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公開日 2025/12/10 06:30
【アバック/専用室シアター】2重サッシ窓で採光と防音を両立

劇場最前列のような迫力! 音漏れの心配から解放された防音室

編集部:井田有一
アバック新宿が手がけた東京都 日吉邸のホームシアター

ヘッドホン生活よさらば。実家を防音室シアターにリフォーム


スクリーンは壁いっぱいの100型。後方のスピーカーは動線も考慮して埋め込まれた7.1ch構成のスピーカーだ。さらに中央やや後方にパーソナルチェアが鎮座する。これぞ「個人劇場」、そんな言葉がぴったりの専用ルームだ。


施主の日吉さんは、ご想像の通りのシネフィルで、ホームシアター歴もプロジェクターの購入が5台目というベテランだ。しかし、家族や近隣住宅への配慮から大きな音は出せないだろうと、長年サラウンドヘッドホンを使い続けてきたという。


そんな日吉さんに転機が訪れたのは昨年のこと。築50年になる実家を全面リフォームすることになったのだ。そこで長年の夢だった「防音室」をつくることにした。「自分の音がどのくらい漏れて、どの程度だと問題になるのか想像できませんでした。ですので後悔がないように防音室の性能にはこだわりました」(日吉さん)。



ベランダに繋がる窓はリフォーム前からあったので、その動線を活かしつつ投写距離の関係から窓前に100型スクリーンを配置するレイアウトに。そのためスクリーンケースは見えないように垂れ壁を設けて隠している。スピーカーはフロントとセンターは床置きにしているが、センタースピーカーが窓に絶妙にかからない高さで設置されている



スクリーンを下ろした様子。窓には雨戸があるため遮光もでき、昼間でも完全暗室に


視聴位置後方の様子。パーソナルチェアは「Stressless Tampa

防音室というと地下室のような暗い部屋を想像しがちだが、もちろん大きな窓をつけることができる。だが窓は音漏れの観点では弱点とされる場所なので、特別な対策が必要となる。


日吉邸ではベランダに出られる大きな窓が元々あったので、YKK APの内窓「プラマードU」をつけて2重サッシに。ガラスは合わせガラスを採用し、高い遮音に加えて断熱効果も得られている。さらに外窓との間(空気層)を約30cmも確保したことで、高い遮音性能を獲得している。


採光の大きな窓も2重サッシにして遮音



日吉さんが出したい音の騒音レベルを測定してみたが、スピーカー前で約100dB程度。パーソナルチェアの位置で約95dB程度出ていた。これはプロのピアノ演奏くらいの音量でかなり大きめだとわかる



100dBの音を出した状態で外の庭で騒音レベルを測定すると、4548dB程度。ほぼ暗騒音にまぎれてしまい音漏れを測定することはできなかった。体感としても全く音漏れしていないと感じた



シアタールームは2階にあり、元は床の間や押入のある部屋だった。そのため少し凹凸のある形状となっている。最も心配すべきポイントだった庭の方向の遮音を特に気にして設計しているという。ドア側は音を吸収する役目になる廊下があるのも防音的にはプラス


お部屋の遮音性をキープしつつ、使い勝手を追求


プランニングを担当したのはアバック新宿本店の桜庭太郎氏だ。トータル予算が上がってしまいがちなところ、全体のバランスを考慮して機器選定を行い、使いやすいレイアウトを提案。防音室工事を担当する一級建築士の関口彰洋氏と連携を取り、高い遮音性能をキープしつつ使い勝手のよい部屋を完成させた。完成した防音室は驚きの性能で、外に出ても音漏れは認識できなかった。


これまで大きな音を出せなかった日吉さんだが「これで映画館と同じように映画が楽しめる」と微笑む。念願叶った防音室が、日吉さんの毎日をより一層輝かせてくれるだろう。


プロジェクターはソニー「VPL-VW275」(左)/AVアンプなどの機器はラックに収めているが、LDをはじめBetamaxS-VHSHi8など往年のビデオディスク規格の再生機も一緒に並んでいる(右)



フロントスピーカーはヤマハ「NS-F700」を、サブウーファーも同じヤマハの「NS-SW500」を選択している(左)/ドアは2重にして遮音性能を高めている。ルーム・イン・ルームという工法を採用しており、室内にもうひとつ部屋をつくるため、床面が少しだけ高くなっている(右)



サラウンド、サラウンドバックスピーカーはユニソニック「AHT-525IW」を埋め込んでいる。天井に孔を空けるため、何も対策をしなければ遮音性能が落ちてしまう。だが関口氏は遮音用のボックスを天井裏に仕込むことで性能を落とさずに、スッキリとした空間を実現した



アクション系の映画がお好きという日吉さん。「『タワーリング・インフェルノ』が私の原点です。これから時間を見つけて、コレクションの映画を観ていきたいですね」


(写真:広井一成)


日吉邸ホームシアター概要


HOMETHEATER DATA 住宅形態:戸建/リフォームホームシアターの広さ:約6.7画面サイズ:100インチサラウンド:7.1ch ●インストール内容:機器設置、システムプランニング、防音工事、ルームチューニング ほか


SYSTEM LIST プロジェクター:ソニー VPL-VW275 スクリーン:キクチ SE-100HDWA ●UltraHDブルーレイレコーダー:ソニー BDZ-FBT3100 ●AVアンプ:ヤマハ RX-A4A ●フロントスピーカー:ヤマハ NS-F700 ●センタースピーカー:ヤマハ NS-C700 ●サラウンドスピーカー:ユニソニック AHT-525IW ●サラウンドバックスピーカー:ユニソニック AHT-525IW ●サブウーファー:ヤマハ NS-SW500


INSTALL SHOP/INSTALLER







アバック新宿


場所:東京都新宿区西新宿7-5-9
ファーストリアルタワー新宿3F
TEL:03-5937-3150
営業時間:11時00分 – 19時00分(予約推奨)
定休日:水曜日
ホームシアターの視聴室:あり





インストールを担当した桜庭太郎氏(左)/施工を担当した関口彰洋氏

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