レグザが到達した高画質の頂点
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全てのユーザーに最高の高画質を届けるため、薄型テレビが遂にインテリジェンスを獲得した。東芝が独自のデジタル回路技術をフルに活かして、最新のREGZA<レグザ>に反映させた「おまかせドンピシャ高画質」というコンセプトと、その機能が実現する効果を検証する。



−−さて、REGZA<レグザ>の話題に入りましょう。テレビが持つ全ての性能を限られたユーザーの方だけでなく、100%の人に提供する技術を持つテレビ、それがREGZA<レグザ>の新シリーズです。最上位機種の「ZH500」「ZV500」からエントリーモデルの「CV500」まで4シリーズ10機種全てに搭載された「おまかせドンピシャ高画質」機能は、設置場所の日の出、日の入り時間まで把握し、視聴環境やコンテンツの内容を自動判断し、映像を調整する機能を搭載したスグレモノなのです。

松山 この「おまかせドンピシャ高画質」機能は、いわゆる明るさセンサーの一種ですが、従来ものとは全く異なります。

山之内
 精度が明らかに高いですからね。

▲新しいREZGA<レグザ>では、トップモデルのZH500/ZV500シリーズのみならず、スタンダードクラスのRH500、CV500シリーズにも「おまかせドンピシャ高画質」の高画質思想と機能が盛り込まれている(写真はクリックで拡大します)

松山 これは、「表現に限界があること/出来ないこと」をごまかすのではなく、それに敢然と立ち向かったポジティブな機能として付与したものだと評価しています。

山之内 はい。

松山 コントラストのダイナミックレンジが狭い、あるいは輝度が足りないから仕方なく付けているわけではありません。やるなら本気でやろうということで挑戦したのが今回の機能だと思います。

山之内
 個人がカスタマイズする映像モードはこれからも必要だと思いますが、それにプラスして、今回、東芝が新提案を打ち出したことには賛意を表したいですね。今までマニュアルモードしかなかったテレビの世界に、スチルカメラで言うところの「オートフォーカス」の概念を持ち込んだわけですから。マニュアルとオートの合わせ技を用意することで、ユーザーの意識や習熟度に沿った最適な映像調整手法を選べるようになりました。いわばテレビが新たな進化を始めたということなのです。


松山 テレビももっとアクティブになって良いはずですね。

山之内 実は、オーディオの世界はテレビより先を行っています。最近のAVアンプでは、部屋の音響特性を加味して最適な音場を作り出す自動補正機能が、ほぼ標準的に搭載されています。その領域に踏み込んだ新REGZA<レグザ>は、確実なステップアップを果たしたと言えるでしょうね。

松山 はい。

山之内 テレビというものは、室内の印象を大きく変える非常に大事な要素です。部屋の照明が変わると雰囲気も変わります。寒暖の感じ方も変わります。ですが、例えば照明が変わって空間が暖かくなっても、テレビ映像が寒々しかったら著しくバランスを欠くことになってしまいます。部屋の照明環境や状況の変化を、自分でコントロール出来るようなインテリジェンス性をテレビ側で備える必要がこれからは増してくると思います。

松山 私は、この機能の効用を確かめた時、単純に「いいじゃん」と思いました。

山之内 何をご覧になっていましたか?

松山 通常のテレビ放送、スタジオ収録の番組です。テレビというものはテレビ番組を観るためのツールですから、ごく普通の放送が素晴らしく見えないといけないと思います。ハイビジョンテレビにありがちな、エンハンスが非常に強くて解像度ばかりを追っているような映像ではありませんでした。あえて階調を抑える方向で画作りを行い、コントラストを綺麗に見せているのです。そういう志向に今回のREGZA<レグザ>はまさに「ドンピシャ」はまりました。フィルム至上主義の方はもしかしたら異論があるかもしれませんが。

山之内 黒が出なくても階調が大事という考え方もありますからね。

松山 ですが、やはり映像とは観ている人間に突き刺さるものでなければいけないはずです。鑑賞者が作品に感情を移入してのめり込むことより先に、作品の方から鑑賞者に向けて突き刺さるような映像を提示しないと駄目だと私は思っていますから。

山之内 なるほど。

松山 私の中では、コントラストの順位付けは非常に高いのです。私が求める理想的な画を、映画だけでなく普通の番組でも、今回のREGZA<レグザ>が仕上げてきたことを嬉しく思います。


山之内 視聴前は、部屋の明るさが変化する中で、どのように映像が変化すると予測していましたか?

松山 もう少し階調が出て、輝度が落ちて、バックライトが落ちると思っていました。

山之内 力強さに欠ける画が出てくると…。

松山 そのように予想していました。ところがそれが良い意味で完璧に裏切られたのです。

山之内 なるほど。

松山 そういった理由で私は「いいじゃん」と思ったわけです。

山之内 私の場合は、照明の設定が選べることにまず感心しましたね。蛍光灯か電球のいずれかを選べるほどの細かなコントロールが可能ですからね。光の色まで意識した画作りが施されているということなのでしょう。非常に暗いシーンの多い、オペラの厳しいソースも観ましたが、舞台の上にある調度品を非常にリアルに描き出すことが出来ました。これは本機が豊かな階調性を保持しているということを証明していますが、それと同時に舞台特有の強烈なコントラスト感を維持していたことにも驚かされましたね。

松山 はい。

山之内 観賞途中で照明の明るさを急に変えた時に、REGZA<レグザ>はわざとらしくなく、ゆっくりと反応します。数秒、あるいは数十秒かけて画が変わっていきますが、変わったことをほとんど意識させることはありませんでしたね。

松山 性能を誇示するためには、急激に変わった方が訴求効果はあるでしょうがね。

山之内 本機の場合は、視聴環境の相当細かい領域にまで踏み込んで分析を行い、その上で画作りに取り組んでいることが良く分かりました。設計チームにもその分野を専門としているメンバーが加わっていると聞いています。

松山 この機能の先鞭を付けたのは東芝だけではありません。ブラウン管時代からこの課題に取り組んできたメーカーももちろん存在します。ですが今回のREGZA<レグザ>に搭載された機能は、映像を構成する要素を複合的に絡めてコントロールしたことが非常に斬新なチャレンジだったと思います。これはまさにデジタル回路だからこそ出来たことでしょうね。そこに目を付けた東芝の発想は素晴らしいと思いますし、今後さらに複雑で高度な処理を行うための道筋も付けていると思います。

▲テレビを設置する部屋の照明を設定することにより、照明環境に応じた色温度調整が行える(各写真はクリックで拡大します)

▲「おまかせモード」のトップ画面。「お好み調整」「明るさ調整」「ヒストグラム表示」のメニューが揃う

▲視聴環境やソースをリアルタイム解析し、最適画質に調整する機能を備える