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JBL、“ながら聴き”イヤホンのフラグシップ「Sense Pro」8/29クラファン開始。実機を先行体験してみた
編集部 : 伴 修二郎ハーマンインターナショナルは、JBLブランドにて、オープンイヤー型完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル「JBL Sense Pro」の日本導入へ向けた支援プロジェクトを、クラウドファンディングサイトGREEN FUNDINGにて8月29日 10時から実施する。本稿では、本日開催されたメディア向け製品体験会の模様を中心にレポートする
約2年ぶりの新フラグシップ・オープンイヤー完全ワイヤレス「JBL Sense Pro」。前世代機からの進化点とは?
「JBL Sense Pro」は、耳をふさがないオープンイヤー構造の完全ワイヤレスイヤホンの新フラグシップモデル。2023年に発売されたJBLブランド初の“ながら聴き” タイプの完全ワイヤレスイヤホン「SOUNDGEAR SENSE」の後継モデルに位置づけられており、各種仕様においてアップグレードが施されている。
同ブランドは2023年にSOUNDGEAR SENSEをもってオープンイヤー型イヤホン市場に参入。参入メーカーが増加した年であったことも追い風となり、SOUNDGEAR SENSEは販売実績ともに大きな成功を収めた。そして今年6月に小型/軽量化したオープンイヤー型のスタンダードモデル「Sense Lite」が発売。そして今回、新たな上位モデルが投入される格好となる。
本製品の主な特徴として同社は、「プレミアムなこだわりのサウンド」「装着性」「オープンイヤースタイルによる新しい音体験」「フラグシップならではのパーソナライズ機能」の4点を掲げる。
まずサウンド面では、16.2mm径の「Diamond-Like Carbon(DLC)」振動板を採用したダイナミック型ドライバーを搭載。このDLCコーティングは、2023年発売の完全ワイヤレスイヤホン「TOUR PRO2」でも採用したコーティング素材となっており、特にフラグシップ・クオリティに寄与する中高域の再現力に定評があるという。
また、マグネット周りでは大黒電線製の0.043mm極細ボイスコイルと、飛行機などでも使用される強力なN52グレードのマグネットを搭載する。これらは奥行きのある豊かな低域再生に寄与するといい、オープンイヤー型ながら低域から高域まで作り手の音をそのまま届けられると謳った。
さらに、これまでノイズキャンセリング対応イヤホンのみに搭載していたJBL独自の空間オーディオ機能にも対応。カナル型イヤホンとは設計が異なるSense Pro専用のモジュレーションアルゴリズムを採用することで、よりオープン型イヤホンに適した空間サウンドを実現し、音源や再生デバイスを問わず包み込むような没入感のあるサウンドが楽しめるとする。
そのほかにも、BluetoothコーデックはSBC、AACに加えて、LDACやLC3+(Auracastレシーバー時)もサポートする。「Hi-Res Audio Wireless」の認証も取得しており、オープンイヤー型ながら限りなくスタジオサウンドに近い音を再生すると説明する。
従来モデルでも採用する独自機能からは、音楽の音量に応じて低音を自動調整し、よりダイナミックなサウンドを奏でる「アダプティブ低音増強アルゴリズム」、音圧は波を通して耳に伝わりながら、同時に逆位相サウンドをぶつけることで音の拡散を低減して音漏れを最小限に軽減する「OpenSoundテクノロジー」を採用している。
装着面では、前世代機SOUNDGEAR SENSEがイヤホンとフックの部分の角度調整を4段階から行えたのに対し、Sense Proでは角度段階なしで最大20度の範囲まで自由に調整することが可能になった。
スピーカーホールがきちんと耳穴に向くよう正確な位置に調整しやすくなったことで、低域から高域まで全帯域の音を漏らさずに耳に届け、無断な音量のボリュームアップや周囲への音漏れを抑制するとアピールする。
耳をかけるイヤーフック部分は、医療機器でも使用される非常にしなやかなで肌にやさしいリキッドシリコンを使用。内部にはチタン合金製のメモリーワイヤーを備えることで、眼鏡を着けていても違和感なく装着できる設計に仕上げたとする。
また、フック形状は完璧なカーブを実現するために徹底的にテストを重ねて設計したことで、しっかりとフィットしながらも圧迫感を最小限に抑える快適な装着感を実現したという。加えてイヤホン本体は多くの耳の形やサイズに合うよう、人間工学と様々な検証に基づいた設計に仕上げたと明かした。
オープンイヤー型ならではの音体験として、通話面では物理マイクを左右に2基ずつの、合計4基の音声用マイクを内蔵。従来モデルと同じく周囲のノイズを軽減するアルゴリズムは採用しつつ、新たに骨伝導音声ピックアップ技術「VPU」を採用。
ウェアラブルに関する広範なデータ分析に基づきVPUセンサーが耳の垂直方向に沿って配置されており、本センサーが声帯の振動を効果的にとらえることで音声の明瞭性を向上させるという。
また、オープンイヤー型イヤホンの懸念点である屋外使用時の風切り音対策では、緻密に設計した空力構造を用いることで、マイク集音エリア周辺の気流の乱れを効果的に低減。これにより、前世代機SOUNDGEAR SENSEと比較して風切り音低減効果を25dB向上させたとアピールした。
