2005年秋に発売された初のOPSODIS搭載システム「ES-150」には、「OPSODIS THEATRE」の名が与えられていた。OPSODIS技術を前面に押し出した名前だ。実際、ES-150はOPSODIS技術を世に紹介するための製品という意味合いも大きかったそうである。

一方、OPSODIS搭載システム第二弾「ES7001」には新たに、「映画+空間」からの造語「CINEMARIUM(シネマリウム)」の名が与えられた。設置しやすいワンボディシステムで価格も抑えられており、このES7001こそが、マランツのフロントサラウンド本格参入製品と言ってよいだろう。その意気込み、意図は様々なところから感じ取れる。

システム全体を収めるキャビネットはスリムで、過度に主張しないデザインだ。横幅は42インチのサイドスピーカー型、または50インチのアンダースピーカー型テレビとほぼ同等。

アルミ押し出し材による頑強さも特徴だ。もちろん、音質を考慮してのことだろう。内部は左右のウーファー部分を独立させた構造となっている。そのウーファーは120mm径を確保。システム単体での低域再生にも期待が持てる。

CINEMARIUMの設置イメージ。薄型テレビとデザイン的なマッチングが図られている 筐体のサイドはピアノフィニッシュ。高級感を演出している

そして各ユニットは専用のデジタルアンプを持ち、相互干渉を低減すると共に、入力から出力までのフルデジタル処理で音声信号の劣化を抑える。

入出力端子の豊富さも評価できる。入力は、Ver.1.1対応のHDMIが2系統、光デジタルが3系統、アナログステレオが2系統。HDMIは出力も1系統用意されており、映像のスルー接続も可能だ。

背面の左側にHDMI入力端子を2系統装備する 背面右側には光デジタルやアナログステレオなどの端子類を備える

サブウーファー出力もあり、CINEMARIUM ES7001に合わせたコンパクトなサブウーファー「SW7001」も用意されている。前述のようにシステム単体での低域再生能力も期待できるが、それ以上を求めることもできるわけだ。トリガー端子によって電源も連動する。

連動と言えば、同社のiPodドック「IS201」との連動も万全。ES7001のリモコンでもiPodを操作できる。iPod本体のホイールの代わりにリモコンのカーソルキー上下を使うと理解しておけば、操作に迷うことはないだろう。

サブウーファーの背面にはACアウトレットを3系統装備。コンポ2台とES7001の電源をまとめて供給できる マランツのiPodドック「IS201」との連動も可能。iPodはES7001のリモコンで操作できる

設置性は当然よい。ワンボディなのでスピーカー接続などは不要だし、DVDプレーヤーやテレビとの接続はHDMIで済む。

ただ本体の設置にはテレビの下にスペースが必要なので、あらかじめ確保しておかねばならない。ワンボディシステム共通の悩みどころだ。

そこで用意されたのが対応ラック「RM7001」である。上段にES7001、下段中央にSW7001、下段左右にフルサイズコンポを収納できるように設計されており、収納効率も見た目も実によい。あるいは壁取り付けキット「MT7001」でテレビの上方に設置することも可能だ。

ES7001対応AVラック「RM7001」。上段にES7001、下段中央にSW7001、下段左右にフルサイズコンポを収納できる サブウーファー「SW7001」。RM7001の下段中央に設置するとすっきり収納できる

設置後の設定も簡単。ES7001をテレビの上に置いたか下に置いたかの選択、ES7001と視聴位置の距離を3段階から選択、サラウンド効果が十分に発揮される視聴範囲の広さを1P/2P(後者が広い)から選択。この3つだけである。

視聴距離や範囲は本体中央の表示部で確認できる

自動音場補正の類いはないが、周囲の環境に影響されないという特性からして必要がない、前述のシンプルな設定のみで十分という自信から来るものだろう。