サウンドエンジニア×デノンサウンドマスター、“作り手”同士が語るイマーシブサラウンドの未来

公開日 2021/04/30 06:45 岩井喬

■「AVC-A110のような製品があると、エンジニアとして身が引き締まります」

最後に改めてAVC-A110について、実際のイマーシブサラウンド制作において使えるツールであるかどうか、古賀氏に伺ってみた。

筆者の岩井喬氏

「S/Nが良くて、見えないところも見える。Auro3D、DTSに変換できるのも良いですね。実際Auro3Dも音が良くて、エンジニアとして刺激をもらえますし、プリIN／OUTの数も豊富で、実作業でも使えるアンプです。録音エンジニアとしてもこういう製品が最高峰としてあると思うとすごく嬉しいですし、気概といいますか、気が引き締まります。良質な作品の魅力を余すことなく引き出してくれる反面、ダメなものはよりダメに聴こえますので、こういうハードウェアで再生されても恥ずかしくないもの作らないといけないと改めて感じました」。

そして古賀氏から山内氏へ質問が投げかけられた。プロの間でもマルチチャンネル否定派が少なからず存在することに触れ、今後AVアンプのサウンドマネージャーを務める山内氏が、マルチチャンネルに対しどのように感じているかというものだ。

これに対し山内氏は「2chとの間に確かに感覚の違いはあるにせよ、やはり応用できるものはあると考えています。根っこは共通しているので、あとは純粋に面白さですね。特にアレルギーはなく、むしろすごく楽しめる世界だと考えています。今回のヒゲダンのライブのようにすごく楽しめるものはマルチならではの世界が味わえますからね」と語る。

これを受けて古賀氏も「それは嬉しいです。デノンのAVアンプは低価格帯モデルもドルビーアトモスに対応していますし、そこに山内さんの息吹が入るというのは、より音楽的にも進化しそうで楽しみです。ヒゲダンのライブは自分にとってもリファレンスとなる作品に仕上がりました。多くのAVファンに、音楽ライブにおけるドルビーアトモスの素晴らしさを味わっていただきたいですね」と満足そうに語った。

◇

国内市場においてイマーシブサラウンドはまだ道半ばの印象であるが、古賀氏が語られているように、イネーブルドスピーカーであってもその効果の高さは実感できる。今回のヒゲダンのライブBDは新たなドルビーアトモス体験が得られる作品として、ひとつのマイルストーンともいえる存在となるだろう。

ゆくゆくはAVC-A110を中心としたフラッグシップのAVシステムを見据えるといったAVファンはもちろん、SB550＋HOME 150という手軽なセッティングで実現できるイマーシブサラウンドの世界であってもその恩恵を味わうことができる。『ONLINE LIVE 2020 -Arena Travelers-』を一つのきっかけに、ドルビーアトモスの世界、新たなライブサラウンドの音空間をご堪能いただきたい。

Universe + Official髭男dism ONLINE LIVE 2020
- Arena Travelers -

・CD＋Live DVD：\4,500(without tax)　※特殊スリーブ仕様
DVD：音声16bit 48k PCM 2ch/ 5.1ch DTS Digital Surround
・CD＋Live Blu-ray：\4,500(without tax)　※特殊スリーブ仕様
Blu-ray：音声24bit 48k PCM 2ch / 24bit 48k Dolby true HD（Dolby Atmos）

1. Universe
2. Universe-Instrumental-

Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 - Arena Travelers -
1.HELLO
2. 宿命
3. ノーダウト
4. パラボラ
5. ビンテージ
6. Rowan
7. 夏模様の猫
8. イエスタデイ
9. Laughter
10. たかがアイラブユー
11. 115 万キロのフィルム
12. 異端なスター
13. 旅は道連れ
14. 夕暮れ沿い
15. FIRE GROUND
16. Stand By You
17. Pretender
18. I LOVE...
19. ラストソング
[特典映像]
・Behind The Scene from Official髭男dism ONLINE LIVE 2020
- Arena Travelers -
・メンバー副音声オーディオコメンタリー付き

視聴タイトル紹介

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