デジタルレコーダーフリーク・折原一也が語る “Wooo” iVDR-S録画のメリット

2007年03月30日
3月20日に発表(関連ニュース)された日立の薄型テレビ“Wooo”最新モデルのうち、ハイエンドのXR01、ミドルレンジのHR01シリーズ、デジタルレコーディング最新トレンドの一翼を担うテクノロジーが採用された。録画をターゲットにしたリムーバブルHDD「iVDR-S」(Information Versatile Disk for Removable usage −Secure)への対応だ。

P50-XR01

L37-XR01

●着脱式のHDD「iVDR-S」を採用した最新Wooo

iVDR-Sとは、HDDを専用のカートリッジに格納した、リムーバブル型(着脱可能)なHDDメディアだ。デジタル放送録画用途向けには、著作権保護技術「SAFIA」(Security Architecture For Intelligent Attachment device)の策定が行われ、デジタル放送録画機において対応が必須となるARIBとBPAから公式に認定されている。この著作権保護対応のメディアは「iVDR-Secure(iVDR-S)」と呼ぶ。

今回発表されたXR01とHR01の両シリーズは、内蔵HDD(これも「iVDR-Secure Built-in」規格を採用)のほかに、別売のiVDR-Sを着脱して使える「iVポケット」を搭載。標準のHDDに加えてiVDR-Sを追加して内蔵HDD同様に直接録画を行ったり録画した番組を相互に高速移動(ムーブ)することもできる。

日立マクセルから発売されるiVDR-S(右はカットモデル)

“Wooo”本体右側面にiVポケットを装備する

このiVDR-S搭載Woooの持つメリットは単純に容量不足を解消するだけでなく、ユーザーの感覚にもフィットする、大きな利便性に繋がっていくと筆者は考えている。デジタルレコーダーフリークを自負する筆者の経験と考察を交えて、iVDR-Sのメリットを紹介していこう。

●「iVポケット」に160GBの超大容量メディアを差し込める

テレビ放送の録画やアーカイブを行うデジタルレコーダーは、例えば250GBの内蔵HDDとDVD/Blu-ray Discドライブといったかたちで、主に録りためるためのメインHDDと、ディスク保存のためのドライブを内蔵している。ディスクの録画時間はDVD、Blu-rayともに映画1作品をディスク1枚に保存してちょうど良い程度で、録画して残したい番組をアーカイブする用途には理にかなった構成である。しかしながら、日立の発表によるとアーカイブした番組は必ずしも再生されているわけではない。

HDD録画番組はいつ消去するか、を日立が調査した結果

この発表の数値は、筆者の経験からもよく分かる。ディスクにアーカイブすれば、内蔵HDDに録画してある状態と同じでいつでも見られるのは確かだ。それなのにアーカイブすることに気が進まないのは、ディスクを取り出してセットするよりも、内蔵HDDの録画番組タイトル一覧から選ぶだけの方がはるかに便利という事実に起因している。頭ではHDDに録画しておき、DVDにアーカイブする方式が合理的と理解していても、結局のところHDDが一杯になるギリギリまでアーカイブも削除も行わない。アーカイブをしたらそれを最後に滅多に再生しない。こんな使い方をしているユーザーは、筆者のほかにも沢山いるだろう。

この使用スタイルに対する悩みは、Blu-rayレコーダーを導入して「ドラマ1クール丸ごと一枚に保存」という使い方を試したことで、ある程度解消されると思っていた。ところがメインソースがHD画質になり、デジタル放送の録画では2層Blu-rayの50GBメディアを使っても容量が足りない。筆者は結局のところアイ・オー・データの録画HDDであるRec-Potシリーズを用意して、操作性に多少不満を持ちつつも「超大容量の録画用リムーバブルメディア」として使用している。

この不満を解消するのが、今回Woooが採用した、iVDR-Sを使ったアーカイブ環境なのである。Woooシリーズと同時に日立マクセルが160GB iVDR「M-VDRS160G.TV」を発表しており容量は十分。さらにそれを複数台差し替えて使えることは、iVDR-S採用の大きな強みであると言えよう。

●iVDR-Sなら気軽に録画・消去ができてデジタル放送の書き戻しにも対応

DVDやBDのアーカイブに気が進まなかった原因は、メディア一枚の容量が小さかったことだけだろうか。もう一つの要因としてディスクにアーカイブすることに対する感覚的な”怖さ”とも言える抵抗感を指摘しておきたい。

例えば全12話程度で放送されている連続テレビドラマを保存する場合、1枚のDVD標準画質で2話収録できるので、全6枚の構成となる。この場合、放送直後にすぐに番組をアーカイブしてしまえば内蔵HDDの容量も節約でき合理的だ。しかし多くのユーザーがこういった使い方をせず内蔵HDDに貯め込むのは「残すかどうか最終話まで見てから決めたい」と考えるからではないだろうか。