そのほか、最新のフラグシップ完全ワイヤレス「TOUR PRO3」と同様、高品質通話のオンオフ、またユーザー自身の声色と通話相手の声色のニュアンスを専用アプリから変更できる「声のパーソナライズ」機能もサポートしている。
さらに、JBLのオープンイヤー型イヤホンとして初めて「Auracast」の受信に対応する。専用アプリからAuracastを有効にし、親機となる送信機を選択することで、親機から再生する音を同時リスニングが可能。JBLのTOUR PRO3やAuracast対応のポータブルスピーカーなどを親機として活用して、複数台のSense Proから同時に同じコンテンツを楽める。
主な活用例としては、グループでのダンス練習やセミナーなどでの活用を提案。また、オープンイヤー型によって周囲の音も聞き取れることで、周りのメンバー同士でそのまま会話できる点をアピール。
ほか、博物館のオーディオガイドでの活用例として、本方式で館内放送やガイドを行うことで、来場者は自身のイヤホンやヘッドホンでその放送やガイドを聞くといった活用例も近い将来には提案していきたいと担当者は明かしていた。
最後に専用アプリ周りでは、各種EQ設定やタッチ操作のカスタマイズなどをサポート。加えて、左右の耳で各9か所から周波数帯の聴覚チェックを行い、ユーザー自身が普段聞こえていない周波数帯を補完して音を再生してくれる「Personi-Fi 3.0」も搭載する。同社調べによれば、オープンイヤーTWSで聴こえのパーソナライズ機能を備える他社製品はまだないとのこと。
そのほかにも、地図上でイヤホンの位置を確認できる「Google Find Hub」や、イヤホン本体の居場所を知らせる高音のピープ音を鳴らす「イヤホン本体を見つける」機能などに対応し、イヤホン紛失時にも安心の探索機能をしっかりとサポートしている。
充電ケースは、メタリックな要素を残しながら少しマットなコーティングを施すことで、全体的に落ち着いた洗練された質感に仕上げたとのこと。形状は美しい丸みとカーブによってデザインしたとする。
バッテリー周りでは、連続再生時間がイヤホン単体で約8時間、充電ケース併用で約30時間を実現。充電端子にはUSB Type-Cを備え、10分の充電で約4時間再生が可能な急速充電や、ワイヤレス充電にも対応する。
そのほか、最大2台のデバイスと同時接続が可能なマルチポイント機能も搭載。イヤホン本体はIP54規格の防水防塵性能にも準拠し、カラーバリエーションはブラックとグレージュの2色をラインナップする。
一般販売予価は税込24,200円だが、リターンプランの一例として2色合計先着1000名限定の「Super Early Bird」では18%オフ、2色合計先着1150名限定の「Early Bird」では17.9%オフの価格で購入できる。プロジェクトは2025年10月26日ごろまでを予定し、製品発送は11月より順次開始する。
「コンテンツをしっかりと楽しめる」オープンイヤー型イヤホン誕生。その実機を先行体験
本製品の投入に際して、同社は日本のオープンイヤーの参入メーカーの数の推移を公開。2021年はまだ3メーカーほどの参入だったのが、2025年現在ではすでに約37メーカーが参入するなど、昨今のオープンイヤー型イヤホンの市場規模の拡大を訴えた。
また、日本全体の完全ワイヤレスイヤホンの中でオープンイヤー型イヤホンが占める割合が、昨年の8%前後から今年は10%以上になると見込まれているとのこと。その背景には、何か作業をしながら音楽を聴く「ながら聴き」というのが、大きな牽引力になっていると強調した。
また、オープンイヤー型イヤホンは現在主に「インナーイヤー型」「イヤーカフ型」「イヤーフック型」の3形状に分けられるとして、 “JBL Senseシリーズ” で採用されるイヤーフック型の特徴としては、周囲の音も取り込みつつ、音楽もしっかり聴きたいという2点を両立できる点を挙げた。
そこで今回のSense Proにおいては、「コンテンツをしっかりと楽しむ」ことをメインに据えつつ、その上で外音も取り込めるという観点で開発したと説明。また、装着時の安定性もイヤーフック型の特徴であるとして、ランニングやワークアウト中の使用にも最適な点をアピールした。
そのほか、前世代機SOUNDGEAR SENSEから引き続く製品コンセプトとして、モデル名でもある「センス」というワードを重要視しているという。センスとは、外の世界をちゃんと「感じられる」という意味合いを指し、色々なシーンに自然に馴染む製品でありながらも「コンテンツをちゃんと楽しみたい方のためのモデルである」と力を込めた。
本メディア向け製品体験会では、クラファン開始に先駆け、一足先に実機に触れることができた。まず装着面では、イヤホンを耳に装着後に本体部分のみを指でつまんで動かすことで、スピーカーホール部分の角度調整が手軽に行えた。段階調整ではないため対応範囲までなら細かい調整が行え、正しい位置に調整することでよりフィット感も向上した印象だ。
実際に試聴してみると、オープンイヤー型ながら鮮明で音の厚みがより感じられ、低音域も十分な量感が感じられた。そのほか、TOUR PRO3を親機として複数台のSense Proと連携し、実際にNetflix『ゴジラ-1.0』を試聴するAuracastデモも体験。受信機となるSense Proで試聴しても、特に接続安定性や音質が劣ることのないさまを体感できた。
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