トップページへ戻る

レビュー

HOME > レビュー > レビュー記事一覧

公開日 2024/06/11 07:45
評論家・岩井喬が本国スタッフを直撃

実売600万円超え。「Warwick Acoustics」の独自静電型ヘッドホン、その音質と開発思想に迫る!

岩井 喬

前のページ 1 2 3 次のページ


去る2024年4月末、ヘッドホン祭りでも公開され注目を集めていたWarwick Acoustics(ワーウィック・アコースティクス)が手掛ける販売価格600〜700万円という超ハイエンドな静電型ヘッドホンシステム「APERIO」。

今回イベントに合わせてUKからWarwick Acousticsのヘッドホンビジネス部門のディレクターを務めるマーティン・ロバーツ氏が来日した。APERIOも専用の大型キャリーケースに収め、ハンドキャリーで持ち込んだというが、このAPERIOを聴かせてもらいつつ、Warwick Acousticsの成り立ちや静電型ヘッドホン開発への想い、今後の展開についてお話を伺った。


写真左がWarwick Acousticsでヘッドホンビジネス部門のディレクターを務めるMartin Roberts(マーティン・ロバーツ)氏。写真右は筆者。

■「Warwick Acoustics」とは?


国内では知名度の高くないWarwick Acousticsであるが、その前身となるWarwick Audio Technology(以下、WAT)は2000年に創業。WarwickはUK・バーミンガム近郊の都市の名前であり、Warwick Universityがあることでも知られる。その20年以上の歴史の中で大きな転換点となったのが独自静電型トランスデューサーの発明と、この発明品を用いた静電型ヘッドホンシステムSonoma Acoustics「Model One」の開発・製造を担ったことにあろう。


Sonomaの名前を冠して発売されたWAT初のヘッドホンシステム、Sonoma Acoustics「Model One」。日本では2017年に発売された。
2018年にWarwick Acousticsへと体制が改められたが、その際にModel Oneも継承。Warwick AcousticsではこのModel Oneのヘッドホン部を強化して、低域の豊かさの追求や装着性の向上を果たした「Bravura(ブラヴューラ。イタリア語で“華麗”という意味を持つ)」も開発し、欧米市場でも高く評価されていると聞く。


Warwick Acousticsのレギュラーモデル「Bravura」。Silverカラーの価格は¥OPEN(実売想定価格¥1,067,000/税込)。Blackカラーの価格は¥OPEN(実売想定価格¥1,210,000/税込)。

■産学連携が生んだ静電型技術を採用する


WAT創設期である2000年、Warwick Universityの准教授であるダンカン・ビルソン博士(現在はWarwick Acousticsの非常勤取締役も担っている)が特許申請を行った、静電型トランスデューサーの基礎設計に関わる技術の供与を受け、製品への転用を模索。その中でこの技術を静電型ヘッドホンに応用してみてはどうかというアイデアが生まれた。

静電型ヘッドホンの心臓部であるトランスデューサーは、2枚の固定電極間にバイアス電圧をかけた振動膜を挟み込み、固定電極へ音声信号を入力することで静電力が働き、振動膜が動いて音波が発生するという仕組みだが、この特許は1枚の固定電極と電極を兼ねた振動膜の組み合わせだけで音を出すという技術である。

静電型のトランスデューサーのイメージ。応答速度に優れ、静電型特有の繊細な音が楽しめる反面、専用のアンプが必要になる。

実際にヘッドホンへ組み込み、ある程度の完成度となるまで13年の年月がかかったという。その当時CTOを務めていたダン・アナグノス氏がこの素晴らしい音のする静電型ヘッドホンをモニターとして活用できないか、相談したのがDSDマスタリングで世界を代表する一人であったガス・スキナス氏である。

ダン氏とガス氏は元々ソニーSACD訴求チームの一員で、ダン氏はスピーカー設計、ガス氏はDSDフォーマットを用いた制作ツールSONOMA Workstationの開発・運用メンバーであった。そのためブランド名“Sonoma”を使用することも決まり、WATが開発したトランスデューサーはついに日の目を見ることになったのである。

記念すべき初プロダクトにWATの名を付けなかったことに対し、マーティン氏は「この当時WATは知名度が低く、ヘッドホンを発売する際にオーディオビジネスに精通したパートナーを探していたので、SACD訴求における実績があるメンバーの協力を得たSonoma Acousticsのブランディングは間違いではなかったと感じています」と語った。

リブランディングの旗頭となったフラグシップ機「APERIO」とは?

前のページ 1 2 3 次のページ

関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 ソニー「Xperia 10 VIII」、直販9.9万円で10月8日発売。「鬼滅の刃」などへの着せ替え新機能も
2 20万円以下!最新プリメインアンプ4機種一斉試聴。Cambridge Audio/ARCAM/マランツ/ソウルノート
3 レグザ、評論家・本田雅一氏宅への100V型RGB Mini LEDテレビ搬入に密着ロケ。第3回は大型クレーンが登場
4 劇場版『ボトムス』も無料テレビ初放送。『攻殻機動隊』などBS12「日曜アニメ劇場」11月作品
5 ソニー、スマホを“推し仕様”に変える新サービス「Fan Sync」。第1弾は『鬼滅の刃』とハローキティ
6 テクニクス、フリッツ・ハンセンとコラボしたダイレクトターンテーブル「SL-40CBTFH」。全世界300台限定
7 4K UHD BD『八つ墓村』、主演ショーケン、金田一は渥美清。昭和の名優が並び立つ傑作が4Kで復活
8 BS民放5社の4K無料配信サービスがスタート。「“知る”“観る”の先にある“体験”ができる!」内藤剛志が4Kの魅力を熱弁
9 audiolab、フラグシップ “9000シリーズ” にCDトランスポート「9000CDT」。音楽ファイル再生にも対応
10 新潟のオーディオ文化を盛り上げる!評論家と専門店による選りすぐりのシステムが集結、「新潟ショウ」を徹底レポート
10/2 10:28 更新

WEB