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公開日 2025/06/27 06:30
フォクトレンダー初となる「球面収差コントロールリング」を搭載

描写やボケを自在に操り堪能する。フォクトレンダー「PORTRAIT HELIAR 75mm F1.8」実写レビュー

山田久美夫


描写や味にこだわった個性的なレンズ群をラインナップするコシナ。そんなコシナから6月20日に発売されたばかりの大口径中望遠レンズ「PORTRAIT HELIAR 75mm F1.8」は、同社ラインナップの中でもひときわ異彩を放つレンズである。


Voigtländer「PORTRAIT HELIAR 75mm F1.8」





SPEC ●焦点距離:75mm ●絞り値:F/1.8-F/11 ●最短撮影距離:0.7m ●フィルター径:φ62mm ●外形寸法:φ70.0mm×88.0mm ●質量:560g ●対応センサーサイズ:フルサイズ ●対応マウント:ソニーE ●価格:¥165,000(税込)




そのユニークな特徴は、レンズの描写を大きく左右する球面収差を、ユーザー自身がコントロールできる点だ。同社には、意図的に球面収差を発生させることで、柔らかな描写やボケを個性とするレンズがあるが、本レンズはその約10倍もの球面収差の調整を、同社初となる「球面収差コントロール機構(リング)」により実現している。



シルバーのリングが同社レンズとして初めて搭載された球面収差コントロールリング


レンズ構成は3群6枚とシンプルなものだが、球面収差コントロールリングを操作し、光学系の一部を大きく移動させることで、さまざまな描写が楽しめる仕組みだ。


コントロールリングに刻まれたメモリの中で、クリックを備えたメモリの位置が補正なしの「ノーマル(適正補正)」となり、 通常の75mm F1.8の単焦点レンズとして、高い解像力とバランスの取れた素直なボケ、さらにレンズ構成枚数の少なさからくるクリアで抜けのいい描写が味わえる。



そして「ノーマル(適正補正)」の位置から、球面収差コントロールリングを左回転させると「オーバーコレクション(過剰補正)」、右回転させると「アンダーコレクション(補正不足)」へと、球面収差を無段階に可変することができる。


球面収差をオーバー側、アンダー側に可変させた場合の描写の変化を文字で説明するのは難しいが、大雑把にいうと、ピントを合わせた被写体に対し、オーバー側では前ボケが自然な感じになり、後ろボケはいわゆる ”バブルボケ” といわれる輪郭の立ったものになる。一方、アンダー側では後ろボケが柔らかな感じになり、全体に被写界深度は深く、ソフトフォーカス調の描写になる。



写真中央は「ノーマル(適正補正)」、左は「アンダーコレクション(補正不足)」最大量、右は「オーバーコレクション(過剰補正)」最大量で撮影。描写やボケが大きく変化していることがわかる


これらの変化はシームレスであり、変化の様子はファインダー上でリアルタイムに確認することが可能だ。つまり球面収差コントロールリングを回しながら自分好みの描写になったところで撮影することができる。このように、都度、自分の作画意図にあった描写を1本のレンズから引き出せるのが、本レンズ最大の魅力だろう。



フォーカス操作はマニュアル、最短撮影距離は0.7m。球面収差コントロールリングの操作によるピント位置の移動は自動補正される設計だが、それでも若干残っており、微妙なピント位置で描写の雰囲気も結構変化する。そのため、最適な描写を楽しむなら、操作の手順としてはコントロールリングの操作であらかじめ雰囲気を掴み、好みのピント位置に合わせ直して撮るのがよいだろう。



絞りでも描写は大きく変化するので、本レンズに慣れるまで、最初のうちは絞り開放で練習することをオススメする。私自身は、コントールリングを2〜3目盛り分、アンダー側にセットした際の描写が好みだ。わずかなソフト効果が被写体の立体感を醸し出し、ハイライトの光の滲みが空気感を演出してくれるからだ。


なお、レンズ名に「Portrait」とあるが、もちろん人物専用ではなく、あらゆる撮影に威力を発揮する。自然風景や静物の撮影は、とても上品な描写になるので、ぜひチャレンジしてほしい。



マウントはソニーEマウントのみ。価格は165,000円(税込)とそれなりにするが、本レンズ1本で、クリアで抜けのよい75mm F1.8の大口径レンズとしてはもちろん、上品でシルキーなソフトフォーカス系の描写や、個性的なバブルボケまでが楽しめる。


また扱いに習熟し、自分なりのセッティングが掴めれば、自身にとって唯一無二のパートナーとなってくれる。「PORTRAIT HELIAR 75mm F1.8」は、実に魅力的で使いこなし甲斐のある逸品だ。




(提供:株式会社コシナ)

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