大島 洋

大事に培った販売店様との絆を礎とし
尖った商品の連打で国内市場を刺激する
エソテリック株式会社
代表取締役社長
大島 洋
Hiroshi Oshima

SACDプレーヤー、アンプに次いで第三の柱と掲げるネットワークプレーヤーでの金賞受賞を果たしたエソテリック。販売店との絆をさらに強固なものとし、日本メーカーとしてのこだわりを貫く製品を力強く展開していく。
インタビュアー/樫出浩雅 音元出版副社長 写真/柴田のりよし

「第三の柱」に見据える
ネットワークに弾みを

N-01が金賞を受賞しました。ネットワークプレーヤーとして大きな快挙です。

大島ありがとうございます。国内メーカーが出すネットワークプレーヤーとして、DACや電源の物量など並々ならぬこだわりを貫き、コスト度外視の内容でオーディオ機器としての完成度を追求しました。海外の著名なメーカーがたくさん活躍しておられますが、そこでエソテリックらしさも含めて皆様に受け入れていただけたことは、大変な自信につながります。

エソテリックにとってネットワーク製品は、SACDプレーヤー、アンプに次ぐ第三の柱。国内メーカーとして、クオリティはもとより品揃えも追求した、他にない展開と自負しています。おかげさまで国内での初回の出荷台数は想定を超えており、海外のクリスマス商戦も期待できます。市場は海外の方が大きいですが、日本でも1〜2年後にはストリーミングサービスが拡大すると見られます。その前哨戦として、我々のネットワークプレーヤーの評判を定着させたいですね。日本製のネットワークプレーヤーをお待ちの方も多いと期待しております。

Grandiosoの一体型SACDプレーヤーとプリメインアンプ、K1とF1が製品特別大賞を受賞しました。

大島それぞれ筋の通った技術の集大成です。昨年先行して発売しましたK1は、DACの新しいプラットフォームを展開しており、N-01にもその技術的要素を踏襲しています。F1は自社専用のMOSFET素子が使われた画期的な商品で、それぞれに一体型コンポーネントの完成形です。Grandiosoはこれですべてのカテゴリーが揃い、2013年からの展開がひとつの区切りを迎えました。おかげさまで販売も上々で、特にK1は想定を上回る状況になっています。

フォノイコライザーアンプも久しぶりに出されました。

大島アナログの取り組みも、ここ数年温めていたテーマです。E-03を9年間展開し、それをさらに昇華させたE-02を投入しました。価格帯より2ランク上の音質であると自負しており、まずは皆様に聴いていただきたいですね。

フルバランス伝送に対応しましたが、開発陣もこれを聴いた際に大いに感動しました。細かい部分の情報量や低域の力強い質感は、これまでのシングルエンド方式では出せなかったもの。これぞハイエンドと言えるものだと確信を得ました。

E-03が海外で大きく評価されましたが、適正な品質を適正な価格で売りたい思いが日本企業の体質としてあり、それが海外でのエソテリックの評判を上げているところだとも思います。我々の販売パートナーもその意を汲んで懸命に取り組んでくださった。海外での評判が日本に再上陸する、そんなストーリーを熟成させていければと思います。

銀賞を受賞したTANNOYのLegacyシリーズも興味深い内容です。

大島2015年にタンノイのマネジメントが変わり、合理化でスコットランドの工場を閉鎖すると発表されましたが、UK生産の継続を希望するエンドユーザー様からの熱いラブコールを受け、後に撤回されました。ブランドのアイデンティティはUKにあると経営者も気づき、合理性に欠けてもそれをキープする決意を持ったということです。余剰人員とされていた工員70名の解雇も撤回されて、職人をそのまま活躍させてシリーズをつくっていくとのことです。

そしてあらためて、ディストリビューター、プレスに対するディスカッションを通じてエンドユーザーが欲しい製品を追求した結果、今回のレガシーシリーズにつながりました。UK生産を貫徹させるため生産設備を再構築し、工場閉鎖の危機も乗り越えて思い入れ深く製作しているのです。独特の造形も現代に通じるデザインとして、若い方にも評判を呼んでいます。

我々もそういう背景を踏まえて日本で展開しますから、当然熱が入ります。お客様からのリアクションも相当大きく、売上げの面で非常に期待しております。

大島 洋

セパレートプレーヤーのP-05X/D-05Xも特別賞を獲得しています。

大島オリジナルモデルは、10年前に始めたセパレートプレーヤーですが、中身は新規の設計として注力し作り上げました。今は時代の流れで、USB DACとしての需要が高く、D-05Xの方がより多く動いていますね。そういったお客様をどんどん取り込み、エソテリックのファンになっていただけるよう注力して参ります。

年末に向けた販売戦略はいかがでしょうか。

大島今年は私自身、新たに社長に就任致しました。会社としての世代交代について不安に思う販売店様もいらっしゃったかと思いますが、我々の日本国内における戦略には何の変わりもありません。エソテリックの30年間の歴史の最大の資産は、販売店様との絆と認識しています。その絆をさらに深めて、新しい世代のエソテリックとして販売店の皆様とあらためて深くお付き合いをさせていただきたい思いです。大間知イズム、勝村イズムを踏襲し、新たな時代を販売店様と一緒に創りあげていきたいと考えます。製品ごとの研修会、試聴会などをどんどん行って、色々なプログラムを販売店様と一緒に展開させていただき、エソテリックを売ってよかったと思っていただけるよう取り組んで参ります。

私自身は海外も担当し、海外の現場にどんどん出ております。それは日本での地道な活動や成功例をいかに海外にも移植するか、ということなのです。取り組みは国内も海外も同様、日本のやり方を海外にも浸透させていくということで、国内は非常に大事な位置づけとなっています。日本で評価いただいた技術を海外に持っていき、そこで評価されたことをまた日本に持ち帰る。そのサイクルを強めていきたい思いです。

日本のオーディオの市場を俯瞰しますと、厳しいところから抜け切るにはまだ数年かかると見ています。そしてその間我々はずっと、尖った商品を出し続けなくてはいけないと考えています。会社の経営として伸びしろの海外で増益基調にもっていく方向ですが、国内を活性化するためにしっかりと商品を出し、お客様、販売店様との絆を再確認しつつ、地に足をつけてしっかりと展開して参ります。

販売店に向けてのメッセージをお願いします。

大島ブランドの価値を高め、もっともっとお客様を呼び込んでいきたい。付加価値を上げることがキーになりますから、ディスカウントで広げるつもりは一切ありません。素晴らしい製品を出し、媒体を通じて魅力を伝える。店頭でデモや試聴を行い、販売店様と一緒に市場を耕す。できる限りコミュニケーションを密にして、販売店様と共に活動していきたいと思います。今後とも、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

◆PROFILE◆

大島 洋 Hiroshi Oshima
85年 ティアック(株)に入社。98年 ティアック香港事務所所長。2001年 ティアック・オーストラリア取締役、08年 コンシューマ・オーディオ・ビジネスユニット商品部長、14年 執行役員同ビジネスユニット長、エソテリック(株) 取締役、17年 エソテリック(株) 代表取締役社長就任。

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