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巻頭言

岩間正次オーナーへの感謝

和田光征
WADA KOHSEI

23才で全く未経験、大学中退の私を当時の岩間正次社長がどうして採用したのか、嬉しい反面私は理解ができなかった。同僚の皆さんは大学を出ていたからである。それは勤め始めてからも疑問だったが、オーナーは熱心な気学信奉者で、それは銚子に「お水取り」に連れて行かれた時に分かったのだった。

同行した数名のご年配の皆さんも信奉者で、井戸水を汲み上げ、交代交代に飲まれた。水を水筒に入れ、宿に行ってからは気学によってこんないいことがあった、私はこうだったと皆嬉々として語り合っていた。私はそれに対し、自然科学的には価値があると思っていたが、あまりにも自分中心な考え方に疑念を抱いていた。人々の幸福への言葉や思いやりが微塵もなく、只々自分が気学のお陰でよかった話ばかり、自己愛ばかりだった。

銚子から帰っても気学の先生のお宅で会があり、同じような話で時間が流れていく。私は先生に議論を吹っかけたら、「鬼子」と結論づけられ、結局出入り禁止状態になってしまった。

岩間オーナーからはお水取りだけは行くように言われ、「君は私と相性がいいので入社してもらったのだ」と言われた。オーナーが七赤、私が二黒で、採用した年と月が大吉だったわけである。そして先生からは、「二黒の人がきたらともかく採用しなさい」と言われていたそうだ。

私は納得できた。しかし採用するようにおっしゃった先生を怒らせ、鬼子と言われてしまった。オーナーは大丈夫だと言って、二人で笑っていた。

いうなれば不動産会社での営業でも課のトップになったり、様々な経験をしてきたりしたことで、入社した後も前向きで大人びた私になったと思う。そんな折、主力メンバーが殆ど退職してしまい、私に一気に仕事が押し寄せてきたのである。そして私は驚くほどの成果をあげることになるのだ。

岩間オーナーの教えをいただき、さらに多くの業界の重鎮の方々からたくさんのご指導をいただいた。パイオニア創業者の松本望様、クラリオン創業者の滝沢左内様、アルプス電気創業者の片岡勝太郎様、ミツミ電機創業者の森部一様、TDK社長の山崎貞一様、アイワ(当時)社長の鹿井信雄様など、そうそうたる方々である。岩間正次社長の人脈の凄さを思い知り、そのことによって私を大きく成長させていただいたことに、心から感謝している。

そして私なりに気学を考えると、9年に1度中宮があり、ことしは九紫中宮である。私にとって9年のサイクルは、10年先を読む大きなバックボーンになっていて、確信ができ素晴らしいと思う。同様に人は天に生かされているという基本原則がまた、謙譲の精神を創り上げ、精神の安定を与えてくれ、なおかつ人としての生き方を学び取ることができるのである。

水はその都度の良き方向の地の空気が凝縮した液体であり、体内を活性させる要素がある。私は折々にお水取りにも行っている。岩間オーナーから譲り受けた気学の解読書を宝として、今も謙虚におだやかに学んでいるところである。