2024/07/30
機能は満点、音質でも唸らせる!Eversoloのフラグシッププレーヤー「DMP-A10」をレビュー!
逆木 一音質も妥協しない。Eversoloのフラグシップ、ついに登場!
世界を見回しても他に類を見ないほどの圧倒的多機能性・高機能性を、オーディオ的に充実した外装・内容に落とし込み、非常にお得感のあるプライスで製品としてまとめ上げる。そんな「ヒットして当然」とすら思える製品群を擁し、日本市場でも急速に存在感を増しているブランドがEversoloだ。
デスクトップオーディオにも使い得るコンパクトさに凄まじいまでの機能・性能を凝縮させた「DMP-A6」「DMP-A6 Master Edition」に始まり、本格的なアナログプリアンプとしての機能を搭載し、さらなるオーディオ性能の充実を図った「DMP-A8」をラインナップするEversoloから、満を持して「真のフラグシップ」と呼べる新モデル「DMP-A10」が登場した。
この記事ではDMP-A10の持つ機能・性格をおさらいするとともに、その音質的進化についてレポートしたい。
多機能性と最新のスペックを惜しみなく投入
DMP-A10を一言で表すなら「超多機能ミュージックサーバー」ということになる。ローカルの音源の再生はネットワーク経由または直接接続したストレージ(本機にはM.2 NVMe SSDを2基搭載可能)から可能で、もちろんQobuzやAmazon Musicといった各種音楽ストリーミングサービスにも対応。Android OSを搭載しているためにアプリをインストールしてさまざまな機能拡張ができる点が特徴で、独自の工夫により、Apple Musicに対応している点も大きな特徴だ。
アナログ出力を搭載するネットワークプレーヤーとして使えるほか、入念に仕上げられたデジタル出力を活かしたネットワークトランスポートとしても、USBを含むデジタル入力を活かした単体DACとしても使用可能。他にもプリアンプ機能やHDMI ARCを搭載しており、活用の幅は極めて広い。とにかく到底書ききれないほどの多機能と最先端のスペック、そしてそれらを十全にコントロール可能な純正アプリを有しているのが、本機を含むEversolo製品なのである。
筐体の進化もDMP-A10にとって重要なポイントだ。コンパクトなDMP-A6、フルサイズと言うには少々足りなかったDMP-A8に対して、DMP-A10は430mm×310mm×117mmの堂々たるフルサイズ。今まで以上に分厚く、エッジの効いた意匠が施されたフロントパネルや、デザインの一端を構成するサイドの放熱フィンなどは本機の存在感を大きく高めている。
Eversoloのミュージックサーバー伝統の大型・高機能ディスプレイは筐体にあわせてさらに大型化し、DMP-A10では6.5インチに。表示される内容そのものは従来機と同様だが、視認性はさらに向上した。また、ボリュームノブにも意匠性とディスプレイが加わり、高級感を高めるとともに選択している入力や現在の音量が一目でわかるようになった。
また、これもフラグシップモデルらしい気配りというべきか、DMP-A10には金属製の質感に優れたリモコンも付属する。選曲にせよ再生にせよ、ネットワークを介した操作が基本にして前提となるネットワークオーディオ機器に果たして物理的な操作ボタンやディスプレイは必要なのか、という議論は常に存在するが、Eversoloの製品からは「せっかく搭載するからには素晴らしいものを」という意識が常に感じられるし、特にDMP-A10ではボリュームノブから音量を確認できるようになったことで、プリアンプとしての使い勝手も間違いなく向上した。
ほかにもDMP-A10ならではの機能として、サブウーファー出力の追加と、マイク測定による音響補正が挙げられる(従来機もアップデートで対応したが、別途マイクを購入する必要あり)。後者については実際に測定を行ってみたが、関連する操作もわかりやすく練られており、特に戸惑いは感じられなかった。
コントラストのはっきりした明晰な音
本機の試聴はローカルの音源(DMP-A10に装着したSSDに保存)とQobuzの二本立てで行った。今回は筆者のメインシステムに組み込む関係上、DMP-A10のプリアンプ機能は使わず音量固定出力とし、EQ類もすべてオフにしている。
搭載するDACチップがDMP-A8のAKM AK4499EXからDMP-A10ではESS ES9038PROに変わったことも影響しているのか、一聴して再生音からは良い意味でのキレの良さ、コントラストがはっきりした明晰な印象を受ける。この点については、以前聴いたES9038Q2Mを採用するEversoloのベーシックモデルDMP-A6のイメージと近い。
しかし、絶対的な情報量の豊かさや細部の描写力といった点ではその印象を大きく凌駕しており、価格相応の実力を感じさせる。また、明晰な音という印象の一方で厳格ないし峻厳な姿勢をリスナーに強制するようなところはなく、聴いていてリラックスできるような耳当たりの良さ、ふくよかさも両立している。これはまさにDMP-A8に感じられた美点でもある。
ここまでの印象として、DMP-A10の再生音質はDMP-A6のキレの良さと、DMP-A8の厚みとふくよかな質感、その両方の要素をしっかりと引き継いでおり、今までのラインナップを昇華させたEversoloのフラグシップに相応しい。
積極的に活用したいSFPポート
しかし、本音を言えば、本機の80万円というプライスタグを考えれば、もう一歩突き抜けた「本機ならではの魅力がほしい」と感じてしまったのも事実。そこで、本機のSFPポートを使い、筆者所有のDELAのネットワークスイッチ「S100」から、光ファイバーケーブルでの接続を試してみた。
するとこれが効果てきめんで、解像感や空間の見通しの良さ、定位の精密さが大きく向上する。強いて言えば、今まで使っていたメタルのLANケーブルの方が中低域の厚みやエネルギー感において優位性を感じるものの、トータルの絶対値や筆者の好みにおいては、光ファイバーに軍配が上がる。昨今、ハイクラスのネットワークオーディオ機器にはSFPポートを搭載するのが当たり前になりつつあるが、その潮流にもしっかり乗ってくるあたり、さすがはEversoloというべきか。
まとめとして、DMP-A10はEversoloの従来機であるDMP-A6とDMP-A8の美点を引き継ぐとともに機能をさらに拡充させ、そして最も重要な、純粋なオーディオ機器としての高度な能力を併せ持った、まさにブランドとして「一皮剥けた」、フラグシップに相応しいモデルに仕上がっている。Eversolo製品に対して「多機能なのはわかったけど、音質的にはどうなの?」と思っていた人にこそぜひ聴いてもらいたい。
(提供:ブライトーン)