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公開日 2024/10/30 06:35
電磁気学を応用した「UEF Performance Enhancer」

米国アクセサリーブランドの先駆者、Synergistic Research「空き端子挿入アイテム」のロングランレポートをお届け

井上千岳
アメリカ、カリフォリニア州に拠点を置くアクセサリーブランド、Synergistic Research(シナジスティック・リサーチ)。独自の電磁気学理論に基づいた製品を多数発売しているが、特に使い勝手のシンプルで評価が高いのが空き端子に挿入する「UEF Performance Enhancer」である。そのロングラン音質レポートをお届けしよう。

Synergistic Research「UEF Performance Enhancer」(RCA・XLRオス・XLRメス・電源端子:77,000円、USB端子・LAN端子:60,500円/すべて税込)

独自の技術でラインナップを強化する老舗アクセサリーブランド



Synergistic Researchは1992年の設立で、最初に開発されたケーブルをその頃聴いたことがある。当時としても高額な製品だったが、非常に精密な再現性で無色透明な音調が印象に残った。

その後はケーブルだけでなく機械振動や電源、グランド、ルームアコースティックなど種々のジャンルで開発を進め、それらの相互作用でいっそう高い効果を得る方向へ発展していった。すなわちSynergy=相乗効果で、社名もそこから由来する。

アメリカ・シカゴで開催されるAXPONAショウでのSynergistic Researchのブース。電源ケーブルからボード、ラックまで各種ラインナップを誇る

同社の大きな特徴は最初のケーブルにも使われた磁気シールドをベースとする「EM-Cell(Electro Magnetic Field Cell)」という技術が、全ての製品に使用されていることにある。電磁界のセルということだから電磁波を発生させてそれを様々な形で活用してゆくということなのだろうが、一般には有害とされている電磁波をいわば逆手に取った格好でRFノイズや電源ノイズの除去を行うという高度な技術と推測していい。

その他シューマン波や独自の物性処理「Quantum Treatment」など各種技術も併用し、確実で効果的な作用によって信頼と実績を高めてきた。最初のケーブルから30年以上にわたる進展の経緯は、大体このような流れである。

ノイズフロアがすっと下がり音の表面が滑らかに



ここでは同社製品の中でも比較的手軽で使いやすいUEF Performance Enhancerというシリーズを試してみることにした、UEFはUniform Energy Fieldの頭文字をとったもので、機器やコンセントの空き端子に挿すタイプで、最近注目されている音質改善グッズのひとつである。

単なるノイズ・フィルターとは違うようで、電子が動くのではなくエネルギーだけが伝わってゆく現象を利用して電気を伝搬させる作用があるという。その過程でノイズも減少するし、信号の流れが滑らかになるという働き方である。

まずCDプレーヤーにRCAタイプを1本挿してみる。これだけでもすでに十分音が違うのは明らかだ。ノイズフロアがすっと下がったように周囲のざわつきが収まり、音の表面が滑らかになった感触がある。

続けてプリアンプにXLRタイプを挿してみると、思ったとおりその傾向が強まっている。静かだが音自体には逆に活気がある。今回はロングラン・テストなので、この状態で1週間ほどそのままにしておくことにした。

1週間後にはエネルギーが隅々まで浸透



アクセサリーの中には接続ないし設置した後、数日から数週間かけて徐々に効果が全開になる製品もある。インシュレーターなどに多いようだが、しかしこのUEF Performance Enhancerの場合はそれとは違う。接続したときからすぐに効果は現れるし、時間をおかないと真価がわからないというものではない。しかしものには「なじむ」という現象があるのも確かで、システム全体に効果が行き渡るまで多少の時間はかかる可能性がある。そういう意味でのロングランである。

毎日確かめていたわけではないが、1週間ばかり経ってみると全体がすっかり落ち着いてきたのを感じる。挿してあるのが当たり前という感覚で、音の出方に無理がない。エネルギーが隅々まで浸透している印象である。

ピアノを聴くとそのことが端的にわかる。周囲が静かになって音が浮き上がってくる。ただその静かさがしんとしたものとは少し違って、暖かなものが感じられるのだ。ノイズが消えたというより、空気が整頓された感覚である。またタッチの感触もくっきりしていながら、円やかな柔らかさがある。出方が生き生きとしているのを感じるのである。

オーケストラではその活きのよさがより明瞭に感じられる。凹凸がはっきりして表現に生命力が増したようだ。

電源コンセントを挿すと録音現場の空気が浮き上がる



こうしたことからノイズがすっかり消えてしまうより、多少の雑味があった方がいいのでは?と短絡してしまう人もありそうだが、それは誤解である。ノイズはないに越したことはないからだ。

では正解はどういうことか。それはもうひと手間かけるとわかりやすくなる。今度は電源コンセントにも1本挿してみる。

静かさや表現力の拡大はすぐにわかるのだが、やはりもう1週間ほどおいておく。そうして都合3本のエンハンサーがすっかりなじんだところで再び聴いてみると、一音々々の厚みと艶が増しているのがわかる。バロックでは起伏が大きくほとんど生の状態で聴こえてくるイメージだし、オーケストラはメリハリがいっそう冴えてアンサンブル全体が弾んでいるような鳴り方だ。

結局ノイズはすっかり消えているのである。その代わりに録音現場の空気のようなものが浮き上がってきたのだ。暖かみというのはそこで、だからもともと静寂感の強いバロックはやはりしんと静かだし、コーラスには教会内部の空間が丸ごと見えるような雰囲気がある。オーケストラの生命力も、ノイズに邪魔されていたエネルギーが落ちこぼれることなく乗っているからと言っていい。

ただのノイズ・フィルターと違うのはここで、流れが滑らかなのも起伏が増すのも信号が勢いづけられたからだと考えられる。正解はおそらくこういうことである。

できれば1機に1本使いたいところだが、あるいはこれという重点機にL/R 1本ずつでもよさそうだ。そしてコンセントまたは電源ボックスにも1本。これがほぼ一般的なパターンかと思う。心まで生き生きとしてくるような音の世界が、きっと味わえるはずである。

(提供:ブライトーン)

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