公開日 2016/07/06 11:15
「小泉今日子」像はいかに確立されたのか? ハイレゾ化されたアルバム制作の舞台裏から探る
ハイレゾ化キーマンにインタビュー
昨年3月にスタートした小泉今日子の全シングル・ハイレゾ配信は、大きな反応を得たという。それを受け、小泉が50歳の誕生日を迎えた今年2月からは、彼女の全アルバムをハイレゾ化、配信がスタートしている。7月6日に第6弾として「KOIZUMI IN THE HOUSE」「Ballad Classics II」「N°17」の3作がリリースされるのを前にして、小泉の楽曲を長年プロデューサーとして支えてきた田村充義氏(現・株式会社田村制作所)、当時の担当エンジニアでありハイレゾ化の監修も行ったレコーディングエンジニア・高田英男氏、ハイレゾ・マスタリングを手がけたFLAIRの川崎 洋氏からお話をうかがった。
―― 田村さんは、3枚目のアルバム『Breezing』(1983年7月)の途中、シングルで言えば5枚目『真っ赤な女の子』から小泉今日子さんを担当されたそうですね。引き継がれたとき、前任者とはこういう違ったことをやってやろう、というようなことは考えていらっしゃったんですか?
田村 僕はそのときがアイドルを担当するのが初めてだったので、何も分からないものだからいろいろ考えたんですよ。でも、結局“自分の好きにやろう”ということになりましたね(笑)。分かんないことを考えてもしょうがないし。
―― なるほど(笑)
田村 当時はオリジナル・アルバムが年に2枚、企画アルバムが1〜2枚、シングルは年4枚出る時代でした。『Breezing』はもう半分ほど前任の先輩が作った曲が入っていたり、前任者から聞いていた事情とは違うことが起こっちゃったりもしたので、そこからどうしようかと考えました。
―― 既にあるものとどう折り合いをつけるかに苦労された、という感じですか。
田村 そうですね。『Breezing』は「Girl Side」と「Lady Side」に分けました。当時はLPレコードでのリリースだったので、A/B面があって、それぞれにコンセプトを分けるということができたんですよ。それぞれのコンセプトに従って曲を配置していって、足りない部分を足していった、という感じです。
当時の彼女はまだ歌い手としてのキャラクターも出来上がっていなくて、まだ手探りしていたんですね。やっぱり最初の頃は本人の歌のキャラをきっちり作るために何枚かアルバムが必要だったり、あとこの時期でいうと、ライブを同時並行で演るのにレパートリーが必要だったり、もっというと新しいトライアルをするための作品が入っていたり、『これはシングルじゃどうだろう?』というような曲が入っていたり。それをひとつにまとめなきゃいけないという感じでしたね。
なので何曲か作らなきゃいけなかったものですから、本人に『誰か好きなアーティストいる?』と聞いたら、『シャネルズ(現ラッツ&スター)が好き』というんで、早速曲をお願いして、2曲入っています(「だから抱きしめて」「ハッピー・バースデイ」)。それまでのアルバム制作ではそういうことはなかったらしくて、本人は『あ、こんなのやっていいんだ』と思ったとか。アルバムだと自分の意見も取り上げてくれるんだって。僕はそんなことも知らずに、ただやってただけなんですけどね。
―― 田村さんは、3枚目のアルバム『Breezing』(1983年7月)の途中、シングルで言えば5枚目『真っ赤な女の子』から小泉今日子さんを担当されたそうですね。引き継がれたとき、前任者とはこういう違ったことをやってやろう、というようなことは考えていらっしゃったんですか?
田村 僕はそのときがアイドルを担当するのが初めてだったので、何も分からないものだからいろいろ考えたんですよ。でも、結局“自分の好きにやろう”ということになりましたね(笑)。分かんないことを考えてもしょうがないし。
―― なるほど(笑)
田村 当時はオリジナル・アルバムが年に2枚、企画アルバムが1〜2枚、シングルは年4枚出る時代でした。『Breezing』はもう半分ほど前任の先輩が作った曲が入っていたり、前任者から聞いていた事情とは違うことが起こっちゃったりもしたので、そこからどうしようかと考えました。
―― 既にあるものとどう折り合いをつけるかに苦労された、という感じですか。
田村 そうですね。『Breezing』は「Girl Side」と「Lady Side」に分けました。当時はLPレコードでのリリースだったので、A/B面があって、それぞれにコンセプトを分けるということができたんですよ。それぞれのコンセプトに従って曲を配置していって、足りない部分を足していった、という感じです。
当時の彼女はまだ歌い手としてのキャラクターも出来上がっていなくて、まだ手探りしていたんですね。やっぱり最初の頃は本人の歌のキャラをきっちり作るために何枚かアルバムが必要だったり、あとこの時期でいうと、ライブを同時並行で演るのにレパートリーが必要だったり、もっというと新しいトライアルをするための作品が入っていたり、『これはシングルじゃどうだろう?』というような曲が入っていたり。それをひとつにまとめなきゃいけないという感じでしたね。
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