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初のデジタル・リマスタリングを経て登場

『新世紀GPXサイバーフォーミュラSOUND TOURS』制作秘話―現代の水準だからこそ聴ける「バンドサウンド」

季刊・オーディオアクセサリー編集部

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2020年03月25日

■「バンドサウンド」の魅力を引き出したかった

そんな苦戦を強いられた今回のデジタル・リマスタリングにあたって、キーワードとなったのが「バンドサウンド」だ。

今回のポイントとなった「バンドサウンド」。現代だからこそ聴ける厚みのあるサウンドとするために、さまざまな工夫も凝らされた

小林「サイバーフォーミュラの音源はオリジナルからバンドサウンドで収録されています。しかし、時代の限界もあってかバンドサウンドならではの厚みが出てきていなかったんです。歌ものは音の線も細かったので、大変でしたね(笑)」

中澤「まずは当時シングルとしてリリースされていて、2020年3月6日に先行配信リリースをすることに決まっていた、テーマソング2曲を最初にリマスタリングしていただきました。小林さんがおっしゃったとおり、声質そのものにちょっと癖があって、そのうえ音の線が少し細かったんです」

オリジナルの音源と聴き比べながら、あくまで質的な部分を重視してマスタリングを行ったという

「そこで “もう少しヴォーカルの下の帯域あたりを補ってもらえると、もっと声のふくよかさが出てきたりしませんか?” と。そもそもリズム隊もG GRIPっていうバンドの演奏なんですけど、いまの技術だったらもっとバンド演奏らしく聴こえるはずなんです。そんな部分を今回も小林さんが見事にやってくれました。オリジナルと比べてもかなり完成度が上がっています。2020年バージョンにふさわしい出来だと、個人的にも満足しています」

小林「とはいえ、中澤さんからいくつかいただいたリクエストを聞きながら、“本当にそんなことできるかな?” と思いながらやりました(笑)。実は音の狙い自体は、基本的にWINKの時と同じです。古いデジタルマスターの音源で感じる特有の “痛い音” の部分を絞って柔らかくすることをしています」

「あとはオリジナルの音のCDと比較しながら、オリジナルで聴けた音に関してはそのまま残す。つまり、 “ある音はいじらない” という方針で進めていて、あくまで足りないところや出過ぎたところを補という質的な面を重視してマスタリングしている点もいつもと同じです」

WINKに続き、今回のマスタリングでもオヤイデ製のケーブルが活躍した

アナログコンプやコンバーター、クロックにもオヤイデ製の電源ケーブルを採用

あくまでマスタリングにおける姿勢についてはしっかりとしたポリシーを持ちながら、いまだからこそ聴けるサイバーフォーミュラのサウンドとするための工夫やアイディアを随所に凝らしながら進めたということだ。そんな小林氏のマスタリングにとって、マスタリングに使うシステムは特に大事な存在である。

実はWINKの時から少々アップデートを施したそうで、アナログコンプをはじめ、デジタル機器であるDAコンバーター、そしてクロックもオヤイデの電源ケーブルに変更したという。もちろん、ケーブルを交換するとメーカーが志向する音の方向に変化すると小林氏は話すが、今回のアップデートによって「よりいまの音楽製作の水準にあった音の方向でジャッジできるようになりましたね」と小林氏は振り返る。

あくまで音楽として捉えてマスタリングを進めた

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