4K UHD BD『落下の王国』、世界各国の美景に“没入”する映画。精細で色鮮やかな4K盤で味わう
4K Ultra HD Blu-rayの注目タイトルをプロの評論家が画質と音質の評価チャート付きで紹介する連載企画。今回のタイトルは現在発売中の『落下の王国』。画質と音質の見どころを、大橋伸太郎氏が自宅のホームシアターで徹底的にチェックした。
『落下の王国』
STORY
映画創成期のロサンゼルス。鉄橋から落下する演技で半身不随となったスタントマンのロイは、恋人をスター男優に奪われ自殺を決意する。病院には果樹園での労働中に腕を骨折した5歳のインド系移民の少女アレクサンドラがいた。自由に動ける彼女を手なずければ、多量の睡眠薬を手に入れられる。ロイは、暴虐なスペイン総督への復讐に立ちあがる勇者たちの物語を思いつくまま語り聴かせる。ロイ、そしてアレクサンドラはいつしか物語のひとりになっていく…。
世界各国でロケした素晴らしい映像。4K/HDRで没入感が向上!
映画が見世物だった時代、落下(垂直運動)のスペクタクルは欠かせない要素だった。映画が声を得て人間ドラマを描くようになると姿を消してしまい、撮影カメラの進化も手伝って映像はパンやクローズアップばかりになる。重力は地球を支配する力なのに…。
本作には映像のモチーフとして「落下」がしばしば登場するが、テーマは「反逆」。俳優たちはスタジオを飛び出し、石岡瑛子のエキセントリックな衣装をまとい、世界24か国の奇景、絶景、13の歴史文化遺産の実景に身を置き、ロイが語り聞かせる物語の勇者を体技で演じる。CG合成全盛の現代映画の枠組みへの反逆といっていい。
4年をかけて世界各国でロケした映像は素晴しく、4K UHD BDでリリースされる価値は非常に大きい。世界情勢がきな臭くなった今日では不可能だろう。解像度と情報量が上がり、パンフォーカスで撮影したラジャスタンやイスタンブールの実景に深い奥行きと立体感が生まれている。「没入型」映画といっていい。
BT.2020の広色域の貢献も大きく、CH6の血の赤の鮮烈さ、CH13青い都市の不穏な佇まいが強い印象を残す。CH11舞踊シーンの揺れ動くクリスタルのきらめきにHDRの効果。病院のシーンは対比的に陰影豊かで静謐なアンバー調で好対照。
音声はDTS-HDを採用。Neural-Xにアップスケールして聴いたが、DTSらしい鮮鋭感と重量感が味わえる。大画面サラウンド再生環境をお持ちなら見逃す手はない、きらりと光る宝石のような作品である。
SPEC
●製作:2006年/米 ●ジャンル:洋画ファンタジー ●監督:ターセム ●出演:ロイ・ウォーカー、アレクサンドリア ●本編ディスク:120分、ビスタ、Dolby Vision ●本編音声:英語DTS-HD Master Audio 5.1ch、英語DTS-HD Master Audio 2.0ch、日本語吹替 DTS-HD Master Audio 5.1ch、オーディオコメンタリーDTS-HD Master Audio 2.0ch ●字幕:日本語、日本語吹替用、オーディオコメンタリー用 ●特典:劇場予告編(リマスター公開日本版) ●同梱のBD特典:ターセム監督インタビュー(初公開時)、衣装・石岡瑛子インタビュー、舞台挨拶(ターセム、石岡瑛子、ニコ・ソウルタナキス)、トークショー(ターセム、石岡瑛子、ニコ・ソウルタナキス)、イントロダクション、劇場予告編(リマスター公開日本版)、ドキュメンタリーNOSTALGIA、ドキュメンタリーWANDERLUST 、初公開時未公開シーン集、ターセム監督オンライン登壇舞台挨拶(リマスター公開時)、リー・ペイス コメント映像(リマスター公開時)、ターセム監督インタビュー(リマスター公開時)、オーディオコメンタリー:ターセム監督

