hのほうが厚みがあるが、どちらもしっくりと手になじむデザインになっている。奇抜で好みの別れるデザインだが、SF映画から抜け出したようなその姿には、先進性をアピールするフェロモンが漂っている。特撮映画世代の筆者としては、なかなかシビレルものがあった。目立つ液晶モニターカバーにはブランドのWoooではなくBDのロゴマークが誇らしげにあしらってある。

石橋氏は「新規格の商品だけに、設計変更によるデザインの修正にはかなり泣かされた」と苦労の日々を振り返るが、機能を最優先にしながら、デザインコンセプトを揺るがすことなく完成させた満足感は高いようだ。

次回は世界初の画質について迫ってみる。

(鈴木桂水)

筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、日経 BP社デジタルARENAにて「使って元取れ!ケースイのAV機器<極限>酷使生活」などで使いこなし系のコラムを連載。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら

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