公開日 2022/05/10 13:57

遠心力で人工衛星を宇宙へ飛ばすSpinLaunch、「打ち上げられた側」視点の映像を公開【Gadget Gate】

最終的には3倍の大きさになる予定
Munenori Taniguchi
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
宇宙に人や人工物を送り出すには、現状ではロケットを使うのが一般的だ。しかし宇宙ロケットは昔から燃料を燃やすことで推進力を得るため、複雑な設計が必要になるうえ、コストもかかる。

Image: SpinLaunch(YouTube)

そこでSpinLaunchは、ペイロード(積載物)を収めたカプセルを遠心加速器で回転させ、十分な速度がついたところでリリース、はるか上空へと放り投げるシステム「Suborbital Accelerator」を開発している。

このシステムは動力に電気を使用するため、燃料を使用するロケットに比べ、運用にかかるコストは非常に低い。そして、1日に数回の打ち上げをこなすせることもメリットであるとSpinLaunchは説明する。

これがカプセルを放り投げるアクセラレーター(写真はSpinLaunch公式サイトより)

2021年10月21日に行われた初の打ち上げ試験以来、この加速器は何度か打ち上げ試験を重ねてきた。そして4月22日に実施された最新の試験では、初めてカプセルにオンボードカメラが取り付けられた。

公開された映像は、アクセラレーターから射出された全長3mほどのカプセルが、どのように上昇していくのかを克明にとらえている。カプセルは約1,000mph(1,600km/h)で射出され、あっという間に地上を離れていく。またカプセル後端に取り付けられているフィンが、姿勢を安定させるため機体をきりもみ状に回転させているのがわかる。



SpinLaunchは、今回の打ち上げ試験を「大成功」と自画自賛している。最も重要なのは、カメラシステムが時速1,000マイルの速度に達する際に受ける強力なG(加速度)に耐えられるとわかったことだ。

宇宙空間とされる高度は、国際航空連盟(FAI)では高度100km以上、米空軍では80km以上と定義している。そのため、SpinLaunchのシステムを実用化するには、さらに強力な打ち上げシステムが必要になる。ただ、カメラによる映像記録が可能になったことで今後は打ち上げの様子が記録され、システムの開発や改善に役立てられるはずだ。

現在のアクセラレーターは、将来的なシステムの1/3ほどの大きさだとしており、最終的なシステムでは、重さ200kgを超えるロケットを5,000mph(約8,050km/h)で射出するようになる。そして打ち上げられたロケットは上空60km前後でエンジンに点火し、軌道到達に向けて再び加速する仕組みになることが計画されている。

Source: SpinLaunch(YouTube)
via: Interesting Enginieering, PetaPixel



※テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」を近日中にローンチ予定です。本稿は、そのプレバージョンの記事として掲載しています。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 オーディオ銘機賞「ベストバリュー大賞」受賞! DALIの技術と美学を凝縮した「KUPID」の実力に迫る
2 “スイング式”インシュレーターに薄型モデルが登場!セレニティ 静寂-Shijima-の「SWI-10」使いこなしレポート
3 トップクラスのながら聴きイヤホンにさらなる機能性がプラス!Shokz「OpenFit 2+」レビュー
4 <ポタフェス>SHANLING、水月雨監修のポータブルCDプレーヤー「Crossover」世界初公開/ONIX、超小型DAC「Tocata XM2」初展示
5 <ポタフェス>見た目も音もこだわった、HiBy Digitalの「初音ミク」コラボアイテム展示/FAudio「Major」に後継機か
6 大好きな車とバイクを眺める6畳空間に、4K/100型のホームシアターを実現
7 SHANLING、サブミニチュア真空管をデュアル搭載したポータブルDAC/アンプ「UA7」
8 Oriolus、落ち着いた音色と現代的な機能性を両立したBluetoothアンプ「1795MKII」
9 ピクセラ、テレビを見るとポイントが貯まるワイヤレスチューナー「ポイテレ」
10 <ポタフェス>オーディオテクニカ、フラグシップ機「ATH-ADX7000」「ATH-TWX9M2」を堪能
12/15 11:02 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX