公開日 2010/06/29 14:29

7.1ch収録BDソフトが増える!? − 7.1chを簡単に制作できるプロ向けツールを提供するDTSの取り組み

プロオーディオ業界向けにNeural UpMixを発表
ファイル・ウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
dts Japanは先日、BD/DVDの制作現場であるポストプロダクション、ミキシング業界向けに、ステレオや5.1ch素材を最大7.1chまでアップミックスできるプラグインソフト「Neural UpMix」を発表した(関連ニュース)。

一見コンシューマーサイドには関係なさそうなトピックだが、このNeural UpMixの普及次第で7.1ch収録BDソフトのタイトル数が増えてくるかもしれない。来日したDTS, Inc. Sr. Product Specialist/Pro AudioのBrandon Gass氏にNeural UpMix発表の意図と可能性についてお話を伺った。

DTS, Inc. Sr. Product Specialist Pro Audio Brandon Gass氏


順調に普及するBDソフトだが7.1ch収録タイトルは僅か

BDソフトが国内で初めて発売されたのは今から4年前の2006年。以後少しずつ発売タイトルは増え、BDAは昨年11月にBDソフトの国内発売タイトルが1,500作品を越えたと発表した。(社)日本映像ソフト協会の最新データでは、2010年4月の国内におけるBDソフト売上枚数(セル/レンタル含む)は90万本。同月売上593万本のDVDと比べれば足元にも及ばないものの、前年同期比298.2%という驚異的な伸び率だ。

DVDで5.1chまでしか収録できなかったサラウンド音声はBDソフトの登場により最大7.1chまで収録できるようになったわけだが、ご承知の通り7.1chソフトの割合はまだまだ少ない。その背景には7.1ch音声制作の難しさがある。

古い映画作品などは素材がステレオでしか残っていないことがある上、7.1chのサウンドデザインのノウハウを持ったエンジニアの不足、国内では7.1chの制作環境が整っていないスタジオが多いといった問題もある。Gass氏は「BDソフトに収録する7.1ch音声はマルチチャンネルの素材とモニタリングできる環境さえあれば制作が可能だが、そのアップミックスの作業は職人的でエンジニアの経験や技量によるところが大きい」と7.1chソフト制作の難しさを指摘する。

「本来はオリジナルのマルチチャンネル素材から7.1chを制作してもらうのが理想」としならがらも、このような現状への対応策としてDTSが提案したのがNeural UpMixだ。このプラグインソフトの導入でオリジナル素材がなくてもステレオや5.1ch素材から最大7.1ch音声を作り出せるほか、エンジニアの耳と感覚に頼るしかなかったアップミックスの作業を簡単に行えるようにした。


Neural UpMixの操作画面

Pro ToolsのプラグインソフトとしてNeural UpMixは初めて7.1chまでのアップミックスに対応した
Neural UpMixは単体での発売予定はなく「現在のシステムの中で作業を完結させたいという要望が強い」ことからPro Tools、Nuendoの機能を拡張するプラグインソフトとして販売される。


7.1ch音声制作の敷居を下げるNeural UpMix

操作画面にはサウンドフィールドの広さや深さを調整するコントロールボタン「Width」「Depth」が用意されている。Gass氏は「5.1ch素材を7.1chにアップミックスする場合、5.1chのフロントからサイドへの移動のパンニング情報などを分析して、7.1chの場合の動きをソフトウェアが自動で解析するようになっている。またWidthボタンでL/R情報の両サイドへの振り分けを調整することもできる」と話す。


5.1ch→7.1chへのアップミックス画面
また「5.1chから7.1chへアップミックスした音声は、コンシューマー側の再生機が5.1chでしか再生できない場合にオリジナルの5.1chとバランスが若干変わってしまうという問題があったが、Neural UpMixではオリジナルのバランスを損なわずにダウンミックスされるようになっている」とその優位性をアピールする。


ステレオ→5.1chへのアップミックス画面
なおサラウンド音声をBDソフトに収録するまでには、アップミックスした素材をさらにエンコードする作業が必要。DTSが目指す最終的なゴールは、Neural UpMixで5.1chや7.1ch素材を作り、その素材を同社のエンコーディングソフトでDTS-HD Master Audioに変換。完成したDTS-HD MA収録のBDソフトをAVアンプやプレーヤーなどのDTS-HD MAデコーダーを搭載したコンシューマー製品で再生してもらうという流れをつくることだという。

昔の映画やアニメ、テレビシリーズなどがBD化されると知って喜び、スペックを確認したらステレオ音声しか収録していなくてガッカリした、という経験をされた方は多いはず。Neural UpMixの登場で5.1ch、7.1ch収録ソフトの数が増えれば我々オーディオビジュアルファンにとっても嬉しい話だ。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 Prime Video 8月新着作品、劇場版『TOKYO MER』や『99.9』など国内映画&ドラマが盛りだくさん
2 VGP審査員が激賞。PARADIGM「Founderシリーズ」は“初めてのハイエンドスピーカー”に最適!
3 テレビ番組にブロックノイズが…。犯人はテレビ本体じゃないかも?
4 Bowers & Wilkinsの名機「Px8 S2」と「Px7 S3」を名盤で聴く。「ワイヤレスヘッドホンの枠を超えた至上の音」
5 液晶テレビはソニーのRGB Mini LED搭載の新フラグシップ「K-65XR90M2」が初登場1位<ビジュアル&関連製品売れ筋ランキング6月>
6 「有機EL vs 液晶」論争再燃!? LGディスプレイ「Tandem WOLED」説明会で明かされたOLEDの強みと歩み
7 iFi audio、スティック型USB-DAC「GO link 2 Max」。デュアルDAC搭載/出力は4.4mmと3.5mmの2系統
8 REGZAのテレビ/プロジェクターも活用。東京シティービューの『薬屋のひとりごと』コラボイベントを一足先に体験
9 Constellation Audio、新アンプ「Inspiration Series 2」 「Performance Series 2」7機種。回路や構成の最適化で性能向上
10 B&W「800 D4シリーズ」国内入荷が9月末で終了。Signatureモデルも
8/3 11:28 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー 201号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.201
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
ケーブル大全2026
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.34 2026 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.34(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • AEX
  • AA AWARD
  • analog Grand Prix