トップページへ戻る

ニュース

HOME > ニュース > オーディオニュース

公開日 2025/09/10 06:35
“オーディオ的なこだわり”にあふれる

一発録りの“ケミストリー”を鮮度高く届ける。情家みえ『ボヌール』、ミックスダウンの現場レポート

編集部:筑井真奈

本日9月10日に正式発売となるUAレコードの最新作、情家みえ『ボヌール』。オーディオビジュアル評論家の潮 晴男氏と、麻倉怜士氏の主催による音楽レーベルで、“オーディオ的なこだわり” をこれでもかと詰め込んだ期待の一作となっている。本作の制作にあたり、5月下旬に代々木のポニーキャニオンスタジオにて実施されたそのミックスダウンの現場を取材してきた。



UAレコードの『ボヌール』、本日発売。中央がジャズシンガーの情家みえさん、左右がプロデューサーの麻倉怜士氏(左)と潮 晴男氏(右)


すでに香港オーディオショウで先行発売され、現地で大反響を巻き起こしている『ボヌール』。その “オーディオ的なこだわり” はどこにあるのだろう?


前作『エトレーヌ』とも共通する点だが、第一に、後からの編集を行わない「一発録り」による鮮度の高い録音を実施していること、それに加えてProToolsによる192kHz/24bitデジタル録音と、76cm/sec・2インチテープによるアナログ録音も同時に実施している点も大きな特徴となる。今回発売されるCDは、ProToolsによるデジタル録音がベースとなっている。



収録・ミックスダウンの作業は代々木のポニーキャニオンスタジオで行われた


CDのフォーマットについても、メモリーテックによるピット成形の精度を高めた高音質CD「UHQCD」と、“ハイレゾ折り紙” の名でも呼ばれ、ハイサンプリングレートの音源をコンパクトに折りたたむMQA技術を採用した「MQA-CD」のダブル仕様となっている。と言っても、SACDとは違って「普通のCDプレーヤー」で再生することができる、という点もこだわりである。


ミックスダウン(トラックダウンとも呼ばれる)とは、収録時に、ボーカル、ギター、ベース、ドラムなどそれぞれの楽器にマイクを立ててマルチチャンネル録音したものを、ステレオ2chに落とし込んでいく作業である。


今回は全部で24chで録られており、それらをステレオにまとめ上げるとともに、楽器の帯域が被ってマスキングされてないか、楽器の空間再現がきちんとできているかといった点を、エンジニアの耳で確認しながら完成へと仕上げていく。録音に続き名手・塩澤利安氏が担当する。



エンジニアリングを担当した塩澤利安氏。前作『エトレーヌ』に続いての起用


『ボヌール』には全部で12曲が収録されており、ミックスダウンも1日4曲ずつ、3日間かけて行われたという。デジタルとアナログ、それぞれにミックスダウンの作業が必要となるため、それだけ時間もかかる。プロデューサーである潮、麻倉両氏はもちろん、シンガーの情家さんも参加し、音質的な仕上がりをチェックしながら丁寧に作業を進めていた。


今回取材に伺ったのは終わりも見えてきた3日目だったため、順調な進行に現場の雰囲気も和気藹々とした様子。アナログ録音は、スタジオに常設されるスチューダーの「A800」というテープレコーダーにて行われたそうだ。収録をこの代々木スタジオで行なっている理由のひとつは、このA800が使えるから、ということもあるそう。2インチ幅の太いテープを使うのも「音質」のためであり、ここまで贅沢な録音はなかなか近年珍しい。



2インチテープも収録できるスチューダーの「A800」


アナログテープへのミックスダウンの作業を見るのは初めてのこと。こちらでは、同じくスチューダーの「A820」が使われた。


塩澤さんがエンジニアとして「名手」と言われる所以は、実はこの「テープ捌き」にもあるそうだ。塩澤さん自身は「長く(エンジニアを)やっているからですよ」と謙遜するが、曲間の繋ぎをスムーズにするためには、このテープの “切り貼り” が重要となる。この微妙なニュアンス感の調整にも、塩澤さんの「アナログ的な手腕」が生きている。



アナログマスターの作成はスチューダー「A820」を活用




テープの切り貼りにも塩澤さんの手腕が光る


情家さんにとって、今作は2度目の一発録り。とはいえ決して “慣れる” ものではないようで、「ブースに入る時の……なんでしょう、絶望感はすごいですし、歌と歌の間、間奏の時は、次ちゃんと声が出るだろうかと非常に不安でたまりませんでした」と振り返る。


だがそれに対して麻倉氏は、「その真剣勝負が音になる、というのが重要だと感じています。これはやり直しの効かないライブで、そのライブの空気感や、ミュージシャン同士の化学反応みたいなものを期待したいんですね」とプロデューサーなりの無茶振り。潮氏も、「そんなことでへこたれるようなシンガーを私たちは選んでない!」とさらに追い討ちをかける。


疾走感あふれる1曲目「ラバー・カムバック・トゥ・ミー」から、スタンダードナンバーをしっとり歌い上げる「オーバー・ザ・レインボウ」、そしてプロデューサー陣が情家さんに「ぜひに!」とリクエストして誕生した「アイ・キャン・シー・クリアリー・ナウ」まで全12曲。一発録りでしか生まれない特別なケミストリー、良質なシステムでぜひとも味わい尽くしたい。



 


■情家みえ『ボヌール』


フォーマット:MQACD+UHQCD
価格:4,400円(税込)
Qobuzにてハイレゾダウンロード音源(192kHz/24bit)も販売



【収録曲】
1.ラバー・カムバック・トゥ・ミー
2.メディテーション
3.ホワット・ザ・ワールド・ニード・イズ・ラブ
4.オーバー・ザ・レインボウ
5.ザ・シャドウ・オブ・ユア・スマイル
6.イット・ドント・ミーン・ア・シング
7.ラブ・イズ・メニー・スプレンディド・シング
8.アルフィー
9.マン・アンド・オンリー・ラブ


 

関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 知ってた? テレビのアンテナ線、実はいまだにアナログ信号。その深いワケ
2 女子プロゴルフ「Sky RKBレディスクラシック」5/15から3日間の放送・配信予定
3 ネットワークオーディオ、最初の1台。Sonos/BLUESOUND/WiM、6万円前後のエントリープレーヤー徹底対決!
4 “ローレゾ"だって楽しい!クロームも対応、WE ARE REWINDのカセットデッキが熱い!
5 パナソニック、輝度/発色をより高めた”新世代プライマリーRGBタンデム”4K有機ELビエラ「Z95Cシリーズ」
6 TCL、 独自高画質化技術「SQD-Mini LED」搭載の4Kテレビ「X11L」「C8L」「C7L」
7 サッカーW杯、日本代表の地上波中継は初戦と3戦目がNHK/2戦目は日テレ。ネット配や4K放送も
8 silent Angel、クロック周りを刷新したオーディオサーバー「Z1C mk2」
9 パナソニック、新パネル/制技術で画質を高めた最上位Mini LED 4K液晶ビエラ「W97Cシリーズ」
10 LG、USB PD 65W給電対応の27型4K液晶ディスプレイ「27U730B-B」
5/15 10:38 更新

WEB