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公開日 2023/03/10 06:30
様々な聴き方と音色を楽しめる

“キャリアブルヘッドホンアンプ” がさらに奥深く進化!Astell&Kern「ACRO CA1000T」レビュー

高橋 敦

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Astell&Kernが2022年初めに発売した「ACRO CA1000」(以下、CA1000)は、強力なヘッドホンアンプ機能を核としつつ、同社DAPに相当する機能も一体化し単体での再生能力も用意し、さらに入出力の充実によって、PCやパワードスピーカーなど多彩な機器と組み合わせてのシステム構築にも幅広く対応する万能アイテムだ。メーカー曰く「キャリアブルヘッドホンアンプ」だが、実態は「キャリアブルオールインワン」と言える。

「ACRO CA1000T」は、そのフォーマットを継承、強化したニューモデルである。最大の強化点はオペアンプ回路と真空管回路を融合させた「トリプルアンプシステム」の搭載だ。

それに伴い、DAC周りも最新8chチップ「ES9039MPRO」×2基のデュアル構成に変更。4.4mmバランス入力とminiXLRバランス出力の追加で、接続性もさらに強化された。従来モデルを土台に、オーディオ的な楽しさをさらに上乗せしてきた印象だ。

「ACRO CA1000T」(369,980円/税込)

■「DAPの機能性&操作性」+「据え置きのパワー&拡張性」!



ACRO CA1000Tの概要から確認していこう。大まかには「超強力ヘッドホンアンプ+DAPの再生機能と操作感+豊富な入出力による拡張性」との理解で問題ない。大容量バッテリーを搭載し、外部電源なしでの単体再生にも対応する。その能力によって、ポータブルではなく据え置き的な設置を基本としつつ、必要とあらばどこにでも移動させられる、そんな新しい音楽の楽しみ方を提案するのが本機だ。

であるので、据え置きメインの利用形態を想定してあるからこその使いやすさにも注目してほしい。例えば、見やすく操作しやすい角度に調整できるチルト式タッチディスプレイ。天板前方の押しやすい位置に配置された操作キー、おおらかな回し心地の大型ボリュームダイヤル。操作中にガタガタしない安定した筐体。2.5mm 4極/4.4mm 5極バランスも6.35mm標準も変換アダプターなしで接続できる充実のヘッドホン端子といった具合だ。

DAPと同じように操作できるタッチディスプレイと、ボタンやボリュームダイヤルといった据え置きヘッドホンアンプらしい質感高い操作系をあわせ持つ

USB充電ポートとUSBデータ入出力ポートが分離しているため、充電ケーブルを接続しながら使用ができる。また、USB-PD2.0での急速充電にも対応するうえ、今後のファームウェア・アップデートにより、85%までの充電にとどめるよう制御し、充電負荷を軽減する「バッテリー保護モード」も追加予定。DAPを据え置きに転用して使う際に不便と感じるポイントが、本機ではことごとく解消されている。

ディスプレイは無段階で角度を調整できる。取り外しは非対応で、あくまでアンプ部とのワンセットだ

背面出力の使い勝手もよい。RCAライン出力にパワードスピーカーを接続して、本機のDAP機能で音楽を再生、スピーカーに合わせて本機のボリュームを上げる。そこからヘッドホン端子にヘッドホンを接続すると、本機は音楽再生を続けたまま、ボリュームを自動で一旦下げてから、出力をヘッドホンに切り替えてくれる。爆音で耳を痛めることがないよう配慮されているのだ。

3.5mm/6.35mmアンバランス、2.5mm/4.4mmバランス出力を搭載

背面にはRCA出力やUSB Type-C、microSDカードスロットなど豊富な端子を備える。前モデルから新たにminiXLR出力と4.4mmバランス入力も加わり、機器との接続性に磨きがかかった

「DAPより大きいからこそ」のデュアル真空管フルバランス回路

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