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公開日 2023/04/04 06:35

新世代へ飛躍を遂げたAETフラグシップ電源ケーブル「EVIDENCE NI AC S」。聴けば欲しくなる強烈なハイファイ性能

【特別企画】オーディオアクセサリー銘機賞2023 <グランプリ>受賞モデル
炭山アキラ
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AETのフラグシップクラス「EVIDENCEシリーズ」に、電源ケーブル「EVIDENCE NI AC S」が加わった。導体から構造、使用される全てが見直され、新たに「NIインシュレーションロッド」や第二世代へと進化した電磁波防止カプラーを採用するなど、ノイズ対策も万全となっている。オーディオアクセサリー銘機賞2023で「グランプリ」を受賞した本モデルを、炭山アキラ氏が解説する。

AET 電源ケーブル「EVIDENCE NI AC S」(462,000円/1.2m/以下税込)

おなじみのPVC導体を採用しながら、構造やパーツ、シールドを再検討



AETには、ビギナーでも気軽に入手できるEVOから、世界の最高峰を競わんとするEVIDENCEまで、数多くの製品シリーズが存在する。このたびは、旗艦EVIDENCEの電源ケーブルが、新たな世代へと飛躍を遂げた。

アースケーブルなど、ごく一部に特殊合金やDF-OFCを用いているほかは、同社のケーブルはEVOからEVIDENCEまで、一貫して鉱石から精錬されたばかりの銅を高純度に精製したプレミアム・ヴァージン・カッパー(PVC)導体を採用している。本作のPVC導体の断面積は6.0スケアと極めて太い。

絶縁体/シースとも同社にとって使い慣れた非鉛難燃耐熱素材を採用し、高周波対応のアルミリボンで厳密なシールドを施しているのも見逃せない。芯線は2芯構成だが、今作で新たに採用されたハイ・セパレーション構造が、表現力の向上へ大いに資するものであるという。

プラグと端子は同社オリジナルの最新世代で、コンセント側は「PSE-GR」を採用、AET電源プラグのキーパーツというべきハウジングのクランパーは、がっちり頑丈で精密なものとなっている。さらに電磁波に対する耐性を高めた特殊品も採用されている。

高級ケーブルはどんな振動対策が行われているかが、大きく音質を左右するポイントとなる。昨今の中級より上のケーブルには、かなりの確率でかけられている外装の網スリーブも、ある種の振動対策だし、ケーブルの中間部に金属や木質の制振材を配する社も多く見受けられる。

ところがAETは、近年いろいろなところで大きく活躍している帯電防止素材を棒状に成型し、ケーブル内部の構成素材とした。それにより帯電防止だけでなく、高度な振動の抑制材としても働いているという。また、素子を使って導体の抵抗値を極限まで下げ、大幅な高音質を得るアコースティック・コンディショナーはさらに改良が進んだ新世代版を搭載している。

「自社の旗艦をモデルチェンジするというのはこういうことだ!」という、同社・小原 薫代表の気概が見えてくる、何もかもが新しい製品である。

オーディオアクセサリー銘機賞で「特別賞」を受賞したAETのノイズイジェクター「EVO-NE0510シリーズ」(13,200円/RCA・Yラグタイプ、14,300円/XLRオス・XLRメスタイプ)

聴けば欲しくなる強烈な存在感。演奏の音質を大迫力で表現する



自宅リファレンス装置で聴く。普段はディスクプレーヤーで聴くことが多いが、極太芯線ゆえパワーアンプへ繋ぐ。クラシックはオケの編成が一気に増大し、弦は大編成でも軽やかで、金管楽器は輝かしく、しかし耳へ一切障らない。グランカッサはグッと締まり、ステージの材質が見えてくるような再現に凄みを感じさせる。音場は広く、広大なホールの壁の形まで見えるような再現を聴かせる。

アコースティックなジャズはドラムスがグッと前へ出て、まるで目の前で奏者が叩いているとしか思えないような、強烈なハイファイを聴かせる。ウッドベースは一転、落ち着いた質感を表現し、しかし音像は実物よりも大きいのではないかという大迫力の定位を聴かせる。普段聴いているバランスとかなり違うことに驚くが、おそらくこれが正しいバランスなのであろう。全体に音は太めだが、それで切れ味や解像度が鈍らないのはさすがというべきところで、おそらく本質的な楽器や演奏者の存在感を描き出しているということなのであろう。

一方、フュージョン系では分厚くコクたっぷりの表現が耳に快い。ドラムスとエレキベースの低音は腹へ響き、さまざまなパーカッションが中空に漂い、あるいは空間を切り裂く。声も濃い口だが、こちらは非常にピシリと定位が決まる。音量を下げても各楽器の存在感がさほど下がらないのが、また大きな美点だ。

ポップスは歌姫がどこかコケティッシュに表現されるのが面白い。ややキツめの音源でも音量を上げてガンガン聴ける。これは、全体の歪み率が大幅に下がったからであろう。声の伸びやかさ、抜けの良さはまさに一流、なかなか聴くことのないレベルである。大編成の伴奏をもつれさせることなく、きっちりと分解して聴かせる能力も大したもので、整然としたステージでバックメンバーが大騒ぎを繰り広げているさまが見えてくるのが楽しい。まったく、とてつもない能力のケーブルである。

今作は2.0mもので約50万円だから、もちろん決して簡単に購入できる製品ではない。しかしそれだけの、いやそれ以上の価値があることは保証できる。単独のテストレポートゆえに結構な長時間を聴いたが、こういうケーブルは本来あまり長くは聴きたくない。欲しくなってしまうからである。


本記事は『季刊・オーディオアクセサリー187号』からの転載です。

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