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<山本敦のAV進化論 第64回>

上陸間近「Netflix」ロングインタビュー。日本でも “巨人” になるための戦略とは?

公開日 2015/07/30 12:57 山本 敦
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一方で、日本では“国産”のエンタメコンテンツに人気が集まりがちだとも言われているが、Netflixではもちろんそれを把握している。例えば6月にはフジテレビとともに会見を開き、人気番組「テラスハウス」の最新作や、連続ドラマ「アンダーウェア」などのコンテンツを共同製作(関連ニュース)して、Netflixで放送に先駆けて先行配信することを発表した。


日本で製作されたオリジナルコンテンツが、Netflixのプラットフォームに乗って、世界へ発信されることもあるという。大崎氏はその狙いを次のように語っている。「日本発のコンテンツは、Netflixがサービスを展開する世界の各地で成功するための大きな強みになると考えています。中でもアニメーションは日本発の超・強力コンテンツです。既存の作品については制作者とライセンス契約を結んだ上で、Netflixで配信していきたいと考えています。日本のコンテンツ力を世界にアピールしていきたいという強い思いがあります」。

オリジナリティの高いコンテンツを揃え、日本国内にSVODサービスの文化を根付かせることはNetflixが掲げる大きな目標の一つ。一方、グローバルでNo.1の動画配信サービスに育てていくためには、アニメを含む日本のリッチコンテンツが強力な武器になる。

無料で見られるテレビ放送が充実していて、サービスに対するユーザーの要求レベルが高いという、簡単には攻略できない日本市場にNetfixがあえて進出した背後には、日本製のコンテンツをプラットフォームに安定供給するためのパイプをつくりたいという同社の思惑も見え隠れする。

だが、こうしたNetflixの試みが成功して、アニメなどリッチコンテンツを安全なプラットフォーム上で“見放題”で楽しめるようになれば、インターネット上に無数に広がる違法アップロードコンテンツに歯止めをかけることができるだけでなく、コンテンツの制作者に対して正当な対価が返される道筋もできる。日本のコンテンツ製作者側としては歓迎し、後押しすべき流れだ。

Netflixでは、日本のクリエーターとの連携によるオリジナルコンテンツの発信にも力を入れる。「テレビ放送事業者やアニメーション製作プロダクション、映画会社や個人のプロデューサーや監督などクリエイターの方々と連携を図っていきます。Netflixでは“クリエイティブ・フリーダム”をコンセプトに掲げています。作品の内容についてはNetflixが細部まで口出しせず、クリエイターを信用して託すべきという考え方です」と大崎氏は語る。

「サービスの運営資金はユーザーから頂く利用料金のみでまかなうという方針にも繋がっていて、特定のスポンサーの影響を受けることなく、クリエイターの方々が自由に発想を広げ、作品づくりに打ち込めるような環境を提供したいと思っています。作品は内容だけでなく、例えばシリーズドラマは話数であったり、1話あたりの上映時間の長さなどフォーマットもクリエイターが自由に決められるところに特徴があります」と、Netflixがクリエイターの制作を支援する背景を説明する。

こうしたNetflixの試みに注目が集まるよう、若手クリエイターを集めたコンペティションを開催しても面白いのではないだろうか。日本にも作品発表の場を求めている新鋭クリエイターは山ほどいる。Netflixで作品を発表して有名になれる仕組みができれば、若手クリエイターが育つ土壌が固まる。現在注目を浴びる国内の音楽配信サービスでの例を挙げるならば、NTTドコモがタワーレコードやレコチョクと連携し、実力のある若手ミュージシャンのCDリリースや楽曲配信、ファンとのコミュニケーションをサポートする「Eggsプロジェクト」の取り組みなどが既に実践されている。Netflixならではのクリエイター支援活動が始まることにも期待したい。


■4K映像配信は「秋のサービスインと同時にスタート」

4Kの映像作品は、日本で秋にサービスがスタートしてすぐに見られるようになりそうだ。「Netflixのオリジナルコンテンツは4Kが主流になってきます。来年アメリカで公開される予定のコンテンツについては、既に大半が4Kで製作されています」。

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