<Display 2007 基調講演>NHK技研 谷岡所長が語るスーパーハイビジョンのいま

2007年04月11日
フラットパネルディスプレイの総合展示会「Display 2007」「第17回 FINETECH JAPAN」が本日11日より3日間、東京ビッグサイトで開催されている。

会期初日の本日、「ポスト“ハイビジョン”を狙う“スーパーハイビジョン”〜FPDへの期待と可能性」と題した基調講演が開催された。講演を行ったのは、NHK技研所長の谷岡氏、東芝 デジタルネットワーク社 社長の藤井氏、パイオニア 専務取締役の山田氏の3名だ。

本項ではNHK谷岡氏の講演の内容をレポートする。

スーパーハイビジョン 〜究極の光臨情感TV放送システムの実現を目指して〜
 日本放送協会 放送技術研究所 所長 谷岡健吉氏


NHK技研 谷岡所長
谷岡氏は、これまで同社が発表してきたスーパーハイビジョン技術を総括した内容の講演を行った。

まず同氏は地上デジタル放送の普及状況を示し、「ハイビジョン放送がようやく普及してきたという感じだ。東京オリンピックをテレビで見ていたとき、私は高校生だったが、NHKではすでにハイビジョンの研究に着手していた。研究者達は、一つの技術が普及した頃にはすでに次の技術を用意していなければならない」と語り、スーパーハイビジョンが次に目指すべき目標であることを紹介した。

NHKではスーパーハイビジョンの研究を2000年からスタートさせた。まずスーパーハイビジョンの映像の規定に関しては、観察画角が及ぼす心理効果や、人間の視野の特性を考慮した結果、観察画角100度、解像度7680×4320画素に決定したのだという。視力1.0の人が1度で認識できる画素数が約60画素で、これを、視野に入ると方向感に影響する「誘導視野(100度)」に広げると3,300万(7,680×4,320)画素になるのだという。


現状のハイビジョンとの画素数の比較

人間の視野の特性
NHKが目指すのは、家庭のテレビにスーパーハイビジョン映像を届けること。同氏はこれを実現するために、「大容量の映像情報を撮影、記録、圧縮、伝送、表示するそれぞれのブレークスルーが必要だ。特に家庭で視聴するためには、100インチ程度のディスプレイの開発が重要となる」と説明した。

続いて同氏は、スーパーハイビジョンの開発の現状についての説明を行った。内容はこれまでの技研公開(関連記事)やスーパーハイビジョン生中継実験(関連記事)で紹介されたものに沿っており、22.2ch音声や評価用プロジェクターの概要、撮影用カメラ、伝送方法、ストレージ方法などを紹介した。


22.2chの音響システムも開発した

評価用のプロジェクターはR、G1、G2、Bを2台で投写する
スーパーハイビジョンを100インチで実現するための技術としては、パネルの高精細・高効率化を図ったPDPの開発を続けており、現在では画素ピッチ0.3mmの高精細パネルの開発に成功している。


画素ピッチ0.3mmのPDP

6.5インチPDP評価機を開発
最後に同氏は、「研究所レベルでは2025年までに実用化に持っていきたい。2016年に東京五輪が開催されるのであれば、そこで試験放送などを行えたらと思っている」と、スーパーハイビジョン放送実現に向けた具体的なスケジュールを明かした。さらに「7680×4320画素の放送は現在の技術では不可能だが、従来にない感動を与えることができ、究極の映像だと考えている。我々としては、他の国ではできないことをやらなければと思っており、それを実現するためのブレークスルーが必要で、そのためには国の支援も必要だと考えている」と語った。また、欧州などと協調してスーパーハイビジョンの規格標準化を図っていきたいという意向も明らかにした。

家庭導入に向けた課題

スーパーハイビジョン 今後のスケジュール


(Phile-web編集部)

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