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「自宅がセンチュリーホールの一番良い席になる」

ヤマハ技術者も鳥肌、『響け!ユーフォニアム』定演会BDのアトモスサウンドに感動

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編集部:杉山康介

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2021年12月15日
アニメ『響け!ユーフォニアム』のコンサートイベント「公式吹奏楽コンサート 〜北宇治高校吹奏楽部 第5回定期演奏会 5周年記念公演〜」のBlu-ray/DVDが、12月15日に発売される。注目したいのが、BDにはドルビーアトモスのイマーシブ音源が収録されるということである。


なんでも当初は通常のステレオ音源のみを収録する予定だったのだが、シリーズ5周年にして初の定期演奏会パッケージ化、“吹奏楽の甲子園”と呼ばれる名古屋国際会議場センチュリーホールでの公演、何より演奏のあまりの素晴らしさから、「よりリアルな演奏、会場の空気感を届けたい」と、ステレオ音源をアップミックスするかたちでドルビーアトモス音源を作ったのだとか。

『響け!ユーフォニアム』「ドルビーアトモス」ときたら導かれる答えはひとつしかない。そう、ヤマハだ。作中に出てくる楽器は全てヤマハ製で、タイアップ企画も幾度となく実施。さらにヤマハは、ドルビーアトモス対応AVアンプで高い評価を得ているメーカーでもある。

・・・というわけで、ヤマハAVアンプ“AVENTAGE”シリーズの3次元音場創生技術「CINEMA DSP」のサウンドデザインや、AIが再生シーンに最適なサラウンド体験を提供する「SURROUND:AI」などを手掛けた藤澤森茂氏に、本BDのアトモス音源を聴いていただいた。

ヤマハ株式会社 ホームオーディオ事業部 AC開発部 ソフトグループ 藤澤 森茂氏

センチュリーホールの、一番良い席で聴いているかのような臨場感

初めに「イマーシブ」「ドルビーアトモス」について簡単におさらいしておこう。イマーシブは、視聴者の前や後ろ、上へと音を配置することで、さながら包み込まれるような音場を形成する方式。その臨場感の高さから映像作品の分野で多く使われてきたが、Apple Musicが「空間オーディオ」の名で音楽作品を配信開始したこともあり、今、急激に広がりつつある。

そのイマーシブ音源の規格として、特に多く採用されているのがドルビーアトモスだ。Apple Musicの空間オーディオをはじめ、多くのイマーシブ作品で使われていることに加え、近年ではAVアンプからサウンドバーまで対応機器も増えているため、その気になれば簡単に体感できるようになっている。

今回の試聴はポニーキャニオンエンタープライズ本社にて実施。まずはスタジオ「P's STUDIO AR/THREE」の7.1.4ch環境で聴いていただいた。ここはアトモスのミックスなどにも使われるスタジオなため、いわば“アトモス音源としての完成度”が確かめられるわけだ。

アトモス作品を制作するスタジオにて試聴

ーーまずは聴きたてホヤホヤでの、率直な感想を伺えますか?

藤澤森茂氏(以下:藤澤) 臨場感が圧倒的ですね。まるで会場にいるかのように心が動かされる、感動のサウンドです。

音の立体感自体はステレオでも表現できるわけですが、マルチchではより空間を描き分けられるので、一つひとつの楽器の強弱、ダイナミクスといった表現がとてもクリアに聴こえてきて、気持ちの良い体験ができました。

特に素晴らしかったのが絵とのマッチングです。ハイトから高音楽器の音がきちんと聴こえてきて、ホールの天井の高さが絶妙に表現されていますし、センタースピーカーを上手く使えているので真ん中に来るべき音がきちんとセンターに来てくれる。リアも柔らかく包まれるような空間を表現できていて、まさにセンチュリーホールの、それも一番良い席で聴いているかのような臨場感でした。

ーー色々な曲を聴いていただいた中で、特に印象に残った曲はありましたか?

藤澤 もっとも印象的だったのは「響け!ユーフォニアム」ですね。ユーフォニアムのソロは「ああ、目の前で吹いている!」と思えるほど絵に合わせてクッキリ定位しますし、フロント/リア/ハイトの全てで存在感あるサウンド、美しく響く空間が表現されていました。

そしてソロが終わりバックの楽器が入ってくると、音に包まれていくように空間が広がっていく。そういったソロとバックの対話が印象的でした。私も仕事柄フラットに音を聴くように訓練しているのですが、この曲は久々に鳥肌が立ちましたよ。

天井に取り付けられたハイトスピーカー。これがあることで、より高精細な縦方向の空間表現が可能になる

ーー私も後ろの方で聴かせていただきましたが、確かに「響け!ユーフォニアム」のソロから、他楽器が入ってくる箇所の広がり方は感動的でした!

藤澤 もちろん他の楽曲も素晴らしく、例えば「DREAM SOLISTER」はボーカル曲なのでとりわけセンターの影響力が強いですが、ちゃんとL/C/Rの3つを使っているからこそ、スピーカーではなく画面から声が出ている感覚があります。L/Rの2chでもセンター1chでもなく、3ch使った “面” で音を出せるアトモスの利点ですね。

また、「プロヴァンスの風」「三日月の舞」は体を左右に動かしながら聴いてみましたが、視聴スポットが変わっても各パートのポジションがリアルに感じられて、とても臨場感がありました。やはり物理的にたくさんスピーカーを配置できる、というのは強いですよね。

「センチュリーホールの一番良い席」はおうちでも楽しめる?

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