HOME > ニュース > <折原一也のCEATECレポート>DLNAの著作権保護技術を発表 − 暗号化技術はDTCP/IPが必須に

<折原一也のCEATECレポート>DLNAの著作権保護技術を発表 − 暗号化技術はDTCP/IPが必須に

2006/10/05
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
国内でも普及が進みつつあるデジタルホームネットワークのガイドラインであるDLNA(Digital Living Network Alliance)は、ブースによる展示と10月5日にキーノートセッションを実施。著作権保護技術「DLNA リンク プロテクション ガイドライン」の発表と説明が行われた。

キーノートセッションには、DLNA社長兼ボード議長、ソニー・エレクトロニクスの副社長スコット・スマイヤーズ氏と、DLNAボードメンバー松下電器産業(株)スタンダードコラボレーションセンター所長の南方郁夫氏が登壇した。

●キーノートセッションでは著作権保護技術を紹介


DLNAキーノートセッションはスライドを使って解説が進められた
「DLNA リンク プロテクション ガイドライン」はDLNAを使った商用コンテンツの流通を意識しており、著作権保護がされた形での、コンテンツのネットワーク配信を実現するためのものだ。暗号化技術にはDTCP/IPが必須条件として採用。オプションとしてWMDRM-NDが定められている。このうちDTCP/IPは、ARIBによって日本のデジタル放送の伝送方法として認められており、デジタル放送との親和性の高い仕組みとなっている。WMDRM-NDは、主にPCを使った動画や音楽配信に用いられている。

なお、DLNAリンクプロテクションガイドラインは現行のDLNAインターオペラビリティガイドライン(相互運用ガイドライン)に準拠しており、アップデートとして発行、今月末までにリリースされる予定だ。

キーノートセッションでは、3月に発表された「DLNA拡張ガイドライン」についても説明が行われた。簡単におさらいしておこう。

DLNA拡張ガイドラインは、昨年の時点では「DLNA Ver.1.5」と呼ばれていたもので、モバイル機器などを想定したコンテンツのアップロード、ダウンロードの転送、プリンター(DLNAガイドライン デジタルメディア・プリンタ)による印刷機能もサポートされた。あるDLNA機器を別のDLNA機器に対するリモコンのように使う3box機能も追加。このほか再生できるファイル形式にMPEG4やAAC、MP3などを追加している。通信方法には有線LAN、無線LANに加えてBluetoothをサポートし、さらに簡単なQoS(ネットワーク帯域を保証する機能)などが簡単に紹介された。

●展示ブースは巨大な相互接続ネットワークデモ

会場内のDLNAの展示ブースには、今回もDLNAとして大きなブースを出展して各メーカーより47の製品が実際に相互にアクセス可能な状態で並べられていた。展示されていたもののうち、いくつか気になったものを紹介しよう。

DLNAのブースでは時折、活用の方法を説明するデモンストレーションが実施されていた

DLNA対応の機器は数多くの製品が展示。TVチューナー搭載のPCはほとんどのメーカーの製品を見ることができた

各社NAS(ネットワークHDD)もDLNAへの対応が進んでいる


ソニーのルームリンクやVAIOはデジタル放送に対応。これはDTCP/IPを使って本日発表されたガイドラインに先行して独自に実現している

北米で発売予定のパイオニアのBDプレイヤーもDLNA対応。ハイビジョンは対応しているがDTCP-IPには非対応だ

ヒューレット・パッカードからはDLNA拡張ガイドライン対応のプリンタを展示。印刷の実行はDLNAプリンタ・コントローラ機器からネットワーク経由で実行する

デモされていた内容のうち、DLNA対応機器の試みとしてユニークだったのが、Yahoo!デジタルホームによる実験だ。これはDLNAサーバーにYahoo!へのアクセス機能を搭載しておき、クライアント側からアクセスするとYahoo!のページ情報を画像として表示。この仕組みを使ってDLNA機器とリモコンを使ってYahoo!のニュースやYahoo!オークション、Yahoo!動画などへのアクセスを可能とするものだ。今回は会場内にダミーのサーバーを設置して提供されていたが、DLNAの新しい使い方として注目が集まるだろう。


Yahoo!デジタルホームの画面。インターネットへのアクセスはサーバー側で行われクライアントは通常のDLNAクライアントを使用する

Yahoo!オークションの表示も対応。ちなみにデータ入力はできないが携帯電話のQRコードと連携する仕組みが検討されている
DLNAへの対応は様々な製品で進んでおり、ホームネットワーク既に身近なものになろうとしている。今回の「DLNA リンク プロテクション ガイドライン」の登場によって、地上デジタル放送を録画したコンテンツの共有への対応も加速が見込まれる。2007年はDLNAが大ブレイクする年となるかもしれない。

(ライター・折原一也 プロフィール

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE