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<山之内正のCES2007レポート>理屈抜きの訴求力を持つ松下電器と東芝のフルHDディスプレイ

2007/01/10
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CESでは例年にも増して薄型ハイビジョンディスプレイの比重が高まっており、もはやHDというだけでは他社との差別化ができない状況になった。フルHDなど解像度の高さをアピールするだけでなく、独自技術による画質改善を訴えるなど、他とは違う画質を実現するための技術を前面に出す必要に迫られてくる。各社の薄型ディスプレイの展示が自社技術の優位性解説コーナーになっている背景には、そうした理由がある。

そうした解説を読まなくても、パネルの美しさだけで来場者の目を引き付けるディスプレイも存在する。ソニーの有機ELは別格として、現行方式のディスプレイのなかでは松下の42型フルHDプラズマパネルの試作品と、東芝の新レグザシリーズが特に目を引いた。

パナソニックブースに展示された42型フルHD試作パネルの映像。緻密なディテール再現となめらかな遠近感に注目

同じく42型パネル試作機の映像。輝度レンジが広く、海面の微妙な階調を忠実に再現している

50型以上ではプラズマでも今後はフルHDパネルが脚光を浴びることは間違いないが、42型クラスでは液晶タイプの独壇場になっている。その構図にメスを入れるためには、このクラスにも完成度の高いフルHDパネルを投入することが求められていた。日本の視聴環境では37型〜42型が中心サイズになる可能性もあり、このクラスでプラズマの優位を獲得するためには、フルHDが強力な武器になるという背景もある。

今回松下が展示した42型のプラズマパネルは試作段階のパネルで、製品化されたものではないが、映像の完成度の高さは期待以上であった。照明をぎりぎりまで落とした環境での視聴でも黒の深みにゆとりがあり、引き締まった立体感を引き出す。画素を小さくすることの最大の弊害は輝度の低下だが、その点に関してもほぼ満足できるレベルに近付いている。その確実なコントラスト感とフルHDならではの精細感が相乗効果を生み、写真に紹介したような情報量の多い画像で奥行き方向の優れた描写力を見せ付けた。

かつて松下はプラズマテレビにおいては50型以上でフルHD解像度の真価を発揮すると明言していた。つまり、42型以下ではフルHDのメリットは少ないということになる。だが、今回出品した42型フルHDパネルの映像を見る限り、その発言を見直す必要がありそうだ。

液晶テレビ陣営で優れた画質を見せたのは米国向けに多数ラインナップされた東芝の新製品群である。なかでも高画質志向の強いLX177シリーズ(42LX177、46LX177、52LX177、57LX177)の映像はひと目でわかるアドバンテージがあり、筆者の目を引いた。

一番の目玉は120Hz駆動による応答速度の改善で、比較デモンストレーションでもその効果は一目瞭然。単純な黒挿入では輝度の低減が避けられないので、画像解析によってガンマを制御した映像を挿入し、自然な動きと明るさを両立させたという。動解像度の改善は液晶陣営共通の課題であり、倍速駆動も他社がすでに導入済みだが、ここまで凝った演算処理を導入した例は少なく、効果の大きさと自然さで一歩抜きん出た感がある。

52LX177の映像は自然な階調表現を継承。動解像度と細部のコントラスト感が大きく改善されている

新しい米国向けレグザ「シネマシリーズ」に搭載したクリアフレーム技術の比較展示。HD DVDソースで動解像度の違いをアピールした

HDMIの最新スペックであるディープカラーとxvYCCをサポートし、「DynaLight」と名付けたバックライト制御を導入するなど、120Hz駆動以外にも注目すべき技術が並んでいるが、これらはいずれも東芝のテレビ開発陣が「次の一手」として昨年から慎重に準備していたもので、今回が初公開となる自慢の技術である。

レグザシリーズは米国市場でも昨年着実な伸びを見せた。ディスプレイ分野でシェア向上を狙う東芝としては、ここでさらに商品力を強化して「レグザ」ブランドを定着させなければならない。CES会場やラスベガスの街なかに「REGZA」のロゴを頻繁に露出させ、プレスカンファレンスでもHD DVDよりも多くの時間を割いて新製品の特徴をアピールした。そうした積極策が実を結ぶかどうかは製品のクオリティにかかっている。今回の展示で見せた映像を発売までにさらにブラッシュアップして実機に搭載することができれば、見通しは明るいと思う。日本国内モデルへの導入もそれほど遠くない時期に実現するのではないだろうか。

(山之内 正)

ces2007

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