<上海ショウ>オーガナイザーに訊く今年の注力点。「日本メーカーとの連携も強化したい」
筑井真奈5月15日より17日まで、中国・上海にて開催された第33回「Shanghai International Top Audio-Visual Show (TAS)」(以下:上海オーディオショウ)。そのオーガナイザーの代表であるヤンさんに、今年の注力点と今後の展開について話を伺った。
昨年は7月開催だったが、今年は2か月早い5月開催となった上海オーディオショウ。昨年は、「5月に開催されるミュンヘン・ハイエンドでワールドプレミアの製品が多数登場してくるので、その次のアジアプレミアを狙って7月開催を決定した」と話を聞いていた。今年はハイエンドがウィーンに移動し、開催時期も6月と時期が遅れたこともあるだろうが、なぜより早い5月にしたのだろうか?
「7月の上海は暑すぎる、という声が多かったこと、それから台風のシーズンでもあり、天候にも恵まれない日が多いことから、初夏に開催することにしました」とヤンさん。
また、ミュンヘン・ハイエンドでグローバルにお披露目される製品も、実際はプロトタイプ、開発途上、箱だけ(音は出ない)、ということも少なくない。それらの製品をアジアに持ち込むならばしっかり音を練り上げてからのほうが良い、というメーカーの思惑もあるようで、7月では期間が短すぎて思ったほど話題の新製品が集まらなかった、という背景もあるようだ。
今年は5月開催となったが、来年以降は戦略を転換し、4月第3週目の開催を検討しているそうだ(2027年は4月16日から18日を予定)。上海の気候が良いことに加えて、同じ時期にレコードのイベントも開催されるそうで、より“音楽ファンと密接に連携した”イベントとしての力を入れていくという。
また、大型コンベンションセンターとホテルの部屋の両方を使っているため、昨年は「導線がわかりにくい」という来場者の声も寄せられたという。そのため、今年は会場全体に試聴ブースの在り処を示す案内板を多く追加。さらに、小冊子に加えて1枚の紙にショウの全体図が示したマップを用意し、来場者の回遊しやすさも改善したという。
出展社の多くは中国メーカー、あるいは中国の代理店との契約のあるヨーロッパや日本ブランド、音楽レーベルなどが中心だが、「代理店を探したい」海外メーカーの出展も歓迎しているという。今回はIDEONというギリシャのオーディオメーカーが初出展したそうで、中国市場開拓を狙うメーカーにとっても意義のあるショウになることを目指すという。
また、ヨーロッパやアジアの主要専門オーディオ・ビジュアル雑誌が加盟する独立団体EISA(アイサ)との関係性も強化。EISAはこれまでヨーロッパのメディアが中心であったが、小社刊行の『季刊・オーディオアクセサリー』や、香港の有名オーディオ雑誌『Audiotechnique』(香港オーディオショウの主催団体でもある)も参加しており、グローバルに存在感を高めている。
現在中国のメディアでEISAに加入しているところはないが、今後関係性を強化していく計画があるという。
「日本には優れたオーディオブランドがたくさんあります。日本のオーディオの市場ともさらに緊密に連携していきたいですし、日本メーカーにもぜひもっと参加いただきたいと考えています」とヤンさんも訴える。
今年、日本からはレコードプレス工場の東洋化成が初参戦した。ラッカー盤からスタンパーができるまでといったレコードの製造過程を紹介するほか、レコードの卸もサポート。レコード文化を日本からアジア全域に向けてさらに推進していくそうだ。
ヤンさんも、日中間の政治的な緊張関係があることは認めながらも、音楽とオーディオ文化を通じて、上海の市場をさらに発展させていきたい、という強い願いが伝わってきた。