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「自宅がセンチュリーホールの一番良い席になる」

ヤマハ技術者も鳥肌、『響け!ユーフォニアム』定演会BDのアトモスサウンドに感動

公開日 2021/12/15 12:00 編集部:杉山康介
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「センチュリーホールの一番良い席」はおうちでも楽しめる?

続いて、アトモス作品をコンシューマー環境で検証するための試写室「EMULATION A」に移動。ヤマハの最新フラグシップAVアンプ「RX-A8A」を使った7.1.4ch環境で試聴を行った。

続いてコンシューマー環境を想定したシアタールームにて試聴を行なった

ーー先ほどの試聴では大絶賛されていましたが、プロの制作スタジオでいくら良い音だったとしても、一般ユーザーの環境でちゃんと聴けないと意味がありません。ということで、藤澤さんも携わられているAVアンプ「RX-A8A」で聴いていただきましたが、いかがでしょうか。

藤澤 こうしてひとつの音源をスタジオで聴き、その直後にシアタールームでも聴いてみるのは初めてですが、スタジオで聴けた音をちゃんと再現できていて驚きました。もちろんスピーカーの距離など環境は全然違うのですが、臨場感ある音響空間がしっかりと再現されています。

改めてステレオ音源とも聴き比べてみると、アトモス音源をマルチchで再生することによって全体の音が柔らかくほぐれ、それぞれの楽器の音が細やかになりますし、音量を上げてもうるさくならない、気持ちの良いサウンドになりますね。「響け!ユーフォニアム」を聴いたときは、スタジオで聴いた時と全く同じ箇所で鳥肌が立ちました。

ーーなるほど。先ほどは「センチュリーホールの一番良い席にいるかのよう」とおっしゃっていましたが、それがコンシューマー環境でも楽しめると。

藤澤 スタジオではマスター音源を聴きましたが、同じクオリティのものがBDにパッケージされていることを体感できました。それと手前味噌にはなりますが、弊社のAVアンプを使って、ちゃんとキャリブレーションすればスタジオレベルの環境を作れることも確認できましたね。

ヤマハのフラグシップAVアンプ「RX-A8A」

ーー確かにマルチchはスピーカー数が多い分、事前のセッティングがより大事になってきます。よろしければその道のプロフェッショナルとして、どのようなことをすればいいか改めて教えていただけますか?

藤澤 まずはスピーカーや環境に合わせて出力信号を調整する「キャリブレーション」を行っていただければ、理想的な環境に近づけることができます。弊社のAVアンプであれば、独自のキャリブレーションシステム「YPAO(Yamaha Parametric Room Acoustic Optimizer)」で、わずか数分程度でセッティングが可能です。

また、ご家庭の環境的にハイト用スピーカーの設置が難しいという場合、「Dolby Speaker Virtualization」という機能を使えば擬似的にハイトスピーカーを補完してくれます。基本的にはここまでのセッティングで十分アトモス作品を楽しむことができます。

より深く楽しみたいというときは、コンテンツに最適な音場空間をAIが判断して生成する独自機能「SURROUND:AI」をぜひお試しください。今回も試してみましたが、シアタールームにいることを忘れるような広さの音場空間に包まれます。そしてこれらの機能は、フラグシップのRX-A8Aのみならず、7chアンプモデルの「RX-A4A」(税込132,000円)から使えることもアピールさせてください(笑)。

マルチch環境の構築は確かにハードルも高いですが、それがあればこのコンテンツに込められた魅力を余すことなく体験できます。ぜひ多くの方々に、本作品をマルチchで楽しんでいただきたいです。



藤澤氏も述べていたように、マルチchで聴くアトモス音源の臨場感・感動レベルはまさに “現地さながら” であるが、構築のハードルが高いことも事実だ。そこで藤澤氏の試聴後に、より手軽な再生方法として、サウンドバーを用いた環境での試聴も行なった。

使用したのはSonosのドルビーアトモス対応サウンドバー「Arc」。単体でも擬似的にイマーシブ音場を作り出すことが可能だが、別売のサブウーファー「Sub Gen3」や、スピーカー「One」「one SL」と連携すれば、マルチchをワイヤレスで構築できる製品だ。

Sonosのアトモス対応サウンドバー「Arc」での試聴も行なった

まずはArc単体で聴いてみた。先述の通り擬似的な音場ではあるものの、コンサート会場特有の音が空気中に満ちているような感覚は十分に味わうことができる。正直なところ、これでも再現レベル・満足度はかなり高いと思えるのだが、そこにOneを連携して、リアスピーカーを足すと一気に雰囲気が変わった。

本作のようなコンサート/ライブ作品は、基本的に視聴者の正面でのみ演奏が行われるため、リア側の音がなくても破綻することはない。しかし、背中や後頭部に音がぶつかってくるような感覚があるかないかで臨場感・実在感が大きく違ってくるのだ。

そして本作においては、サブウーファーが素晴らしい働きをしてくれたことも記しておきたい。サブウーファーが加わることで、ユーフォニアムをはじめとした低音楽器の響きが豊かになり、オーケストラとしての厚みや迫力が格段にレベルアップする。特に「響け!ユーフォニアム」のユーフォニアムのソロパートは、ぜひサブウーファーありで聴いていただきたい。ふくよかで甘い、抱擁力すら感じさせる音に感動すること間違いなしだ。

冒頭でも述べた通り、近頃はドルビーアトモスの作品/再生機器がともにどんどん増えてきており、とても身近なものとなっている。今回のようにサウンドバー1本でも簡単に楽しむことができるうえ、AVアンプ+スピーカーで “それ以上” を追求することも可能なので、ぜひともアトモスならではの臨場感・感動を自宅でも味わっていただきたい。

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