付属カートリッジ違いの4バリエーション

Rega、新レコードプレーヤー「Planar 8」。航空宇宙産業用素材などで性能強化

公開日 2018/11/22 09:00 編集部:小野佳希
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完実電気は、同社が取り扱うRegaより、アナログプレーヤー新モデル「Planar 8」を12月中旬に発売する。付属カートリッジ違いの3種類とカートリッジなしの合計4バリエーションをラインナップしており、価格は下記の通り。

・「Planar 8-Black」(カートリッジなし)¥330,000/税抜
・「Planar 8-Black with Exact」(MMカートリッジ)¥350,000/税抜
・「Planar 8-Black with Ania」(MCカートリッジ)¥380,000/税抜
・「Planar 8-Black with Apheta 2」(MCカートリッジ)¥440,000/税抜

Planar 8

ミッドハイクラスモデル「PR8」の後継機にあたり、キャビネットに航空宇宙産業用に開発された、軽さと硬さを併せ持つ「tancast8 ポリウレタンフォーム」を初採用。RP8/10のスケルトンデザインもキャビネットデザインの改良などによって30%以上の軽量化を実現させるなど、さらに進化させている。

異種合金でつくられた2枚のプレートを天面と底面に加えた「デュアルブレイシング・テクノロジー」を採用。これにより、アームベースとプラッターの軸上、その2点を結ぶエリアに剛性向上と優れたバランス配分を実現したとしている。

加えて、プレートの形状を見直したことでさらに軽く高精度なベアリングの採用が可能となり、不要なエネルギーの発生を抑えることに成功したともしている。

デュアルブレイシング・テクノロジーについては、天面にはマグネシウムで形成されたプレート、底面に独自配合でつくられたフェノール材のプレートと、いずれも軽くて剛性の高い異種合金を採用。底面のフェノール材が3mmと厚さがましたことによって剛性アップにも貢献しているという。

3層構造のカスタム・グラスプラッターを引き続き採用。ピルキントングラスをカスタマイズしたガラスプラッターを開発して採用している。ロンドンにあるグラス加工ブランドとの共同開発によって、表面が“完全に平ら”でバランスのよいガラスプラッターの開発に成功したのだという。

Planar 8

そして、慣性モーメントと剛性を維持しながらプラッターを動作させるため、「Super flywheel構造」を採用。ガラスプラッターには従来のスモークタイプ(2層)とオプティホワイト(1層)を採用しており、デザイン面にも貢献しているとアピールしている。

そのほか、アルミダイキャスト製のサブプラッターを新規採用。これにより、なめらかでバランスがよく、ベアリングに不要な負担をかけない構造を実現したとしている。

モーターには、Rega創立者のひとりであるRoy Gandyのプライベートプロジェクト「Naiadaシリーズ」で開発されたテクノロジーをPlanarシリーズに初採用。モーターへの電圧供給と振動対策を強化し、回転制御がより向上しているという。

またベルトも新規開発。原材料から見直しをかけ、ゴムを原料とした別注品の化学系素材を使い、さらに切れにくく、なめらかで、たるみにくい形状を開発したという。「トルクに優れ、ワウ・フラッターの改善にも大きな効果のあるこのベルトこそ、Perfectと呼ぶにふさわしいターンテーブル用ベルトだ」とアピールしている。

電源ユニットも一新。ジェネレーター機能を搭載する「Neo PSU」を採用し、DSPによって“ほぼ完全な”波形を生成し、Planar8本体に供給できるようになったとしている。これにより、回転ムラだけでなく鳴りを抑えることもでき、不要な振動がプラッターやキャビネットに伝わらないようにしている。なお、出荷前に1台ごとに調整して出荷するため、開梱後にユーザーが調整する必要はない。

トーンアームには、RB880を搭載。0.001mmの精度の中で動作するベアリングをはじめ、それを支える正確なアッセンブルと高い硬度を誇るアルミとステンレスを巧みに組み合わせることで、 剛性と柔軟性に優れたアームの開発に成功したとアピールしている。

トーンアームにRB880を搭載

また、アームのパイプを一層スリムにすることで、アームに求められる柔軟性や、対応力の向上を図った。カウンターウェイトも新規で開発されており、異種合金で造ることによって、振動を分散させるだけなく、ウェイトそのものも小さくなっている。

加えて、フォノケーブルも新規開発。ターミナルの接続性も改善したとのことで、接点でのロス等が発生しないような設計にしたという。

MCカートリッジ「Apheta 2」は、出力特性に優れたネオジウムマグネットを採用。180,000円(税抜)での単品販売も行なう。

カートリッジのコイルを独自の方法で手巻きすることにより、オリジナル「Apheta」の半分の本体サイズを実現。ダウンサイズ化することにより、トラッキング性能を向上させている。また、オーディオ特性に優れたワイヤーも自社で開発したとのことで、「ネオジウムマグネットとの採用と相まって、極めてクリアな高域と締まった低域の再生の実現した」としている。

本体はアルミで一体成型されており、CADでデザインされたクリアーカバーによってコイル、ワイヤーを保護。高解像度カメラを生産工程に導入し、コイルの巻き等に不必要な緩みがないよう生産管理体制を行っている。

また、ゴムの経年変化による音質変化を避けるため、ゴムを使ったスティールサスペンションを敢えて使っていない。マグネシウムと軽量化と手巻きのワイヤーにより、軽量化とダンピング特性を向上させ、経年変化の少ない特性を実現したとしている。

針圧は1.75-2.00gで、出力抵抗が10ohm、出力電圧は350μV、チャンネルバランスが≧20μV、セパレーションが≧−29dB、高さが16mm。

MCカートリッジ「Ania」は、上記Apheta2やAphelionなど上位機種の音質と機構、テクノロジーを受け継ぎながらコストダウンを実現したというモデル。単品販売の価格は85,000円(税抜)。ダンパーの代わりに、独自の楕円状の軸を採用したカンチレバーとそれを支えるネオジウムマグネットを開発し組み合わせている。

カートリッジ本体は、成形の精度±0%を目指して設計されており、上位機のApelionやAphetaと同じレベルの精度での生産を実現。カートリッジ内にパーツを無駄なく配置し、ホールピースのサイズやマグネットのサイズの精度を極限まで高めているという。

本体には、Polymerとグラスの混合素材であるPPS-Fortonを採用し、アルミ削り出し同様の剛性と金型成形時の安定性と高い精度を実現したとのこと。これによって大幅なコストダウンを図りながらも、Apheta2とほぼ同等のスペックを達成したとしている。

針圧は1.75gで、出力抵抗は100ohm、出力電圧が350mμV、チャンネルバランスが≧20μV、セパレーションは≧−29dB、高さが18mm。

MMカートリッジ「Exact」は、針と本体部の間にあるジョイント部で発生する音楽信号のエネルギーロスを防ぐために一体成型ボディーを採用。天面は完全にフラットで成形されており、アーム、ヘッドシェルに隙間なくフィットするとしている。単品販売価格は46,000円(税抜)。

ワイヤリングを独自設計し、従来より30%以上短くすることに成功。これにより、より軽量で能率の高いカートリッジになったとアピールしている。加えて、ワイヤレイン具はExact用に特別開発した治具によって左右のチャンネルをそれぞれに巻き、出荷時に左右の出力差を±0.1mvまで調整している。

針圧は1.75gで、出力抵抗が47kohm、出力電圧が6.8-7.2mμV、高さは13mm。

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