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新“11シリーズ”のSACDプレーヤー

「DCD-SX11では“旗艦モデル超え”を狙った」− デノン開発者が込めた想いを語る!

2015/12/10 構成:編集部 小澤貴信
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大きな苦労が伴ったドライブメカの新規開発

−− 新開発ドライブメカを採用したことも、DCD-SX11の大きなトピックです。これによりハイレゾファイルを保存したデータディスクの再生にも対応しました。

出口氏 ドライブメカの新開発は、今回もっとも苦労した点のひとつかもしれないですね。

−− 具体的にはどのような点に苦労されたのでしょうか。

出口氏 本機開発の半分以上をドライブに費やした…そう言っていいくらいの苦労でした。最も大変なのは制御領域です。“ディスクの読みとらせ方”ですね。これをゼロから構築したのです。データディスクも様々なファイル形式の再生に対応しましたが、読み取るファイル形式を変えると、制御のタイミングがずれたり、ポップノイズが発生したり、様々な問題が発生しました。これら全てを解決するためには、かなりの時間を必要としました。

新規開発されたメカドライブ。DCD-SX11においてその開発に最も時間がかかったパートでもあるという

−− 昨今の状況下において、ドライブメカを新たに開発することの苦労は、想像に難くないです。

出口氏 そもそも回転系のドライブが減っていくなかで、SACDに対応するデバイス自体も非常に少なくなっているので、やはり苦労は大きかったです。

−− ところで、同価格帯の従来製品であった「DCD-SA11」がヒットモデルだったということもあり、後継モデルを待ち望んでいたユーザーも多いと思います。

出口氏 販売店の方からもそのようなお話をよく伺いますし、この価格帯のプレーヤーに要望が集まるのもわかります。それに、これまでのラインナップでは約18万円の「DCD-1650RE」の次が、約55万円のDCD-SX1だったので、そこの間隔がやはり大きかったですよね。間にDCD-SX11が登場することで、ユーザーはラインナップの各モデルの特徴やサウンドを把握しやすくなって、製品選びの幅も広がると思います。

新サウンドマネージャーの元で“ほぼ全て”を新規設計

−− USB-DAC部も新たに開発されたということですが。

出口氏 USB-DAC部は、デバイス自体から新開発した全くの別物になります。一方で、PC Pure Directによるノイズ対策のアプローチはDCD-SX1を踏襲しています。ドライブもUSB-DAC部も新規設計なのですが、そもそもDCD-SX11はほぼ丸ごと新規設計されたモデルと言えます。他のモデルから流用したものと言ったらディスプレイぐらいでしょう。

開発試聴室に設置されたDCD-SX11

ーー DCD-SX1の弟モデルではない、という言葉の真意がこのあたりからも伺える気がします。そういう意味では、デノンとしての新しいチャレンジができたということなのでしょうか。

出口氏 DCD-SX11ではかなりいろいろと試させてもらいました。開発期間もまるまる1年を費やしましたし、Advanced AL32 Processingに手を加えられたことも大きかったですね。

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