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ヤマハ浜松本社で開発陣に詳細を聞いた

デジタルアンプ「DDFA」を世界初採用したサウンドバー。ヤマハ「MusicCast BAR 400」の魅力に迫る

2018/11/30 鴻池賢三
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ヤマハではAVアンプとサウンドバーの設計において開発チームやエンジニアがノウハウを共有、現存する数多くのアンプデバイスを検証していて、その中から、MusicCast BAR 400にはDDFAが最適という判断を下したという。

インタビューには、クアルコムの大島勉氏も加わり、開発時のヤマハとのやり取りをふり返ってくれた。

ポイントは信号処理を全てデジタルドメインで完結したうえで、高精度なデジタルフィードバック技術によって歪が少なく「クリアな音」が実現可能な点。クアルコムの大島氏によると、「一般的なアンプの歪スペックは@1kHzのような条件付きであることがほとんどだが、DDFAは全帯域で低歪を実現できるデバイスである」という。

またMusicCast BAR 400の電気設計を担当した島津氏によると、「DDFAは音質面での素性が良く、結果的にヤマハ流の音作りも反映しやすい。さらにデザイン、音質、設置性などの観点から基板サイズへの制約が大きいサウンドバーでは、アンプ部に混入するノイズの音質への影響を抑えられるフルデジタル処理のDDFAは有利」という。

「DDFAは音質面での素性が良く、結果的にヤマハ流の音作りも反映しやすかった」と島津氏

サウンドバーでDDFA採用はMusicCast BAR 400が世界初であり、ヤマハにとっても初の試みだった。しかし設計に際してはクアルコム社のエンジニアがヤマハを訪問し、ワークショップを開催するなどの密なコミュニケーションにより、完成度の高い設計ができたとのことで、最終的な音質にも自信を覗かせた。

もちろん、製品全体の音はセット全体、つまり電気回路および機構設計が鍵を握る。DDFAはデジタルプロセッサーとアンプを統合した半導体として実装され、スピーカーを駆動するアナログ波形を得るのにL(コイル)とC(コンデンサ)で構成するシンプルなローパスフィルターをセットメーカーが加えることになる。実は、この部分の設計が音質を大きく左右、言い換えると音作りの肝であり、ヤマハの感性やノウハウが活かされるポイントだ。

インタビューを行う鴻池賢三氏

また島津氏によると、DDFAの低歪性能を最大限に引き出すため、電源回路の低ノイズ化やトロイダルコイルの採用など、サウンドバー製品としては異例の取り組みを行ったという。

MusicCast Bar 400の構成イメージ

MusicCast BAR 400全体として「クリア」な音を目指し、機構面でも数々の施策が施されているそうだ。機構・音響グループの田中氏によると、スピーカードライバーは新規設計で、マグネットはグレードアップされ、ボイスコイルも最適化。さらに振動板形状について、最適と思われる複数の候補を試作した上で、試聴を重ねて検証・決定したという。この点もサウンドバーとしては非常な力の入れようだ。

ほか、バー部分のグリルにはパンチングメタルを採用し、さらに上方にも音の抜けが良くなるよう開口を確保したり、またサブウーファー部はキャビネットの板厚を増して剛性をアップするなど、重低音もよりクリアに磨き上げることで、トータルサウンドの底上げを図っているという。

田中氏はMusicCast BAR 400におけるスピーカードライバー周辺の音質対策について説明してくれた


歪みを排したクリアで臨場感のあるサウンド

試聴はヤマハが本年新たに浜松本社エリアに設けた研究開発拠点「イノベーションセンター」内の試聴専用室で行った。

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