公開日 2014/07/24 12:32

パイオニア初HPアンプ内蔵USB-DAC「U-05」×人気ヘッドホンスクランブルテスト!

ゼンハイザー/SHURE/ベイヤーダイナミックの人気機種と組み合わせ

ジッターの影響を極限まで排除できる
ユニークな「ロックレンジアジャスト」機能


さらに機能面で最も大きなトピックが「ロックレンジアジャスト」機能である。開発陣も“どうしても入れたかった機能”と語っており、これまで他社製品を含めて実装されたことのない、U-05の個性を決定づける特徴的な機構といえるだろう。

端的にいえばデジタル信号がクロックと同期するために設けられた許容幅を絞り込むことで、クロックに介在するジッターの影響も排除できるという機能であり、4段階絞り込むことができる。むろん、許容幅を狭めることでロックは外れやすくなるが、この4段階の絞り込みは同期が外れない程度の範囲としているそうだ。

他社製品にはないユニークな「ロックレンジアジャスト」機能を搭載。最大7段階まで絞り込める。

そしてこれよりも3段階深く絞り込める上級者向けモードも用意されており、ロックが外れるギリギリまでサウンドを追い込むことが可能である。このギリギリの範囲も、レゾリューションや楽曲によって異なるため、基本的に曲単位で合わせこむ必要がある。さらに高いサンプリング周波数になるほどロック幅は狭くなるので、深く追い込むとロックが外れやすい。上級者モードでは追い込んで音が途切れ始めるポイントが限界点である。その場合は途切れはじめる一つ手前までロック幅を戻すことでギリギリの攻めどころとなるのだ。

この“音が途切れはじめる”ことを指標にしたモードは、通常メーカーでは安全のためやユーザーの不要な心配を避けるため、企画段階でNGとなることがほとんどである。しかし、今回この機能性で得られる音質改善効果の高さをどうしてもユーザーに味わってもらいたいと望む開発陣の熱意が認められ、実装されることになった。

当初の仕様では上級者モードと同じ7段階のロック幅を持たせていたが、ライトユーザーを戸惑わせないよう、初期設定では音が途切れる前の状態で効果を確かめられる4段階のロック幅とし、別途上級者モードが設けられることになったそうだ。

USB-DACのようにクロックを内蔵する精度の高いデジタル機器であれば問題にならない範疇であっても、PCや低価格なポータブル機器の光デジタル出力は精度の問題や時間軸の揺らぎなどからくるジッターを多く含んでおり、ロックの許容幅を大きく取らないと同期できない場合もある。一般的にこうしたチープな環境に揃えて許容幅をとっているため、普段は気にすることはなくとも実際にレンジ幅を調整することで音の粒立ちや純度、S/N、音場の奥行き、フォーカス感が大きく改善されてゆく。ジッターが及ぼす影響を体感できる興味深い機能とも言えるだろう。


加えて、音質変化を楽しめる豊富な機能性として挙げられるオーディオスケーラーも注目の機能である。同社のAVアンプやN-50に導入され好評を得ている独自のビット拡張技術「Hi-bit 32 Processing」や、最高384kHzまでアップスケーリングできるUp Sampling機能が用意されており、ロックレンジアジャスト機能との併用も可能だ。

なおこのオーディオスケーラーの処理を行うDSPをバイパスし、より純度、S/Nの高いサウンド再生を行う「ダイレクトモード」も用意されている。ダイレクトモードはAES/EBUや同軸・光S/PDIFデジタル入力を使用する際、USB系の回路をシャットアウトし、ノイズの流入を防ぐので、USB入力以外のデジタルソースもS/Nに優れた高純度かつ鮮やかなサウンドとして楽しむことができるだろう。


次ページ続いて筐体やアナログ回路をチェック

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