実在した元殺人犯を役所広司が熱演! 出所後に直面する社会の現実と希望
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2021年公開の『すばらしき世界』をご紹介します!
◇
『すばらしき世界』
(配信:Amazon Prime Video / U-NEXT)
(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
『復讐するは我にあり』の原作者としても知られる直木賞作家・佐木隆三が実在の人物をモデルに描いた小説「身分帳」を原案に、『ゆれる』『ディア・ドクター』『わたしの知らない子どもたち』の西川美和監督が役所広司主演で贈る人間ドラマ。
殺人の罪で13年服役していた三上正夫(役所広司)は、出所を機に上京して生活保護を受けながら新生活を開始する。そんな三上に目をつけた TVプロデューサー・吉澤(長澤まさみ)の依頼で、社会復帰を目指しながら生き別れた母親との再会を望むという筋書きのドキュメンタリー作成に着手する青年・津乃田(仲野太賀)であったが……。
人は誰しも必ず過ちを犯すもの。その過ちから多くを学び、成長し、より良き道を歩んでいく。しかし、その過ちが人を殺めるなどの行為であった場合、話が変わってこないだろうか。法律に則って罪を償ったとしても、本当の意味で償い切れるものなのだろうか。無論、そこに万人共通の答えなど存在しないし、役所広司演じる元ヤクザ・三上の姿を通して多くを考えさせられることになるだろう。
三上のような人間が容易に社会復帰を果たせないのは、社会の構造がいけないのか。それとも、染みついた彼の性質や生き方が災いしているだけなのか。「自業自得」と切り捨てることは容易いが、他者とのつながりなくして人は変わることなどできやしない。さまざまな人々との出会いを経て変化していく三上の姿は、生きていくことの難しさ、時に自分自身が難しくしてしまっている可能性、見落としているかもしれない世界の素晴らしさに目を向けるキッカケを与えてくれることだろう。
(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
| ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 宝島社sweetでの連載をはじめ、WEB、雑誌、ラジオなどで、心から推すことのできる映画を紹介。そのほか、イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30 人のシネマコンシェルジュ」など、幅広く活動中。 |
