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初のデジタル・リマスタリングを経て登場

『新世紀GPXサイバーフォーミュラSOUND TOURS』制作秘話―現代の水準だからこそ聴ける「バンドサウンド」

2020/03/25 季刊・オーディオアクセサリー編集部
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■あくまで音楽として捉えてマスタリングを進めた

インタビュー時はまだ製作中だったジャケットやブックレットたち

いまでこそアニソンといえば、音楽シーンのメインストリームを走る人気ジャンルだが、91年当時はまだまだ黎明期にあった。実際、今回のブックレットを製作するにあたり各方面にインタビューを行った中澤氏は、次のように話す。

中澤「当時はいわゆる “アニメーションテーマソング” とかそういう扱いで、まだまだマイナーだった。だから音の成り立ちもそうだし、昨今でいうところのアニソンとは全然違います」

「実はマスタリングの作業は、ブックレットに掲載する福田監督とか作曲家の大谷幸さんの対談などが終わったあとに入っていったんです。そこで聞いた話なんですけど、いまのアニメは『第何話のこのシーンで、15秒間か20秒間』というように、より具体的な発注があるそうです。でも当時はそういうのではなくて、例えば『悲しい曲』とか『レースのアニメだからね』、『主人公がちょっと落ち込む感じ』、『その恋人が嬉しいとき』とか、イメージだけで曲を作っていたみたいです。つまり音楽的なエッセンスの注文があって、それをイメージして譜面に落としていったとおっしゃっていました」

「その話を聞いたので、あくまで完全に音楽として捉えて小林さんにマスタリングを進めてもらいました。そういう音楽を重視して進めた部分も、ぜひ聴いて楽しんで欲しいなと思います」

2020年。物語の世界とシンクロするこの時代に、現代のテクノロジーを駆使して生まれたサイバーフォーミュラ初のデジタル・リマスタリング音源となる『新世紀GPXサイバーフォーミュラSOUND TOURS - ROUND 1 - 〜ORIGINAL SOUND TRACK COLLECTION〜』。現実の世界はまだまだアニメの世界に追いついていない部分もあるが、少なくとも音楽の世界は当時の想像を遥かに超えたポイントまで進化を遂げている。そんな技術のレースに勝った懇親の楽曲たちをぜひ、このボックスセットで堪能して欲しい。

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