公開日 2024/07/22 06:30
5名の審査員が魅力を語る
HiFiオーディオを革新する新世代のプリメインアンプ、マランツ「MODEL M1」をVGP審査員が徹底解説
大橋伸太郎/岩井 喬/生形三郎/鴻池賢三/林 正儀
近年、住まいの中で個室をつくるよりも家族と時間や趣味をシェアする空間を求める人が増えている。スピーカーを使うオーディオも個人の趣味から、家族でエンタメを楽しむ道具となるなかで、マランツが新たに提案するのは、テレビとつながる小型のプリメインアンプ「MODEL M1」だ。
VGP2024 SUMMERにて批評家大賞を受賞するなど、ピュアオーディオ部会の審査員全員から激賞される本機の魅力を、5名の審査員が解説する。
今期、最もセンセーショナルなオーディオ機器が「MODEL M1」だ。VGPピュアオーディオ部会で最も多くの審査員の支持を集めた。M1のどこがオーディオのプロに強く訴えたのだろうか。
本機の外形寸法の横幅は一般のステレオプリメインアンプの44cmに対して22cmしかない。容積でじつに約1/4に抑えられている。しかし、かつてのミニコンポやライフスタイルオーディオと異なり、音質に特化した、れっきとした硬派のピュアオーディオアンプなのだ。既成概念にとらわれず、音のいい斬新なオーディオアンプを作ろうというマランツの挑戦が生んだのがM1だ。
マランツはこの10年、パワーと効率に優れるクラスDアンプ(デジタルアンプ)についての経験をオーディオとAVの両面で積み上げてきた。M1で同社技術陣が初採用したのがAxign(蘭)のクラスDデジタルパワー素子だ。Axignにはデジタル信号を直接入力し一気通貫処理ができる利点があり、シンプルな回路構成はアンプの小型化に役立つ。
マランツはAxignの特長と機能に注目し、回路を共同設計することで4基のパワー素子をBTL接続、大型スピーカーを余裕でハンドリングする100W/8Ωの大きなパワーを引き出した。ほとんどのオーディオアンプが歪みを消すためにスピーカーからのフィードバック(帰還)を利用するが、M1はアンプの最終段のスピーカー出力直前の電流センサーからパワー素子前段のDSPにフィードバックをかける。これも新素子との出会いで実用化された着想だ。
ラウンド形状に包み込まれたM1のボディはツマミ類がいっさいない。外装に樹脂素材を採用したのは、ビス孔が露出することを嫌ったためだ。樹脂素材には加水分解が起きない最新の素材を使用している。筐体と内部の基板類の外周に15mm前後の〈空気の循環路〉が設けられ、エネルギー変換効率の高いクラスD素子の採用とあいまって、ファンを使用しない完全な自然空冷を実現し、動作時の静粛性に貢献している。
各種操作や設定はスマホアプリの「HEOS」で行う。HDMI入力を備えテレビのeARCに対応するのに加え、専用リモコンは付属しないが、テレビのリモコンのIR(赤外線)コードを覚えさせて操作することができる。アンプはこうあらねばならない、という思い込みを捨てた所から生まれたのがM1なのだ。
期待の音質は、いい意味で肩透かしをくわせるほど素直で自然だ。かつてのクラスDの馬力はあるが粗さを感じさせる音質と訣別して、雑味を感じさせずデリカシーに富んでいる。アナログ方式のもっと上級のアンプと錯覚するほど。新素子の特性と機能に忠実にマランツ技術陣が回路設計を行った結果、生まれた、SN(静粛性)が際立ち弱音の美しい、どこまでも音楽に忠実なアンプといえるだろう。
自己主張せず寡黙でミニマルな存在感とあいまって時代が望んだ音楽のための純粋なツールが生まれた。ストリーミング、ファイル再生…音楽の聴き方が大きく変化したいま、アンプの立ち位置を問いかける意欲作マランツの「MODEL M1」。オーディオのプロたちの賞賛を集めたのは当然といえるだろう。これから、音楽を愛するすべての人たちの評価が待たれる。
VGP2024 SUMMERにて批評家大賞を受賞するなど、ピュアオーディオ部会の審査員全員から激賞される本機の魅力を、5名の審査員が解説する。
小型と侮るなかれ。M1は硬派なピュアオーディオアンプ(大橋伸太郎)
今期、最もセンセーショナルなオーディオ機器が「MODEL M1」だ。VGPピュアオーディオ部会で最も多くの審査員の支持を集めた。M1のどこがオーディオのプロに強く訴えたのだろうか。
本機の外形寸法の横幅は一般のステレオプリメインアンプの44cmに対して22cmしかない。容積でじつに約1/4に抑えられている。しかし、かつてのミニコンポやライフスタイルオーディオと異なり、音質に特化した、れっきとした硬派のピュアオーディオアンプなのだ。既成概念にとらわれず、音のいい斬新なオーディオアンプを作ろうというマランツの挑戦が生んだのがM1だ。
マランツはこの10年、パワーと効率に優れるクラスDアンプ(デジタルアンプ)についての経験をオーディオとAVの両面で積み上げてきた。M1で同社技術陣が初採用したのがAxign(蘭)のクラスDデジタルパワー素子だ。Axignにはデジタル信号を直接入力し一気通貫処理ができる利点があり、シンプルな回路構成はアンプの小型化に役立つ。
マランツはAxignの特長と機能に注目し、回路を共同設計することで4基のパワー素子をBTL接続、大型スピーカーを余裕でハンドリングする100W/8Ωの大きなパワーを引き出した。ほとんどのオーディオアンプが歪みを消すためにスピーカーからのフィードバック(帰還)を利用するが、M1はアンプの最終段のスピーカー出力直前の電流センサーからパワー素子前段のDSPにフィードバックをかける。これも新素子との出会いで実用化された着想だ。
ラウンド形状に包み込まれたM1のボディはツマミ類がいっさいない。外装に樹脂素材を採用したのは、ビス孔が露出することを嫌ったためだ。樹脂素材には加水分解が起きない最新の素材を使用している。筐体と内部の基板類の外周に15mm前後の〈空気の循環路〉が設けられ、エネルギー変換効率の高いクラスD素子の採用とあいまって、ファンを使用しない完全な自然空冷を実現し、動作時の静粛性に貢献している。
各種操作や設定はスマホアプリの「HEOS」で行う。HDMI入力を備えテレビのeARCに対応するのに加え、専用リモコンは付属しないが、テレビのリモコンのIR(赤外線)コードを覚えさせて操作することができる。アンプはこうあらねばならない、という思い込みを捨てた所から生まれたのがM1なのだ。
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