【ミニレビュー】静かな音場に広がる楽音描写力。サエクの仮想アース「SGS-042Mk2」の真価
園田洋世今話題のアクセサリーを毎週ピックアップして、音質改善のポイントをコンパクトにご紹介する「オーディオアクセサリーひとくちレビュー」。今回は、人気衰えぬ仮想アース、その代表格であるサエクの最新モデル「SGS-042Mk2」の真価を探ろう。
低いノイズフロアと楽音描写力の合わせ技が強力
サエクの高性能グランドスタビライザー(いわゆる仮想アース)、「SGS-042Mk2」。内蔵する素材が電気的な特性を備える鉱石、カーボン、さらに銅と多彩だ。 鉱石がマイナスイオンを発生させ、特殊加工を施された高純度銅素材がノイズを吸収するという。Qobuzを再生して試してみよう。
DACとして使うマランツのSACDプレーヤー「SA-10」のデジタル同軸出力端子と本機「SGS-042Mk2」との間を、サエクのアースケーブル「SE-400Y-RCA」で繋ぐ。ネットワークトランスポートはWattson Audioの「Emerson DIGITAL」である。
荒井由実「ひこうき雲」(Remastered 2019)は冒頭から音場が実に静かだ。古い録音ゆえのテープヒスノイズが楽音からクッキリと分離して描かれ、伴奏のドラムス・ベース・ピアノ等の音像が明瞭化・立体化する。さらに、やや奥まった位置に定位するユーミンのヴォーカル音像にピントがビシッと合う。
低くなったノイズフロアと高まった楽音描写力の合わせ技が強力で、この短い曲の後半への盛り上がりに音楽的な説得力があるからだろう、聴き手の情動に訴えかけるパワーが凄い。何度も聴いたことがあるこの曲にグッときてしまった。
ノルウェーの歌手マリ・ボイネの「Leat go don dies」でも静けさが効く!ピアノの抒情性が半端なく、かすれがちで消え入るようなボイネのヴォーカルがきわめてデリカシーに富むのである。
音楽への没入度をグッと高める凄い仮想アースだ。