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<山本敦のAV進化論 第64回>

上陸間近「Netflix」ロングインタビュー。日本でも “巨人” になるための戦略とは?

2015/07/30 山本 敦
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ちなみにアメリカではコンテンツの再生画質に応じて、最もベーシックな7.99ドルのプランから、HDコンテンツが見られる8.99ドルのスタンダードプラン、4Kコンテンツが楽しめる11.99ドルのプレミアムプランと、3段階に分けられている。ユーザーの視聴体験を損なわないよう、作品の合間に広告動画を入れないことがNetflixのポリシーだ。そのため、無料で見られるコンテンツというものが基本的には存在しない。サービスの運営はユーザーが支払う利用料金でまかなわれる格好だ。


日本におけるライバルとなるHuluは現在、月額933円(税抜)で提供されている。かたやdTVの価格は月額500円(税抜)とかなり安価だ。アメリカの料金プランに照らし合わせると「ベーシック」でも現在の為替レートでは1,000円に限りなく近くなってしまうので、そこから上位のスタンダード、プレミアムへとアメリカ基準のまま価格を当てはめてしまうと、ライバルの価格に比べて全体に少し割高にも感じられる。いくらNetflixのコンテンツやサービスそのものが魅力的でも、新規加入はややためらわれる。そこで、ひとつの可能性としてベーシックプランを500円前後の手頃な価格に設定しておいて、他のプランとのバランスをみながら調整していく戦略もありではないかと筆者は考える。

日本はもともと、世界の主要国に比べても一般家庭に高速インターネットが普及している国であり、4Kテレビの普及も進みつつある。そこへ来て、今春からNTTグループによる光サービス卸が始まったことも追い風になり、Netflixが揃える4K動画コンテンツがスムーズに見られる光回線対応の家庭が増えてくるだろう。


Netflixが光回線事業者と組んで、4Kテレビの実力を活かせる、高画質な4Kコンテンツを多く揃える動画サービスとして魅力を打ち出し、サービスの加入者を一気に増やすという戦略も考えられる。そのことを見越し、プレミアムプランの料金はある程度「強気」に設定するのも戦略として有効ではないだろうか。


■Netflixでしか見られないオリジナルコンテンツが充実する

Netflixが日本で始まる当初、どの程度の数の、どんなコンテンツが揃うのか、現時点では具体的な発表がない。アメリカで展開されているサービスを参照すると、アーカイブに並ぶ作品は映画やテレビドラマ、ドキュメンタリーなど作り込まれたコンテンツが多く、反対にスポーツ中継やニュースなどライブ系のコンテンツは含まれていないようだ。日本でも一部の過去作品を除き、全世界向けに配信されているコンテンツが見られるようになる。

Netflixではユーザーの多種多様な好みをキャッチするため、独自制作のオリジナルコンテンツを積極的に増やす方針を明らかにしている。Netflixでしか見られないコンテンツの中には、アメリカで製作された映画やテレビシリーズ、ドキュメンタリー作品のほかに、北欧やヨーロッパ発のアート系、インディーズ系の映像も含まれると大崎氏は語っている。

海外ではすでに多くのオリジナルコンテンツを制作、公開している

海外で製作されたコンテンツを日本で配信するためには字幕が必要だ。その仕組みはどうなっているのだろうか。大崎氏は「アメリカ本社の巨大なオペレーションチームが翻訳を手配する場合もあれば、日本に拠点を置くパートナーに協力を仰ぐこともある」と説明する。

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