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インタビュー

積極的に新領域のテレビ、スマートフォンへ参入

世界中のサムスン製テレビ全てにDTSデコーダーが搭載へ − 飛躍を遂げる韓国DTSキーパーソンにインタビュー

ファイル・ウェブ編集部
2010年05月12日

ホームシアターにおける高音質なデジタルサラウンド技術に定評のあるDTS社は近年、これまで培ってきた高音質技術を活用してあらゆる領域で最高品位の音質を提供する“ベスト・イン・クラス”というグローバルコンセプトのもと、PCや放送分野など積極的にビジネス領域の拡大を図ってきた。

今年2月に発表された韓国サムスン電子の薄型テレビ全機種にDTSデコーダーが搭載されるというトピックも“ベスト・イン・クラス”の取り組みの1つ。サムスンといえば2010年(1〜12月)の薄型テレビ販売計画を4,000万台と上方修正したばかりで、その全てに搭載されるという圧倒的なスケールのビジネスだ。さらにサムスンに続き、韓国LGエレクトロニクスの国内向けテレビ、韓国パンテックのスマートフォンにもDTSのデコーダーが搭載されることが決まっている。これらのプロジェクトを先導してきたのがDTS Korea Corporate Vice President,General ManagerのJea Yoo氏だ。来日中のYoo氏にDTS Koreaのビジネス展開についてお話を伺った。


DTS Korea Corporate Vice President,General Manager Jea Yoo氏

ーーテレビや携帯電話にDTSデコーダーが搭載されるのは今回が初めてのことですが、まずこの新しい製品ジャンルに進出することになったきっかけを教えてください。

DTSの軸となるビジネスはDVDソフトやホームシアターシステムなどの領域ですが、さらなるビジネス拡大を考えていました。携帯電話は若い世代が多く使用しユーザーの買い替え期間も短いので、新規参入分野として最適でした。またテレビは市場が大きく採用されればビジネス規模の拡大に繋がると考え、この2つの分野への参入を検討していました。

ーー世界中のサムスン製テレビに搭載されているのですか。

はい。サムスン製テレビは世界中で1,000機種以上発売されていますが、その全てに搭載されています。

ーーテレビ向けに新しいDTSロゴを作成したのでしょうか。

以前からあるデコーダー「dts 2.0 + Digital Out」(※)のロゴがテレビのフロントパネル部に配置されています。

(※)DTS Digital Surroudのデコーダーを搭載し、DTS信号のデジタル出力、デコード後のアナログ2ch出力(マルチチャンネルは、デコード後2chへダウンミックスされる)が可能な製品につくロゴ。


dts 2.0 + Digital Outのロゴ
ーーテレビにDTSデコーダーが搭載されることはユーザーにどのようなメリットがあるのでしょうか。

韓国ではMKVファイルのコンテンツがネット上に多く存在していて、PCからUSBで記録したMKVファイル・コンテンツを、そのままテレビに接続して視聴するというスタイルが定着しています。その中にはDTS音声の映画コンテンツなどもあり、テレビはどんなコンテンツでも再生できることが要求されますから、今回DTSデコーダーが搭載されることになりました。

日本ではアクトビラなどの独特なIPTVビジネスが発達しているので、将来的にIPTVチューナーにDTSデコーダーが内蔵されるような展開ができるよう、今後取り組んでいきたいと考えています。

ーーDTSデコーダーを搭載したテレビはもう発売されていますか。

サムスン製のテレビは今年2月から全世界で発売されています。LG製のテレビは5月からまず韓国で発売されます。LGは韓国モデルのほぼ全てがDTSデコーダー搭載となっており、今後欧州、北米モデルにも搭載されることを期待しています。


サムスンの3Dに対応したLEDバックライト液晶テレビ。全モデルにDTSデコーダーが搭載される
ーー日本でDTSというブランドは「ハイエンド」「プレミアム」というイメージですが、韓国におけるDTSのブランドイメージはどのようなものなのでしょう。

韓国でのブランドイメージは日本と同じですね。一般的にオーディオ製品にDTSロゴがついていると、その製品はハイエンドモデルだと認識されます。サムスンもLGも、自社製品にDTSロゴを搭載することでプレミアムブランドとしてのポジションを築いていきたいという狙いがあると思います。

ーーサムスン、LGはDTSデコーダー搭載という話題をどの程度プロモーションしていますか。

現在、彼らが自社製品の中で最も訴求したいのは3D技術ですので、DTSデコーダーを搭載したことについてどの程度プロモーションしていくのか、具体的なことはわかりません。しかし元々各社がDTSに興味を持っていたところから始まった話なので、今後何らかの形でプロモーションしていくのではないかと思っています。

ーー他テレビメーカーへの影響は何かありましたか。

ポジティブなリアクションがありました。世界のテレビ市場でシェアNO.1のメーカーであるサムスンが全モデルに搭載したということで、日本のメーカーが導入への感心を抱くきっかけになったのではないかと思います。

ーーテレビ以外にも、韓国の携帯電話メーカー、パンテック社のスマートフォンに今春からDTSデコーダーが搭載されるということが発表になりました。携帯電話ではDTSデコーダーはどのように使用されるのでしょうか。

携帯電話でもさきほどのテレビと同じように、MKVファイルのコンテンツのほか、PCのコンテンツを保存したSDメモリーカードなどを通してコンテンツを視聴する際に、DTSコーデックのコンテンツを再生できるようになりました。


パンテックのスマートフォン
ーースマートフォンは韓国でも人気がありますか。

韓国の携帯電話市場はスマートフォンがメインストリームであり、パンテック社は“SKYブランド”の端末を販売している主要メーカーです。DTSデコーダー搭載モデルは北米で販売されることが決まっています。以前auからパンテック社製の端末が発売されていたので、日本での販売については現在パンテック社が働きかけていると信じています。


DTS Koreaのオフィスの様子

Jea Yoo氏


各国にあるDTSオフィスともやりとりをする会議室

DTS Koreaのチーム
ーーこれらのテレビ、携帯電話への参入は、世界各地にあるDTS社の中でも特にDTS Koreaが中心になって行ってきたのですか。

我々が積極的に各社にアプローチしていたこともありますが、サムスン、LG側からDTSに興味を持って歩み寄ってきたという面もあります。そして今回の件で終わりではなく、世界でプロモートしていき、次のビジネスへと繋げていかなければなりません。

ーー最後にDTS Koreaの今後の展開を教えてください。

我々の軸であるBDプレーヤーなどホームシアター製品でDTS-HD Master Audio搭載モデルの数を増やしていくことが重要です。またテレビ、PC、iPadのようなポータブルデバイスなどの新しい分野にも参入していきたいと考えています。

ーー今後のさらなるご活躍に期待しています。ありがとうございました。

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