この発想の裏には「最後まで見て保存に値するか判断したい」「途中で一話でも録り逃したら全部いらなくなる」「最終回だけ2時間スペシャルになったら録画スケジュールが乱れるかも」などといった現実的な判断がある。気に入った番組は保存したいという意向はあるにせよ、早期に決断を下してアーカイブを始め、途中でミスに気づくのは誰もが怖いのだ。これは、コピーワンスの制限によってDVDやBlu-rayなどメディアに一度ダビングしたら内蔵HDDから消去されてしまい、書き戻しもできないデジタル放送では大きな問題だ。

それでは、この問題を解決するにはどのような機能が求められるのだろうか。先に述べたアーカイブへの抵抗感は「途中で失敗するかもしれないことを、やり直しのできない半端な状態で実行したくない」という心理が背景にある。その一方で内蔵HDDの容量には限界があり、時間的な余裕もない。この問題の解決に求められるのは「とりあえず保存はできて、やり直しもできるメディア」である。

iVDR-Sはこの条件を完全に満たしている。現在の必須であるデジタル放送のHDアーカイブを可能としているのはもちろん、コピーワンス制限のある番組を一度アーカイブ(ムーブ)した番組を内蔵HDDに無劣化で書き戻しすることができる。さらに基本的にHDDであることによって読み書きは自由に行うことができ、途中で失敗した番組は消去すれば済む。

●保存に悩んだ番組を気軽にiVDR-Sに残せるメリット

iVDR-Sが活躍するシーンは、何も放送中の番組を録画していくだけではない。

全話放送の終わったドラマや映画、バラエティ、スポーツなど単発の放送については、放送途中と同じように時間に追われることはない。しかしながら、今度は「本当にアーカイブする価値があるのか」「もっと画質の良いセル作品が出るのではないのか」と思い悩むことになる。「アーカイブにかかるメディア代を払う価値があるのか」という葛藤が、ディスクへの保存をためらわせるのだ。

ディスクへの保存をためらっていると、消去してしまった番組に対して「やっぱり残しておけば良かった」と後悔することも、当然あり得る。しかし、その可能性を考えて録画した番組を全部残すという選択肢を選ぶことに対するコストもかかり、最終的には「残さない」という選択肢を取っているのが現状だ。

この悩みを解決するには、「保存はしたいけど、メディア代を無駄にしたくない」という悩みに解答を与えれば良い。

これにもiVDR-Sの特性が実に上手くフィットする。残すか消すか悩んだ番組はいつまでも内蔵HDDに保存するわけにいかないので、とりあえず気になった番組はiVポケットにセットしたiVDR-Sに保存しておく。しばらく時間が経ってから必要かどうかを判断して、不要なら消して再び録画用のメディアとして使えばよい。これだけでも気分的には相当ラクになる。「判断を先延ばしにする」という使い方ができるのは、大容量でデジタル放送の双方向ダビング(書き戻し)ができるiVDR-Sの強みである。

●iVDR-Sの発展はもちろんWoooならBlu-rayとの連携も可能


日立はiVDRをテレビ以外にも広げていく計画だ
iVDR規格全体の今後の展望は、今回発売されたプラズマ・液晶“Wooo”を皮切りに、幅広い製品が発売される見込みだ。実際の応用範囲としては、今回のテレビ内蔵方式のほかにiVDR-S対応のデジタルレコーダー、カーAVでの展開が視野に入っている。iVDR-Sで採用された著作権保護技術SAFIAは標準規格として認められたものであり、対応機器間で録画した番組の相互運用もできる。これから運用の幅も広がっていくはずだ。

マニアの視点としては、薄型テレビ“Wooo”の主要モデルがi.LINK端子を搭載しており、外部機器へのムーブが可能となっていることも注目したい。現在のDVDレコーダー“Woooシリーズや他社BDレコーダーでは、i.LINKを通して録画した番組を”受ける”使い方ができるので、薄型テレビ“Wooo”でiVDR-Sに録画した番組は、最終的にBlu-ray Discにアーカイブすることもできる。Blu-rayにアーカイブできれば、最終的にはBDプレーヤーなどを使った再生も可能となる。既存のAV機器との連携をしっかり視野に入れているあたりに商品企画の良心を感じる。

●使い勝手に絶大なメリットのあるiVDR-Sの将来に期待

今回は完全にデジタルレコーダーマニアの視点からiVDR-Sのメリットに触れていった。もちろん家族で使用しているようなユーザーにとっては、iVポケットを活用したディスクの使い分けも魅力的である。これからもiVDR-Sを使った録画環境が広がっていき、その利便性が伝わることに期待したい。

(折原一也)

折原一也 プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。


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