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公開日 2012/06/25 13:45

【海上忍のAV注目キーワード辞典】第3回:クラウド − クラウドで音楽/動画配信はどう変わる?

完全クラウドのハイレゾネットオーディオも?
海上 忍
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【第3回:クラウド】

最近耳にする機会が増えた「クラウド」。利用される場面はITにとどまらず、テレビなどAV機器にもクラウドの機能を利用したものが登場している。今回は、クラウドという言葉の意味と、AV機器における役割について解説してみよう。

■そもそも「クラウド」とは

まず、「クラウド」という言葉ほど曖昧模糊としたAVキーワードは存在しない。それは、このキーワードが登場したITの分野でも同じことだ。

端的にいえば、「クラウド」とはインターネット上のどこかに設置されたコンピュータ(サーバー)、あるいはコンピュータプログラムであり、他のコンピュータ(クライアント)からなんらかの処理を指示される存在のこと。どのような処理を行うかはプログラム次第、写真の管理でも表計算でも、インターネットに接続できる環境さえあれば理論的には可能だ。

つまり「クラウド」とは、『インターネットの向こう側にあってなにか処理してくれるもの』、ということになる。クラウドは「雲」であり視界をさえぎるものだが、どうやって発生したかを知る必要はなく、ただ太陽を遮ったり雨を降らせたりする存在だと知っていれば十分だ。詳しい仕組みを知らなくてもなにかしてくれるインターネット上のとある機能、それがクラウドだといえる。

■AV機器におけるクラウドサービス

ここで目線をAV機器に移してみよう。ここ数年、ネットワーク対応のテレビやビデオレコーダーが急増しているが、その実体はコンピュータだ。パソコンのものほど処理性能は高くないが、各種演算や描画処理をこなせるし、ウェブページ閲覧機能を備えたものも少なくない。

クラウド的機能も急速に普及しはじめた。写真や動画をインターネット上に送信し、友人・知人が見られるようにする機能があるが、あれはクラウド上に存在するサービスだ。たとえば、写真共有サービスの「Picasa」、無料で動画を閲覧できる「YouTube」、1ヶ月定額で映画やドラマを楽しめる「Hulu」。いずれのサービスも、手元のAV機器で動作しているのは比較的小さなクライアントソフトであり、写真や動画を処理するプログラムの心臓部分はインターネット上のどこか、すなわち「クラウド」にある。

YouTubeやPicasa、Huluといったクラウドベースのサービスを利用できるテレビが急増している(写真は各種VODサービスにも対応した東芝“REGZA”「50G5」)

Huluを例に説明してみよう。Huluの動画はVIERAやBRAVIAといったテレビから直接視聴できるが、それはHuluの通信プログラム(クライアント)がテレビに仕込まれて(インストールされて)いるから。PS3やXboxなどのゲームコンソール、iPhoneやAndroid端末などのスマートフォン/タブレットで視聴できるのも、その機種用の通信プログラムが「アプリ」として提供されているからだ。

Huluでは視聴履歴がクラウド上に保管されるため、テレビの続きをスマートフォンで、といった楽しみ方ができる(画面はiPhone版アプリ)

そしてそれらプログラムは、インターネット上のどこかにあるサーバと通信し、指定された動画をストリーミングとして受信する。Huluの本質である膨大な動画と、その動画を配信する仕組みはインターネット上のどこにあるかわからない、ユーザもそれを知る必要はない、という典型的なクラウドサービスなのだ。

■今後の可能性 − 完全クラウドのハイレゾネットオーディオも?

インターネットに接続するAV機器は、いまや珍しくなくなったどころか、今後はインターネットへの接続を大前提としたものが増えるに違いない。

可能性として高いのは、クラウドをデータ保管庫代わりに使う機能の採用だ。たとえばオーディオファイルであれば(ロスレスコーデックで符号化されたハイレゾ音源であっても)データ量はたかが知れているため、クラウド上に保存しても問題ない。

オーディオファイルがクラウド上にあれば、移動中にスマートフォンで取り出して聴くなど楽しみ方が増えるだけでなく、サウンドライブラリのディスク容量を気にする必要がなくなる。オプションでクラウド上のディスク容量を拡張できるネットオーディオが出現しても不思議はない。

すでにパソコン向けには、クラウドを活用したオーディオファイル保管サービスがいくつも存在する(画面は「AudioGalaxy」)

動画の場合データ量が巨大になるため、クラウド上に(デジタルビデオカメラで撮影した)動画を保存しようという動きは現在のところ考えにくいが、より帯域が広い回線が普及すれば事態は変わる。そうなる頃には、このような仕組みが当たり前となり、「クラウド」という言葉自体廃れている可能性もあるだろう。

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