11.2chプロセッシング対応/HEOSにも対応

デノン「AVR-X4300H」をレビュー。9chアンプ搭載・アトモス/DTS:X対応のミドルクラス機

山之内 正

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2017年04月03日
デノンのミドルクラスAVアンプ「AVR-X4300W」は、この価格帯ながら11.2chプロセッシング対応/9chアンプ搭載を実現。本格的なドルビーアトモス/DTS:Xシステムを1台で構築できる仕様、そして上位機直系のサウンドを備えている。山之内正が、本機のサウンドクオリティをチェックした。

「AVR-X4300H」160,000円(税抜)

上級機「AVR-X6300H」(関連ニュース)と同様、現代のAVアンプに求められる性能と機能を確保しつつ、扱いやすさと購入しやすい価格の実現を狙ったのが姉妹機として登場した「AVR-X4300H」である。

パワーアンプは前作「AVR-X4200」よりも2ch増やした9ch構成で、各ch235Wの最大出力を確保(定格出力125W)。ドルビーアトモス、DTS:Xなどオブジェクトオーディオへの対応はもちろんのこと、4K&HDRのサポート、DSD 5.6MHzを含むハイレゾ対応など、最先端の仕様を満たす。先日国内への導入が発表されたデノンのマルチルーム対応ワイヤレスオーディオシステム「HEOS」(関連ニュース)にも対応する。

最先端の仕様を備え、抜群のコストパフォーマンス

AVR-X6300Hとは装備や音質対策に若干の違いがあるが、基本的な設計思想は共通なので、チャンネル数が足りるなら本機のコストパフォーマンスはかなり高いと感じるはずだ。なお、本機も信号処理そのものは11.2chに対応しているため、プリ出力を外付けのアンプにつなげば7.2.4ch再生へのアップグレードが視野に入る。旧作のX4200はプリ出力が9.2ch仕様で、そこまでの拡張には対応していなかった。

9chアンプの導入はパワーアンプ基板を2枚に分け、それぞれに4chと5chのパワーアンプ回路を配置する手法で実現した。従来は1枚の基板に7chのアンプを並べていたが、今回はヒートシンクをはさんで2枚の基板を配置することで相互干渉を抑えており、セパレーションの改善や放熱性の向上が期待できる。ヒートシンクを共振の少ないアルミ押し出し材に変更している点にも注目したい。

9chアンプは、2枚のパワーアンプ基板に、それぞれ4chと5chのパワーアンプ回路を配置している

信号処理にはデノン独自のD.D.S.C.-HDを上級機と同様に搭載。4基の「SHARC」を駆使して最大11.2chの演算処理を高速でこなし、ビット拡張技術「AL24 Processing Plus」をステレオ、マルチチャンネルの両方に適用することもX6300Hと変わらない。DSPの回路構成はX7200とも共通するので、「X7200WAに迫る実力を目指した」というデノンの主張は大げさではなさそうだ。

デノンのAVアンプの美点“重心の低さ”のある安定した分厚いサウンド

最初に「DCD-1600NE」を組み合わせ、CDでステレオ再生のクオリティを検証する。アレッサンドロ・ガラーティ・トリオの『Seals』を聴くと、ピアノ、ベース、ドラムの音量バランスが整ったうえで、全体に重心の低い分厚いサウンドを堪能することができた。

ピアノの高音やシンバルの粒立ち感がX6300Hよりも僅かに強めに感じるが、ベースの量感も強めなので、周波数バランスが高域側に偏るようなことはなく、むしろ適度な活発さを印象付け、音の勢いを引き出すメリットもある。

ネルソンス指揮ボストン響の演奏によるショスタコーヴィチの交響曲第9番は、芯のある骨太な音に上級機との共通点がある一方で、ヴァイオリンや金管楽器のエッジを立てたり、低弦の動きを太く縁取るような演出は感じられず、骨格の安定した安定感を印象付ける。内声や細部を描き出す解像感もほぼ上級モデルと同格で、細かい音符の動きが精密でアンサンブルのうまさが伝わってきた。大太鼓の一撃は空気を押し出す感触がリアルで、電源供給能力の余裕をうかがわせる。

新開発した専用の大型EIコアトランスと、専用チューニングされた大容量カスタムコンデンサーにより、9chアンプを余裕を持って駆動する

ムジカ・ヌーダのヴォーカルは声のイメージがやや大きめに広がり、芯のあるピチカートを刻むベースとのコントラストを鮮やかに描き出す。一歩前に出るヴォーカルを期待する向きは、本機の実在感豊かな音像定位と表情豊かな音色表現を歓迎するはずだ。

ハイレゾ音源、BDサラウンド再生も試す

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