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スピーカーベース型のユニークなアンプも

<HIGH END>DIGIBIT、新世代CPU搭載のミュージックサーバー上位機「aria 2」

AUDIO DIVISION 浅田陽介
2016年05月08日
現地時間5月5日からドイツ・ミュンヘンにて開催中の「Munich HIGH END 2016」。毎年多くの新製品が登場する同ショウだが、例年にもまして製品数が増えているのが、レコード再生関連機器と内部にOSを搭載したオーディオ再生機・ミュージックサーバー型の製品だ。とりわけ、デジタルの分野におけるミュージックサーバーの台頭には目を見張るものがある。

そんなミュージックサーバーのなかでも、いち早く世界的な注目を集めたのが、スペインのDIGIBIT(デジビット)が発売する「aria」を始めとした一連のミュージックサーバーである。

デジビットを牽引するJuan Jose Perez氏。今回の一連の新製品についてもPerez氏のユニークなアイデアが盛り込まれている

この春には日本でも同社の新世代CPUボードを搭載した「aria piccolo」が発表され、大きな話題を呼んでいるが、Munich HIGH ENDでは最新世代の技術を投入したトップエンド機「aria 2」とスピーカーベース型のユニークなアンプ「Wamp」を発表した。

●aria 2(2016年7月本国発売予定、4,170ユーロ)

Windows Serverを採用したフラッグシップモデルとして発売されたariaを大きくブラッシュアップさせた、デジビットの新たなフラッグシップ・ミュージックサーバー。

同社の新世代の技術を盛り込んだフラッグシップ機「aria 2」

aria 2となっての最大の変更点は、CPUボードがインテルのCeleronに変更となったことで、RAMも4GBとアップグレード。従来のariaは世界的にも貴重なマルチチャンネルでのDSD再生に対応した機器だったが、そうした大容量ファイルの再生時にかかる負荷にも十分に耐えうる仕様を確保した。

また、標準仕様に搭載されるHDDそのものも変更となっており、HDDとSSDをハイブリッドさせた構造を持つSSHDを搭載。容量も4TBと拡大され、ミュージックサーバー型の製品の求められる大容量の確保と共にサウンド的な意味での向上も果たしているという。また、各種回路をマウントする基板も今回は1枚にまとめ、内部配線を極限までなくしてショートシグナルパスを実現した点も注目したいポイントだ。

電源は標準仕様ではスイッチング電源を採用しているが、aria2の発表に伴い専用の強化電源となる「aria LPSU」を発表。リニア電源による駆動を実現したことで、よりS/Nに優れたパワフルな駆動を実現する。ミュージックサーバー型の製品は電源環境のマネジメントが難しい製品ジャンルとなるが、aria LPSUを用意したことでより安定した電源環境を確保した格好だ。

通常はスイッチ電源による駆動となるが、オプションで用意される専用強化電源「aria LPSU」を使用するとリニア電源での安定した駆動が可能となる

対応するサンプルレートについては、最大でPCM382kHz/32bitとDSD11.2MHzをサポート。従来機のariaと同様、内蔵のDAコンバーターがオプションとして用意されるが、aria2ではこの内蔵DACでもDSD11.2MHz再生が可能となるなど、対応サンプルレートの面でも変更が加えられている。デジタル出力端子もRCA同軸に加え、AES/EBU、そしてマルチチャンネル出力としてAVアンプ等に接続可能となるHDMI端子も用意された。

aria2には新たにHDMI端子も追加。AVアンプ等を組み合わせてのマルチチャンネル再生にも対応する

このほか、ひと目では従来機と同様に見える筐体にも変更が加えられており、トップパネルを6mm厚のアルミボードと変更し剛性を強化。サンプルレート等が表示されるディスプレイも大型化されるなど、細部にわたるアップグレードが行われているのも特徴だ。

専用で用意されたコントロールアプリ「iaria」についても、最新のバージョンではリッピングフォーマットの変更や外部HDDやNASへの保存の対応、GoogleCastAudioへの対応など機能拡張を実施。かつてCDプレーヤー等とは違い、ネットワークの知識を必要とするネットワークオーディオに対してハードルが高いと感じるユーザーが多いことは、日本のみならず世界的な課題となっていた。

ariaは「PCを用いることなく、音楽再生において必要なことを全て完結させることができる次世代の再生機」として世界的な注目を集めた製品だが、今回のアップデートによりハイレゾ再生を始めとした新しいデジタルオーディオの世界をより快適にユーザーへ届けることを可能としたといえそうだ。

●wamp(2016年7月本国発売予定、1,660ユーロ)

もうひとつ、デジビットのブースで注目を集めていたのが、スピーカーベースと一体型となったネットワーク再生機能対応モノラルアンプ「wamp」である。

スピーカーベース型ネットワーク再生対応アンプ「wamp」

wampという製品名の由来は「Wireless Amp」という言葉で、その名のとおりWi-FiモジュールとDAC機能、パワーアンプ機能を一体化。天板にスピーカーを直接置くというユニークなアイデアを採用しており、これによりミニマムなセッティングによるオーディオスタイルを構築することができる。

wampのデモの様子。天板の上にそのままスピーカーを置くセッティングとなる

wampはariaシリーズとは異なり内蔵ストレージは持たず、あくまで外部NAS等からのストリーミング再生を行う。再生に対応するサンプルレートはWi-Fi接続時/ETHERNET接続時も同様で192kHz/24bit。良い音で音楽を聴くというスタイルをよりシンプルに、かつ便利に楽しむための機器として開発されたとみてよさそうだ。

アンプ回路はクラスDを採用しており、出力も250W(4Ω)と十分なスペックを確保。次世代のデジタル再生を志向するデジビットだからこそのアイデアを盛り込んだアンプということができるだろう。

なお、本機とペアとなる「wamp streamer」(価格未定)というモデルの登場もアナウンス。wampと組み合わせることで、最大6部屋までのマルチルーム再生に対応するほか、SpotifiやTIDALなどの主要なストリーミングサービスにも対応しており、それらを最大で192kHz/24bitへアップコンバートする機能が実装される予定とのことだ。

昨今のデジタルオーディオは、オーディオ的なアプローチとIT的なアプローチの双方が必要とされる時代へとなりつつあるが、デジビットが発表する一連の製品群は新しいハイファイオーディオのスタイルとして注目を集めている。いずれも日本での発売はまだ未定とのことだが、発売前からその動向に注目したい製品といえるだろう。

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