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ファン待望のアナログプレーヤー

<CES>テクニクス小川氏に聞く「SL-1200G」開発秘話 − OBと共同開発、秘伝の技術継承

公開日 2016/01/09 08:00 インタビュー:風間雄介 構成:小澤貴信
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ーー OTTAVAはすでに欧州では市場投入されましたが、反応はいかがでしょうか。

小川氏 欧州ではクリスマス商戦に合わせて発売しました。英国では高級百貨店ジョン・ルイスの10店舗でも展開しましたが、非常に好評でした。バイヤーの方が昨年9月のIFAで、デザインと音に共感してくださった結果実現した展開でしたが、バイヤーの方にとっても大きな挑戦だったそうです。

このように、お客様に届けるための今までとは異なるルートも開拓しています。OTTAVAのような新しい製品には、技術だけでなくマーケティングにもイノベーションがなくてはご評価いただけないでしょう。

ーー 最近では日本でも、百貨店がオーディオに興味を持っているようです。

小川氏 日本においても伊勢丹新宿店で昨年10月から展開させていただいていますが、市場を開拓していく上で大きな意味があります。従来のオーディオファンと異なるミュージックラバーに届けるためには、新しいタッチポイント、製品に触れるための導線が必要となります。過去と同じことをやっていては、市場としても成長はできません。

技術のイノベーションと同時にマーケティングのイノベーションも重要だと小川氏

ーー その一方、今回北米でも発表されたGRANDクラスは、従来からのHi-Fiオーディオファンが待ち望んでいた価格帯の製品だと思います。

小川氏 Hi-Fiオーディオの王道はやはりずっと大切にしてきたいです。その意味でもGRANDクラスについては、毎年何らかの新しい製品を出していきたいと考えています。

ーー テクニクスのヘッドホン「EAH-T700」も発表されました。展示されていた製品を見ると、印象が変わったようでした。仕上げの質感がさらによくなったように感じました。

「EAH-T700」

小川氏 実は製品を発表した以降、様々な改良を重ねていたのです。仕上げもそのひとつだったのですが、最終だと納得できるものがなかなかできませんでした。高級感や品位が出せるよう、工場には細かい指摘をしながら何度もやり直しをお願いしました。また、イヤーパッドもエルゴノミクスの点からさらに改良を加えて、装着感も向上させました。

井谷氏 音もだいぶ変わりました。評論家の皆様の意見も聞きつつ、ダンピングの調整からイヤーパッドまで全体にわたってチューニングの追い込みを行いました。

小川氏 ヘッドホン市場は高級価格帯が大きく伸びていますが、「EAH-T700」もこうした価格帯の製品を購入される方々が満足できる製品に仕上がったと自負しています。これまでラインナップできていなかった価格帯も含めて、お客様を満足させられる製品を今後も出していきたいですね。

ーー 今回発表された製品の日本登場が待ち遠しいです。今後の展開も期待しております。本日はありがとうございました。

※SL-1200G/SL-1200GAEの製品詳細については別記事にてご紹介します(編集部)

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