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<山本敦のAV進化論 第142回>

オンキヨーのスマートスピーカーをいち早く体験。“いい音”を実現する工夫とは?

公開日 2017/08/25 10:00 山本 敦
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「スマートスピーカーを使っている方に利用動向を聞いた調査結果を見ると、やはり『音楽を聴く』ことに使っているという方が圧倒的に多いことがわかります。スマートスピーカーを手に入れてから定額制音楽配信サービスを利用する機会が増えたという声も多いようです。音楽を聴くためのデバイスでもあるスマートスピーカーも、“いい音を鳴らす”ためにはアンプに電源、スピーカーなどの基本要素が勝負どころになるのは変わりありません。本体容積が限られているなかで高音質化を実現するため、ドライバーにオンキヨー独自の技術を投入しています」(八木氏)。

オンキヨーブランドとして、音質にもこだわって開発していると八木氏は語る

八木氏が語るオンキヨー独自のスピーカーユニットには、2015年にオンキヨーブランドから発売されたコンパクトなポータブルBluetoothスピーカー「SAS200」にも搭載された振動板モジュール「ODMD(Onkyo Double-Molding Diaphragm)」が採用されている。

強靱な振動板としなやかなエッジを一体成型することで振幅を最大化。サイズを超えて高解像度でパワフルなサウンドを鳴らせるのが特徴だ。歪みを低く抑えながら、全体のバランスは中高域の再現力に重点を置いたチューニングに仕上げているという。デモで試聴したビートルズの楽曲は、確かにクリアなメロディの再現力と、キレのある低音が印象的だった。

音といえばもうひとつ、本体に内蔵するマイクの集音性能にも工夫があるという。ハードウェアとしてはマイクの配置、基板レイアウトなど音響特性の基礎をブラッシュアップしながら、よりクリアな集音を実現するためのエコーキャンセリングの技術はサードパーティーとの連携によって音質を高めている。

さらに高音質なAlexa対応スマートスピーカーも発表予定

VC-FLX1のまわりを固めるオンキヨーのスマートスピーカーとして、Wi-Fi経由でロスレスオーディオを伝送する「DTS Play-Fi」に対応する新モデルも、10月下旬から米・英・独で発売することが明らかになった(関連ニュース)。八木氏は「VC-FLX1はスマートホーム対応も念頭に置いて開発してきた製品ですが、ラインナップに追加予定の製品は、より艶やかな高音質を特徴としています」と、新製品の違いを強調している。

オンキヨーでは、昨年発売のAVアンプなどのネットワーク対応オーディオコンポーネントから、積極的にDTS Play-Fiへの対応を進めてきた。その対応機器群にスマートスピーカーを加えることで、DTS Play-Fiによる高品位なマルチルーム再生の可能性を広げ、オンキヨー製品の魅力をより強くアピールする狙いがあるのだろう。

オンキヨー&パイオニアヨーロッパは、9月初旬にドイツで開催されるIFA2017に出展する。現地でスマートスピーカーに関する詳細がアナウンスされることを期待したい。またオンキヨーのスマートスピーカーが日本でも発売されるのか、あるいは日本語対応の見込みなども含め、その頃に見えている情報があれば改めてレポートしたい。

「スキル」を活用すれば様々なスマート家電と連携できる

VC-FLX1には、音楽再生のほか、スマート家電と連携できるスマートホーム機能も実装されている。Alexa対応スマートスピーカーには、「Alexa Skill Kit」と呼ばれる独自のAPIによって作成された「スキル」と呼ばれる機能を組み込める。スキルの作り方を工夫することで様々な連携動作が可能になるのだ。

オンキヨーのオフィスで、VC-FLX1と同一のネットワークに接続されたフィリップスのスマートLED照明「HUE」を音声コマンドで操作するデモを体験した。両手が荷物で塞がった状態、あるいはキッチンでの水仕事で手が濡れている時にも、声で照明のオン・オフを切り替えたり、明るさの調節もできるのが便利だ。

スマートスピーカーとスマート家電の連携で、様々な操作が実現できる

VC-FLX1の本体にカメラユニットが搭載されているのも気になるポイントだが、今回の取材ではまだこれがどのように動くのか明らかにされなかった。スキルを活用すれば、スマホからスピーカーを遠隔操作し、家で留守番をするペットの様子や遠くに暮らす家族の様子を見守る用途に使えそうだ。

またVC-FLX1には、照度/温度/湿度センサーが内蔵されていることも明らかにされている。スマートデバイス同士の連携機能を簡単に作れるアプリ「IFTTT」をブリッジに、スマート家電と接続できるようになりそうで、思いもよらない便利な使い方が考えられそうだ。

パートナーシップを広げてユーザーのために豊かな暮らしを実現する

今月に入ってから、オンキヨーグループのAI/IoTに関連する広報発表が相次いでいる。ひとつは国内で「ヒアラブル」デバイスを展開するベンチャー企業のネインとのパートナーシップだ(関連ニュース)。ネインはスマホに着信したメッセージアプリやLINEのテキストを音声で読み上げてくれるスマートイヤホン「APlay」などを開発・発売しているメーカーだ。今後はオンキヨーと一緒にAI対応のヘッドホンやオーディオ機器の開発を行うことになりそうだ。

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