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<山本敦のAV進化論 第195回>

「Xperia 5 II」はソニーが“使い倒して欲しい”5Gスマホ。片手サイズに込められた開発秘話インタビュー

公開日 2020/11/18 06:30 山本敦
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HDRで撮って・編集して・見られるXperia。ブラビア連携も万全

ソニーモバイルのXperiaは、4KやHDR対応のディスプレイをいち早く採用してきたスマホだ。もちろんXperia 5 IIに搭載するアスペクト比21対9のFHD+/有機ELディスプレイも、HDR映像コンテンツの表示に対応している。

「クリエイターの意図」を正確に再現するため、2019年モデルのXperia 1以降からソニーモバイルコミュニケーションズとソニーの業務用映像機器の開発者がチームを組んで「クリエイターモード」と名付けた映像モードを新設した。

このモードでは、ソニーが映像製作のプロフェッショナル向け商品として展開する業務用リファレンスモニター「BVMシリーズ」の映像をベンチマークとして画作りを追い込んでいる。もう片方の「スタンダードモード」の画作りもコンシューマ向けテレビのブラビア最新モデルをリファレンスにしている。

業務用リファレンスモニターの画質をベンチマークに置いて開発された「クリエイターモード」

スタンダードモードも最新のブラビアがリファレンスになっている

今年発売されたXperia 1 IIからは「クリエイターモード」のカラーマネージメントを、エンジニアの目と経験による検証だけでなく、AI解析の手法を加えて丁寧に追い込む手法が採り入れられた。Xperia 5 IIの画作りも同じ方法で行っており、「HDR映像の色調整の精度がXperia 5よりも向上した」と柏崎氏は話す。

最新のiPhone 12シリーズは、Dolby Vision方式によるHDRビデオの撮影と編集、および端末に搭載するHDR対応のディスプレイで視聴まで一貫してできることを特徴にうたっている。だが、実はソニーモバイルのXperiaはそれよりもひと足早く、2018年に発売したXperia XZ2からこれをサポートしている。

2019年発売のXperia 1以降のフラグシップ機では、より高品位な4K動画が撮影できる「シネマプロ」アプリでもHLG方式の動画を撮影・編集して、端末の高精細なHDR対応ディスプレイで視聴まで自己完結するエコシステムを完成させた。

Xperia 1から搭載する「シネマプロ」ではHLG方式による4K/HDRビデオが撮影できる

シネマプロのアプリ内でHDR動画ファイルの簡易編集とプレビューができる

しかも、ソニーのブラビアをはじめとする4K/HDRテレビとの互換性がより高いHLG方式でビデオを記録できるため、Xperiaで撮影した動画も大画面テレビに映して家族揃って楽しめる。

その方法は大きくふたつあり、ひとつはXperiaからPCにファイルを書き出して、USBストレージに保存してからブラビアのメディアプレーヤーアプリで再生する方法だ。

もうひとつは、USB Type-C/HDMI変換アダプタを介して、Xperiaをブラビア等のテレビとケーブルでつなぐ方法だ。Xperia 1/Xperia 5以降のプレミアムクラスのモデルから「DisplayPort Alternate Mode」に対応したため、HDR動画が直接出力できるようになった。

USB Type-C/HDMI変換アダプタを介してXperiaをケーブルでテレビに接続してHDR動画が大画面で再生できる

120Hzの「低残像設定」を初搭載。次期モデルにも期待だ

今年のXperiaの画作りの方向性については、ディスプレイの解像度がXperia 1 IIは4K、Xperia 5 IIはFHD+と異なっているが、「チューニングはリファレンスモニターに合わせて普遍性のある色作りとしているので大きな違いはない」と柏崎氏が説いている。

ただ、Xperia 5 IIからは「画面設定」のメニューに通常60Hzのリフレッシュレートを倍速の120Hzに切り換えて動画の表示を滑らかにする「低残像設定」が加わっている。柏崎氏によると、倍速表示の際にも色再現性の違いが出ないようにチューニングを丁寧に追い込んでいるそうだ。

パネルを120Hz駆動に切り換える「低残像設定」

ちなみにXperia 1 IIが搭載する4Kパネルだと、現状120Hz倍速表示に対応することは困難なのだろうか。柏崎氏は「 “好きを極める人たちに良いものを提供する” というXperiaの開発思想に従い、エンジニアチームは常に最良の技術を端末に惜しみなく投入してきた」と前置きする。

そのうえで、4Kパネルでの120Hz表示は「現状では対応するコンテンツが限られている」という理由から、まずは先にFHD+のXperia 5 IIから導入がスタートしたという背景を説明してくれた。来年以後に発売されるXperiaのプレミアムモデルにも同じ技術が拡大していくことを期待しよう。

ゲームエンハンサーの中には黒画面挿入による240Hz相当の倍速駆動にパネルの動作を切り換える機能や、240Hz対応のタッチパネルの反応速度の設定メニューがある

Xperia 5 IIはau、ソフトバンクに続いてNTTドコモも2020年秋冬のラインナップとして発売することを決めた。ソニーモバイルの小嶋氏は「Xperia 5 IIはソニーの様々な技術を結集して、お客様が使いやすいサイズとデザインに落とし込んだ自信作。幅広いユーザーに使い倒していただき、それぞれの好きを極めてほしいです」と呼びかける。

最先端のモバイル向けエンタテインメントをコンパクトなハンディサイズの端末に詰め込んだXperia 5 IIは、今期最も注目を浴びる5Gスマホになるだろう。

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