オーディオビジュアルファン的にも楽しめる!横浜に「null2n」(ヌルヌルネクサス)ミュージアムシアターが誕生
大人気のヌルヌルパビリオンが横浜に!
昨年開催された「EXPO2025大阪・関西万博」での話題のひとつが、落合陽一氏プロデュースのパビリオン「null2(ヌルヌル)」だった。
その世界観を継承・発展させた常設のミュージアムシアター「null2n(ヌルヌルネクサス)」が、2026年10月14日に横浜ランドマークタワー ランドマークプラザ5階にオープンする。それに先立って実施された特別内覧会に参加してきたので、その内容を紹介する。
オープンに先立って記念セレモニーが開催され、落合氏から「null2n」について説明が行われた。大阪・関西万博の「null2」は、その存在感もあって多くの注目を集め、期間中で約55万人の来場者があったという。しかしそれでも予約が取れなかった、体験できなかったという声も多く聞かれたそうだ。「null2n」は常設施設としてより多くの方にこの世界を知ってもらえるようになっている。
身体とは何かについて、体験的に理解できる場所
まず落合氏は、「大阪・関西万博のために作ったパビリオンを横浜ランドマークプラザという商業施設の中にもってくるということで、色々な苦労を乗り越えてチームと一緒に作ってきました」と話した。
落合氏によると、人類の祖先が道具を使い始めてから300万年ぐらいが経過している。しかし今はAIが発達し、人間は道具を自分で作るというフェイズから卒業しそうになっているという。有史以来初めて、道具を自分の手で作ることを卒業し、人間以外の設備が実際にそれを作るという状況に近づいているということだ。
そんな中で人間の考え方も、自然や動物との関係性、人と人のコミュニケーションも大きく変わっていくのではないかと落合氏は話す。そこから身体とは何か、人間が持っている記号とは何かといった問題について体験的に理解でき、かつ芸術的に感じられるような施設というのを作ろうというのが、「null2n」の大きな意味だそうだ。
そこでは、「n」=ネクサス(結びつき、関係性)という名前が示すように、人が集う、何かのハブになる場所になっていくといいと思って作ってあるという。さらに展示内容はソフトウェアで制御しているので、途中で演出を変えるとか、時期に合わせて内容が変わっていく可能性もあるそうだ。
「ここの会期は6か月ではなく通年ですので、多くの方にご体験いただけるんじゃないかと思っております」(落合氏)とのことだった。
いざ、6つの異なるエリアを体験
「null2n」は、ランドマークタワーの5Fで独特な雰囲気を放っている。大阪・関西万博でも話題になった、その名の通りヌルヌルした鏡面が入口にそびえ、不思議な重低音が響いてくるからだ。
そんな「null2n」は6つのエリアで構成されており、各エリアで10分前後、合計1時間ほどの体験となる。まずエントランスの先にある「皆空鏡門」と呼ばれる待機スペースでは、専用アプリのダウンロードが可能で、「null2n」の世界に入るための準備も楽しめる。
LEDディスプレイを使った、文字や光の映像演出に包まれる
「皆空鏡門」を通って「壱:さよならホモサピエンス」に入る。ここには前後左右すべての壁面にLEDが配置されており、文字や光を使った映像演出に包まれる。その中で自分の属性(記号)について問いかけられ、さらにそれらが分解されていく不思議な体験ができる。
全暗の無響室で、立体音響に浸る
続く「弐:無限界の夢」は、全暗の無響室で立体音響に浸るもの。目を開けていても隣の人の姿が見えないという、近年体験できない漆黒の世界で聴く音の存在感には、改めて感動する。ファイルウェブ読者諸氏はこのエリアを全集中して楽しんでもらいたい。
人が生み出してきた数々の発明を目にする
「参:質量への憧憬」では、左右の壁一面に人類が生み出してきた道具(発明)が並んでいる。木製の工具から電気製品、テレビやカセットテープなど、人の生活を大きく変化させたアイテムが揃っているが、中には既に使われなくなったものもあり、道具の進化について改めて考えさせられる展示でもあった。
記号の世界に、いってらっしゃい
次の「肆:潜在空間の夢」では、再びLEDの映像に包まれて、めくるめく体験をすることになる。潜在空間そのものを表現した映像を浴びた後、記号の世界に押し出される、というわけだ。
最後の「橋」は、通ってきた部屋を振り返りながら記号の世界(現実)に戻っていく、そのための空間になる。ここでゆっくり感情を整理してから外に出ることをおすすめする。
以上が「null2n」体験の流れになるが、これはあくまでも個人の感想。その受け取りは十人十色だし、落合氏の言葉にもあった通り展示内容は常に進化していくようなので、数回訪れてみる、あるいは別々に出かけた友人と感想を語り合ってみるといった楽しみ方もありだろう。
大阪・関西万博の10倍の計算機資産を投入
LEDディスプレイや立体音響といった最新技術をさり気なく使いこなし、デジタルメインの世界の中での人の在りようを考えさせてくれる。「null2n」はオーディオビジュアルファンなら、いっそう深い味わい方のできる展示になっていた。
ちなみに「null2n」では膨大な計算機資産が投入されているとかで、ここについて記者から問われた落合氏は、「大阪・関西万博の『null2』はワークステーション5台と細かいマシン10数台で動いていたんですが、今回は50台を突っ込んでいます。一番困ったのは電気容量です。50台のマシンを並列で動かすと、大抵の施設では電気容量が飛びます。さらに今回はLEDシアターが2つあるのでもうやばい。それを三菱地所さんががんばってなんとかできたっていうことです」と説明していた。
ヌルヌルの建物は、建築ではなく彫刻
もうひとつQ&Aセッションで印象的だったのは、建物の捉え方だった。
大阪・関西万博の「null2」は、可動式の外壁なども含めて唯一無二の存在だった。その点については、「建築と彫刻の違いだと思っています。建築というものはまっすぐ線があって、動かないものという前提です。しかし『null2』は動く彫刻という考え方が先にあるので、幕面があったら動くよね、動きが悪かったらアクションを変えるよねという発想です。
フレームは建築としてできているんだけど、枠構造としては可動式です。大阪・関西万博でも3月と6月では違う形をしていて、4月に行った人と9月に見た人で動きが違ったんです」(落合氏)とのことで、その発想が「null2n」にも活かされているのだろう。
なお横浜市で来年3月〜9月に開催される「GREEN×EXPO 2027」会場にも「null4(テトラヌル)」パビリオンが出展される。鏡の生命彫刻が回転しながら花や人、訪れた人たちを映し出すものという。落合氏も、「『null2n』と『null4』は補完し合う展示」と語っていた、こちらのパビリオンも期待大だ。
「null2n」(ヌルヌルネクサス)概要
・グランドオープン:2026年10月14日(水)
・住所:横浜ランドマークタワー ランドマークプラザ5階
神奈川県横浜市西区みなとみらい 2-2-1
・アクセス:みなとみらい駅(みなとみらい線)から徒歩約3分、桜木町駅(JR・市営地下鉄)から動く歩道を利用して徒歩約5分
・入場:完全日時指定/事前予約制
・チケット料金(税込):
[平日] 13歳以上 3,900円、4〜12歳 3,000円
[土日祝] 13歳以上 4,500円、4〜12歳 4,000円

